タイプ別・持つべきクレジットカード、選び方のコツ
クレカの持ちすぎで借金地獄?
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの加藤梨里です。もう秋の行楽が待ち遠しい季節ですね。夏のバーゲンやレジャーでお金を使った人は、そろそろ心を入れ替えて節約せねば、と思っているかもしれません。
節約をするときにぜひチェックしたいのが、クレジットカードです。
コツコツとがんばらなくても手軽にできる節約のひとつが、クレジットカード払いでポイントをためる方法。でも、さまざまなクレジットカードのうちどれを選べばよいのかわからないという声をよく聞きます。あれもこれもポイントをためようと、何枚もクレジットカードを持つと、逆にムダ遣いの元凶になってしまいます。
以前、家計相談に訪れたある女性は、クレジットカードの返済残高が50万円以上あり、なかなか減らないと嘆いていました。38歳で上場企業に勤め、手取り月収は30万円を超えていたのですが、毎月毎月、ただカードの返済に消えていくだけだというのです。
彼女のお財布のカード入れには、はちきれんばかりにクレジットカードが詰め込まれていました。その数なんと20枚以上。あちこちのカードでお買い物をしているうちに、返済残高がどんどん膨れ上がってしまったようです。
それだけたくさんのカードを持ち歩いていたのは、スーパー、コンビニ、電車などでそれぞれポイント還元率が高くなるものを使い分けていたためでした。それならずいぶんポイントを活用していると思いきや、「どのカードに何ポイントたまっているかよくわからないうちに、いつも有効期限が切れちゃう」というのです。おトクなはずのポイントのために、彼女は借金を抱え、あげくにポイントはまったくたまらなかったのです。
こんなエピソードをお話しすると、「クレジットカードは怖いからもう持たない!」と思うかもしれません。でも、上手に使う方法ももちろんあります。その方法について詳しく見ていきましょう。
クレカを上手に活用するコツはひとつだけ
働く女性が現金だけで生活するのは楽ではありません。平日の日中に銀行にお金を下ろしに行こうと思っても、たった1時間の昼休みしかチャンスはありません。せっかく行ってもATMが混んでいれば、席に戻るのが遅れてしまいます。そんなストレスを抱えるくらいなら、クレジットカードをうまく活用してしまいましょう。
では、ムダ遣いをせずにクレジットカードを上手に使うにはどうすればよいのでしょうか?
答えは、「無理にポイントをためようとしないこと」です。
がんばらなくても勝手にたまるカードを選ぶ
ポイントをためようとお店ごとに有利なクレジットカードを使い分けるのは一見おトクです。でも実際には、冒頭の女性のように逆効果になることが少なくありません。それならば、楽にためられるポイントだけに狙いを定めましょう。あえてためようとしなくても日ごろの支払いでポイントがたまるクレジットカードを選ぶのです。
たとえばYahoo!JAPANカードは、還元率1%でTポイントがたまります。一般的なカードの還元率0.5%(200円の利用で1ポイント)に比べて高いうえ、Yahoo!ショッピングでの利用ならポイント3倍になります。Yahoo!公金支払いにも対応しており、水道料金、ガス料金、住民税(以上は対象地域が限られます)、NHK放送受信料の支払いなどでポイントがたまります。ポイントで支払うこともできるので、たまったポイントをムダにする心配もありません。
そしてもうひとつ大事なのが、カードを持ちすぎないことです。では何枚が正解なのでしょうか?
カードは枚数を絞ろう
クレジットカードは、できれば2、3枚、多くても5枚程度に絞りましょう。ためるポイントも、それだけに集中させます。
2、3枚に絞るといっても、公共料金も払う、電車もよく乗る、デパート、ドラッグストア、コンビニでお買い物もする、と考えるとなかなか絞りにくいですよね。そんなときは、年間の支払合計額で判断します。たとえば、デパートでは夏と冬のバーゲンくらいしかお買い物しない人でも、まとめてたくさん買うなら、年間で数十万円使っているかもしれません。逆に、コンビニには毎日のように立ち寄るけれど、1回のお買い物額が300円程度なら、年間で10万円ほどにしかなりません。それなら、デパートのお買い物が有利になるクレジットカードをまず選びましょう。
デパートでポイントがたまりやすいカードでも、もちろんそれ以外のシーンでもポイントはたまります。1年間で使うお金の合計額が高い費目で有利になるクレジットカードを選び、それ以外の費目もそのカードで払って、ポイントをためましょう。デパート用のカードで携帯電話料を支払い、そこでためたポイントをデパートで使うなどです。携帯電話用のカードとデパート用のカードをそれぞれ持つより、効率的にポイントがたまります。
一見、ジャンルが異なるカードでも、意外なものでポイントがたまることもあります。エポスカードは、ポイントアップサイトを経由してネットショップや旅行サイトを利用すると、通常還元率0.5%のポイントが最大30倍になります。「お買い物も行くけど、旅行もよく行く」という人は、クレジットカードのポイントも航空会社のマイルもためなきゃと思うかもしれませんが、あえてポイントを優先してためていくのも手です。
そして最後にお伝えしたいのが、クレジットカードを作るときにみなさんが陥りがちなこんなワナについてです。
入会特典のポイントに惑わされるな
多くのクレジットカードでは、入会特典で3000ポイントなどのボーナスをもらえることがありますが、これを目当てにどんどん新しいクレジットカードを作るのは危険です。ポイントをもらったきりほとんど使わなければ、のちに年会費の出費がポイント分を上回ってしまいます。特に、初年度年会費無料のカードだと、忘れたころに年会費が引き落とされてびっくりすることも。2年目以降も頻繁に使うなら良いですが、あまり使う見込みがないなら、入会特典目当てに安易に作らないことです。
もしどうしても入会特典がほしい! というときは、年会費無料のカードを選ぶか、2年目以降の条件を確認しましょう。たとえばビックカメラSuicaカードは、2年目以降は年会費477円(税抜)かかりますが、年間に1回でもカードの利用があれば無料になります。定期券購入や電子マネーSuicaへのオートチャージでもOKです。もちろんポイントもたまるので、日常生活のなかで自然にポイントがたまります。
クレジットカードは、意外と何枚も作ってしまいがち。でも、ポイントを上手にためるには数枚に絞り、がんばってためようとしない潔さが大切です。手元にクレジットカードがたくさんある人は、一度整理をしてみてはいかがでしょうか。
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、マネーステップオフィス株式会社代表。保険会社、銀行、FP会社を経て独立開業。家計、保険などお金のセミナー、執筆、相談を行う。働く女性のライフプランと健康にも関心があり、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科特任助教も務める。
[nikkei WOMAN Online 2016年8月24日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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