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中国人爆買い減速、新税制が標的にした高額品は?

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

インバウンド消費をけん引してきた中国人の"爆買い"が今年4月から大きく減速している。急速に進行した円高に加えて、訪日リピーターの増加に伴う「モノ消費」から「コト消費」への転換などがその原因に挙げられるが、さらに中国人の消費意欲に直接影響を与えたのが中国政府が4月8日に導入した税制改正。

中国人観光客が国外で買った物品を本国に持ち帰る際にかかる「行郵税」が大幅に改正され、高額品などを中心に実質的な増税になったとされる。「日本での爆買いが中国の国内消費の流出につながっている」――。こう警戒した中国当局が一定の規制をかけたのではないかと日本の政府関係者や流通関係者は受け止めている。

「国内消費の流出」と中国当局、爆買い減速を招いた行郵税改正の中身とは……

では具体的に何が変わったのか?

中国財政部が公表した税制改正(行郵税)の概要をまとめたのが表である。

それまでの「10%、20%、30%、50%」の4段階から「15%、30%、60%」の3段階に移行したわけだが、なかでも目を引く変化が高級腕時計とゴルフ用品の税率。30%から一気に60%に引き上げられた計算になる。「円高が進行したことも考えると、日本で買っても割安感がなくなってしまったのではないか」(大手百貨店)と流通関係者は消費者心理の変化を指摘する。

改正前後で比べてみると、減税された一部商品もあるようだが、食品、飲料、書籍などについては10%から15%、繊維製品、電気製品、自転車などについては20%から30%、たばこ、酒、化粧品などについては50%から60%--と多くの品目で税率が引き上げられた実態が浮かび上がる(ただ1人あたりの総額が5000元以内ならば免税)。

高級腕時計・ゴルフ用品は30%→60%、食品・電気製品・繊維製品など多くが増税に

「比較的緩やかだった空港での税関検査が一気に厳しくなった」--。税制改正直後、中国国内ではこんな情報が駆け巡り、「納税か」「現物放棄か」の選択を迫られた中国人旅行者がやむにやまれず床に投げ捨てたとされる化粧品の画像がインターネットに流れるなど大きな混乱が広がった。

「4月以降、目立って売り上げが落ちたのは高級時計。以前は中国のお客さんを中心に気前よく購入する姿がよく見られたが、ぱったり売れ行きが止まってしまった」(ビックカメラ)、「高級時計や宝飾品など高額品は売れ行きが落ちている。中国人客の購買単価は2~3割は減っている」(銀座三越、日本橋三越本店、伊勢丹新宿店)と小売業各社も爆買いの冷え込みを認める。

「行郵税の改正」は中国人の爆買いに水を差す結果になってしまったようだ。

2015年の春節がピーク、今年4-6月期の1人あたり旅行支出は一気に17%減

観光庁の調査で訪日中国人1人あたりの費目別旅行支出を4半期ごとにみると、旅行支出全体(宿泊料金、飲食費、交通費、娯楽サービス費、買い物代、その他の合計)は2015年1-3月期の30万434円をピークにジリジリと減り続け、特に2016年1-3月期から2016年4-6月期にかけては26万4997円から21万9996円へと一気に17%も下落した。買い物代の推移も、旅行支出全体の動向とほぼ同じ動きをたどっている。

こうした軌跡について、観光庁は「2015年1-3月期に大きく伸びたのは中華圏の旧暦で正月にあたる春節(2015年は2月18~24日までの7日間が連休)の影響。そこで消費が一気に拡大したが、それ以降は徐々に低下し、行郵税改正で中国人の旅行支出は急速に冷え込んだ」(観光戦略課)とみる。行郵税改正や円高に加えて、比較的所得水準が低いとみられる中国の地方部からの観光客も増えてきたため、購買対象が高額品から低価格品にシフトしたという側面もあるようだ。

高額品→身の回りの低額品、爆買いは影を潜めるのか?

訪日中国人の土産品の費目購入率をみると、消費動向の変化は一目瞭然。

2014、2015、2016年の4-6月期で比べると、時計や電気製品が大きく落ち込む一方で、医薬品やトイレタリー、化粧品、香水などは逆に上昇している。10費目中で最も購入率が高い費目は菓子類から化粧品・香水へと変化した。中国人の日本での消費対象は高額品から身の回りの低額品へとシフトしているのだ。

今後、中国人の爆買いは影を潜めてしまうのだろうか?

「日本が気に入ってリピーターとして何度も訪日する中国人も多いし、旅行ブームが沿海部から内陸に広がっており、これから日本に旅行しようという地方部の中国人もかなりいる。中国からの訪日客はまだまだ増えるとみている。1人あたりの支出額が減っても、訪日客数の増加でその減少分を減殺する効果があるのではないか」(観光庁)と予測する。

中国人観光客数は全体の3割で最大勢力、支出単価減を訪日客数増が相殺か?

たしかに直近の2016年7月の訪日中国人数は73万1400人で前年同月比26.8%増。訪日外国人全体の3割を占める最大勢力であることは変わらず、伸び率もトップクラス。たとえ支出単価は下落しても、中国からの訪日客数自体の拡大はまだしばらくは衰えそうもない。「割安感があるからとこれまでのように手当たり次第に買いあさるのではなく、良質な商品やサービスをしっかりと見極めて納得したうえでお金を使うという買い方になるかもしれない。小売業としての真価がより厳しく問われる」(三越伊勢丹ホールディングス)と受け止める声もある。

今回の行郵税の改正は、海外で買い付けた大量の商品を中国国内に持ち込み、ネット通販などで売りさばく「代講(代理購入)」と呼ばれる個人事業者を締め出し、中国国内の一般事業者との間の不公平感を是正するという意味合いもあるようだ。

「代講」排除の思惑も、リスクとチャンスを見逃すな

ただ、当局の都合や思惑の動向次第で「政治が経済に介入する」という中国ビジネス特有のリスクも図らずも浮き彫りにした。中国人観光客だけに依存しているような事業者は今後なんらかの対応を迫られるかもしれない。

中国人の富裕層や個人旅行客のなかには、ひたすら物欲を満たす「モノ消費」からグルメ、美容、芸術鑑賞、スポーツ、医療、健康、学習など体験を重視する「コト消費」に興味や関心が移りつつあるとされる。いずれにしてもインバウンド消費にダイナミックな構造変化が起きているわけだ。

これまでと同じスタイルのビジネスを続けていれば痛い目にあう恐れがある。だが、潮目の変化を見逃さず、変化した状況にうまく対応できれば新たなビジネスチャンスが生まれる可能性も十分にある。

街角で見慣れた光景になっていた中国人による爆買い--。その実相は今後も時代に応じて様々に変質することになりそうだ。

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