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フルサイズ超えの解像感 14万円のライカレンズ

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日経トレンディネット

パナソニックが、マイクロフォーサーズ用の交換レンズ「LEICA DG SUMMILUX 12mm/F1.4」を発売した。35mm判換算で24mm相当となる広角レンズで、開放F値がF1.4と明るい大口径タイプだ。実売価格は14万円前後とかなり高価だが、ライカの厳しい基準をクリアした光学設計で、「各社の同等スペックのレンズと比べても高画質に撮れる」とメーカーは描写性能の高さに自信を示す。

実際に撮影したところ、フルサイズ一眼をも超えたと感じさせる圧倒的な解像感や豊かなボケの表現にまず驚かされ、逆光時などの厳しい条件でもゴーストやフレアで破綻することなく、しっかり描写した点が目を引いた。

解像感のある描写、特に周辺部まで手を抜いていないのがすごい

まず注目したいのが、高い質感と防じん防滴構造を両立した外装だ。LEICA DG SUMMILUX 12mm/F1.4の外装は金属製で、見た目の高級感や手にした感触は申し分ない。金属製の丸型フードが付属する点も評価できる。絞りリングやフォーカスリングの感触も高級感があり、「レンズは描写性能だけでなく見た目も重要」と考える人も満足できるはずだ。

見逃せないのが、防じん防滴構造となっている点。パナソニックの「LUMIX DMC-GX8」やオリンパスの「OM-D E-M5 Mark II」などの防じん防滴対応ボディーと組み合わせれば、雨が降るなかでも水没を気にせず撮影できる。大きなアドバンテージといえる。

次に注目なのが、あらゆる状況で解像感の高い描写ができること。非球面レンズなどの高性能レンズを多く用いることで、細かな部分もカリッと描写してくれる。「フルサイズのデジタル一眼レフで撮影したのか?」と思わせるほどだ。

周辺部でも解像感の高い描写が得られる

中央部のみならず、周辺部までビシッと精細に描写できる点も見逃せない。一般的に、レンズは広角になるほど周辺部の描写が甘くなりやすい。解像感を損ねる色ズレ(収差)や、外に向かって流れるような描写が発生しやすくなるからだ。だが、LEICA DG SUMMILUX 12mm/F1.4は絞り開放でも周辺部までしっかりとシャープに描写してくれた。特に、点光源の変形(サジタルフレア)がほとんど見られなかったのは、同等スペックのレンズと比べても優秀といえる。天体写真ファンには見逃せないポイントとなりそうだ。

逆光時もフレアやゴーストは最小限に抑えられた

条件のよい状況だけでなく、逆光などの厳しいシーンでも描写が破綻せずに済んだのも評価したい。レンズに施されたコーティングが効いているようで、全体が白っぽくなってコントラストが失われるフレアがほとんど見受けれず、太陽が写り込んでいてもクッキリとした描写を保った。

豊かでクセのないボケの描写もお見事、価格の高さが悩みどころ

ボケの美しさも注目できる。開放F値がF1.4と明るいこともあり、大口径レンズならではの立体感のある描写で狙った被写体を印象的に写し取れる。「この状況ならばボケの表現は得られないだろう」と思っていたシーンでも予想外の大きなボケが得られ、驚かされた。ボケ自体もとろけるような描写で、二線ボケなどの気になるクセも見られなかった。

ただ、このレンズは手ぶれ補正機構を搭載していないため、超広角ながら油断すると手ぶれが発生してしまう点には留意したい。LUMIX DMC-GX7 Mark IIやLUMIX DMC-GX8、オリンパスのOM-DシリーズやPEN-Fなど、ボディー内手ぶれ補正機構を搭載したカメラと組み合わせて使うのがベストだろう。

悩ましいのが、実売14万円前後という価格だ。富士フイルムのXシリーズ用レンズ「XF16mm F1.4 R WR」は、35mm判換算で24mm相当となる点やF1.4という明るさ、防じん防滴構造など共通する部分が多いが、こちらは10万5000円前後で購入できる。LEICA DG SUMMILUX 12mm/F1.4は、周辺部の描写を徹底的に研ぎ澄ますべく高性能レンズをふんだんに搭載したことを考慮しても、ちょっと高いな、と感じる。

一方で、マイクロフォーサーズ機でもフルサイズ一眼並みの描写を味わいたい人や、逆光や雨などの厳しい条件でも一瞬を確実に撮影したい人、星空撮影を趣味にしている人にとっては、理想のレンズの到来となるはずだ。

(日経トレンディネット 磯修)

[日経トレンディネット 2016年8月25日付の記事を再構成]

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