「しまい洗いの極意」 達人・横倉靖幸さんのワザ襟首と脇、入念に染み抜き

――ワイシャツやブラウスの襟首の汚れは、クリーニング店に出しても落ちきらないこともあります。

「綿やポリエステル製のワイシャツの襟首の汚れは男性用のスクラブ洗顔料を使うと効果的です。女性用より粒が大きい点がポイントで、女性の衣類を洗うときでも男性用を使います。適量を手にとり汚れが気になる部分に軽くなでるように塗り広げます。塗ったまま洗濯機に入れてください」

「繊維に入り込んだ洗顔料の粒が繊維から流れ出される時に、襟首に付いた汚れなどをかき出します。スクラブ洗顔料は、顔に使えるほど繊細に作られているので生地を傷める心配もありません」

――しまい洗いで、しみ抜き以外に注意すべきことはありますか。

「夏を過ぎると、家庭の洗濯機の洗濯槽はカビだらけになります。そのまま洗うとカビの胞子が衣類に付いてしまうので、洗濯槽用の洗剤を使ってきれいにしてから、しまい洗いをしましょう。雑菌の多い風呂の残り湯で洗うのも考えものです。一晩たつと雑菌が爆発的に増えます。洗剤で退治できなかった雑菌が衣類に残り、変な臭いがしてしまいます」

「十分に洗濯機を回転させてまんべんなく洗剤を浸透させるため、通常よりも洗濯する衣類の量を減らしましょう。黄ばませたくない大切な衣類なら、2回洗うのがおすすめです。湿気の多い日に干して生乾きのままたたむと結局カビ臭くなるので、しっかり乾燥させてからしまいましょう」

――しみ抜きの技術を上達させたきっかけは。

「2代目店主の父から厳しく指導を受けましたが、父ができないことをしなければいつまでも認めてくれない。見返したい思いがありました。そこで19年前にしみ抜きの専門家に弟子入りして勉強。28歳で父から店を引き継ぎました」

「北海道から沖縄まで全国各地から送られてくる、しみ抜きの依頼品は年間で約5000点にも上ります。わざわざ遠くから思い入れのある一着が寄せられるので、相手の思いを壊さないように、1本のシワもないよう仕上げます。父譲りの職人気質からか、誰にも任せられません」

[日本経済新聞夕刊2016年9月14日付]

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