トート×リュックの異色2Wayバッグが急増中
今買いたい最新人気リュック(2)
持ちやすさを重視してカバンを選ぶなら、やはりリュックが最適解。荷物の重さを感じにくい構造なうえ、両手が空くため自由が利く。ビジネススタイルの多様化により、仕事にもリュックを用いる人も増えてきた。そこで今回は、大人にふさわしいリュックを3カテゴリー紹介する。第2回は、トートとしてもリュックとしても使える異色の2Wayバッグにフォーカスした。
縦型トートを背負うメリットとは?
前回(「大人気3Wayブリーフ、トレンドは軽量モデル」)は、ビジネスブリーフにリュックストラップが付いた3Wayブリーフを紹介した。スーツ着用の場合はこの3Wayブリーフが最適だが、よりカジュアルなスタイルに合わせる場合はややトゥーマッチ。ブリーフをそのまま背負うため、休日などのカジュアルシーンでは見た目的にスマートではない。
そこで最近、注目が集まっているのが、縦型トートにリュックストラップが付いた「トート×リュックの2Wayバッグ」だ。数年前と比べて各社からのリリースも増えている。
この背景について、吉田カバンとビームスがタッグを組み、大人に向けたバッグを提案するショップ、B印YOSHIDAの販売スタッフ 樋口望氏は、「メンズ・レディース問わず、バックパックやデイパックの需要が増え、さらに機能性、コーディネートへの多様性を求められる方が増加したからだと思います」と話す。
ジャケット+パンツのビジネスカジュアルはもちろん、もっとラフなビジネススタイルの人も増えている。そんな人こそ、バッグはオン・オフ兼用を念頭に置いて選ぶはず。ブリーフではなくトートを愛用していたビジネスパーソンが、利便性を求めてリュックに目を向けたときに、このトート×リュックの2Wayを手にするのだろう。
「使い勝手もよく、機能的かつシチュエーションで持ち方を変えられて、さらにコーディネートに取り入れやすい点が一番の魅力だと思います」(樋口氏)
自転車に乗るときは背負い、電車に乗るときは手持ちに素早くチェンジ。縦型トートのため、満員電車でもジャマにならない。また、横型のバッグを縦にして背負う3Wayブリーフとは違い、縦のままリュックとして背負うため荷物がひっくり返ることもない。弁当や書類も安心して持ち運ぶことができるのだ。
売れ行きに関しても上々で、「需要年齢層も男女問わず幅広く、入荷するとすぐに売れてしまいます」(樋口氏)と、人気の高さがうかがえる。
そこで今回は、トート×リュックの2Wayバッグの注目作を紹介しよう。いずれも有名バッグブランドの名品だけあって、汎用性の高いシンプルなデザインで使い勝手に優れている。これらを見ていくことで、トート×リュックの魅力がわかるはずだ。
B印YOSHIDA/ポーターの定番モデルをより大人っぽく
先述したB印YOSHIDAで人気のトート×リュックの2Wayバッグは、ポーターに別注した「ユニオン」だ。
ポーター ユニオンは、1996年のデビュー以来、吉田カバンのラインアップの中でも高い人気を保持し続けている不朽の名作。縦型トートとリュックを掛け合わせた独特なデザインに見覚えがある人も多いのではないだろうか。
B印YOSHIDAの別注モデルは、このユニオンのネームタグを、既存のグリーンからホワイトに変更。それだけでバッグの印象を大きく変え、カジュアルテイストのバッグを大人っぽい着こなしにもフィットするようにアップデートしている。象徴的なバッグデザイン、ワークウエアや工業用の腰袋をイメージしたフロントポケットなど、ユニオンの個性ともいえる部分には一切手を加えていない。
開口部にかけて大きく広がった円筒形で、荷物をたっぷり収納できる。素材にはコットンよりも軽いポリエステルキャンバス生地を使用し、大容量だが快適な背負い心地を実現。さすがはポーター、使い勝手のよさは文句なし。
「2014年4月末から販売を開始し、2016年8月末までに400点の販売実績があります。主に20~40代の男性から支持されており、タウンユースはもちろん、ノートPCやタブレットを持ち運びされる方にも需要があるアイテムです」(樋口氏)
