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超絶技巧の先に見せたジャズの愉悦 東京JAZZ

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NIKKEI STYLE

第15回「東京JAZZ」が9月2~4日、東京・有楽町の東京国際フォーラムなどで開かれた。上原ひろみとミシェル・カミロ、パット・メセニーとクリスチャン・マクブライド、渡辺香津美と沖仁……。実力者同士のデュオがハイライトで、圧倒的な即興演奏の先にある濃密な音楽世界、ジャズの愉悦を味わわせてくれた。

メーン会場(東京国際フォーラムのホールA)のプログラムは3、4日の昼と夜を合わせて12ステージを数えた。ハービー・ハンコックや渡辺貞夫、日野皓正、ケニー・バロン、セルジオ・メンデス、小曽根真をはじめ国内外のスターが顔をそろえたが、有名ミュージシャンばかりのプログラムではないのも東京JAZZの特徴といえる。

小曽根がプロデュースしたジャズの未来を担うであろう日米の音楽大学の学生を集めたビッグバンド(3日昼)、ドラムの石若駿が中心となって組まれた今注目を浴びている日本の新世代のグループ(4日昼)、世界をまたにかけて活躍するキューバのピアニスト、アロルド・ロペス・ヌッサのグループ(3日夜)、クラブを拠点に活躍し、ロックファンに注目されている日本の若手3人組のフォックス・キャプチャー・プラン(4日夜)などは、初めて耳にするジャズファンも多かっただろう。

こうした現代ジャズの裾野の広がりは、東京国際フォーラムの地上広場に特設された野外ステージや、通りを隔てたビル内にあるサブ会場のジャズクラブ「コットンクラブ」のステージでも肌で感じることができる。

オーストラリア、シンガポール、パキスタン、英国、オランダ、デンマーク、韓国などからやってきた有名、無名のミュージシャンの演奏に触れれば、ジャズという音楽が国境を超え、音楽のジャンルを超え、エネルギッシュに変容し続けるものであることが分かる。

3日夜にメーン会場でウォレス・ルーニー(トランペット)らとビバップを演奏した渡辺貞夫は4日、野外ステージにも登場し、故郷の宇都宮市で子どもたちと立ち上げた打楽器集団「エスコーラ・ジャフロ」と共演したが、その明るく陽気でエネルギッシュな演奏を一番楽しんだのは、ほかでもない渡辺貞夫自身ではなかっただろうか。ジャズの、音楽の楽しさを知り、それを共有する喜びこそ、この人の長く厳しい活動を陰で支えてきたものに違いない。

さて、話題をメーン会場に戻そう。今回のプログラムで特徴的だったのは、デュオのステージが多かったことだ。渡辺香津美と沖仁によるジャズギターとフラメンコギターの競演(4日昼)、ギターのパット・メセニーとベースのクリスチャン・マクブライドの共演(3日夜)、そして大トリとなった4日夜の上原ひろみとミッシェル・カミロのピアノデュオと合計3ステージもあり、それぞれが今回の東京JAZZのハイライトともいえる白熱のステージを繰り広げた。

渡辺香津美と沖仁のステージにはバックミュージシャンもいたが、これはソロの交換を基本とする2人の競演をスムーズに進行させ、デュオの自由度をより増すためと言っていい。互いにジャズとフラメンコの最高のギターテクニックの持ち主だけに、その技巧が存分に発揮されたこのステージは、とりわけギターマニアは大満足だっただろう。

むろん、上原とカミロもまた最高のピアノの使い手であり、その驚異的な演奏は目の前に奇跡が起こったような瞬間の連続で、ただただ唖然(あぜん)とするしかない。大会場がたとえようのない興奮で満たされ、最大の喝采が送られた。

メセニーとマクブライドもそれぞれの楽器における最高の技巧派だが、同時にアンサンブルも重要な要素であり、ギターとベースの掛け合いの中で、演奏の深さのようなものが重要になる。大観衆を前にしたたった2人の演奏は、逃げ場のない緊張感に満ちた世界だが、むしろ、そうした世界で音楽家の力量を知ることができる。

ジャズの長い歴史の中で、たくさんの技巧が生み出されてきたが、ほとんどはその先にある表現世界の獲得のために開発され、習得されたものである。この3つのステージが圧巻だったのは、単にすさまじい技巧を見せつけたからではなく、その先にある濃密な音楽世界を感じさせ、ジャズの愉悦を味わわせてくれたからである。即興的に展開される彼らの圧倒的な演奏は、ジャズの力というものを改めて実感させるものだった。

(音楽評論家 青木和富)

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