マスターピース/ビジネス対応のデザイン&機能
メード・イン・ジャパンの実力派バッグブランド、マスターピースのトート×リュックは、ビジネスとの親和性が高い。
ビジネスマナーにのっとったスクエアフォルムで、リュックストラップは背面に収納可能。移動の際はリュックとして快適に荷物を運ぶことができ、職場や取引先では純然たる縦型トートとして使うことができる。
また、内部にはPCスリーブやペンホルダーなどを搭載し、内外装ともにポケット多数。開口部にはファスナーも付き、仕事道具をしっかり保護しながら整理して入れられるのだ。
素材には、東レの高強力中空ナイロン糸を使った1680デニールナイロンを採用。通常の1680デニールナイロンと同等の強度を保ちつつ、原糸ベースで20%もの軽量化を実現している。さらにパーツ類にもできるだけ金属を使用せず、バッグ全体の軽量化を図っている。
このほか、フロント下部のループテープにリフレクトプリントを施し、夜間の安全性にも配慮。随所に用いたレザーには、なめしの段階から防水加工を施すなど機能性を追求。日本ブランドならではの細やかな作りが魅力だ。
「発売当初から見ると需要が高まっていることもあり、売り上げは安定して好調を維持しています。主に20代後半~40代前半の方に支持されており、自転車通勤の方はもちろん電車通勤の方も多いですね。満員電車やエレベーターなどで、手持ちスタイルにすぐに変更できるのがポイントです」(マスターピース 広報担当)
ミステリーランチ/テクニカルな構造を持つ隠れた名作
山岳ガイドや米軍特殊部隊、森林消防隊などプロフェッショナル向けのテクニカルバッグをメインで手がけるミステリーランチ。極めてタフで武骨なデザイン、そして高機能なことから人気の同ブランドも、トート×リュックの2Wayバッグを展開している。
今回紹介する「ブーティーバッグ」は、ブランド創設の2000年からずっとラインアップされ続けている裏定番。現場で命がけでミッションにあたるプロたちに、オフをのんびり過ごしてもらいたいとの思いから誕生したのが、この"背負えるトート"だという。
素材は軽くて丈夫な500デニールのコーデュラナイロン。背面には快適な背負い心地のフォームパネルを搭載。バッグ自体はシンプルな作りだが、ハイエンドテクニカルパックで使用される最高品質の部材や製造技術を採用しているため、ミステリーランチが持つ"ホンモノ感"を、日常生活で使ううえでも感じることができる。
また、開口部の構造も興味深い。背負うとリュックストラップがスライドし、開口部が自動でピタッと閉じる構造になっているのだ。わざわざファスナーなどを開閉する手間がなく、それでいて荷物を落とすような心配もない。
「日本で本格始動した2013年から、ずっと定番としてアイテム別売り上げトップ3に入っています。20代後半~40代の男性からの支持が多いミステリーランチですが、このブーティーバッグは女性からも人気があります。本格登山には向きませんが、日常のお出かけからカジュアルなビジネスシーンまで幅広く愛用していただいています」(ミステリーランチ/A&F 広報担当)
オン・オフ兼用バッグとしてかなり優秀
以上、人気上昇中のトート×リュックの注目作を紹介した。背負えるトートゆえにシンプルな作りのため、3Wayブリーフと比べるとポケットなどは少ない。しかし開口部が広いため大きな荷物も収納でき、何より手持ちとリュックの移行が非常にスムーズ。素早く簡単に持ち方を変えられるので、2Wayのメリットを存分に生かすことができる。
今回紹介したなかでは、マスターピースはスーツスタイルにも対応可能だが、トート×リュックの2Wayバッグは基本的にはタウンユース向け。とはいえビジネスカジュアルには違和感なく使えるので、オン・オフ兼用バッグを狙うなら、選択肢のひとつに加えておきたい。
(ライター 津田昌宏)
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