表彰式の国旗掲揚は勝った国を称賛しているのではない

オリパラ学(5)

リオデジャネイロ五輪で日本は1大会で史上最多となる金銀銅合わせて41個のメダルを獲得した。これで日本が五輪で獲得したメダル数は夏季と冬季を合わせて通算484個となる。内訳は金152、銀151、銅181。夏季と冬季では夏季が計439個で約9割を占める。(1936年ベルリン夏季大会の芸術競技の銅2は除く)

1912年ストックホルム夏季大会で五輪初出場した日本の最初のメダルは、20年アントワープ(ベルギー)夏季大会。テニス男子のシングルスで熊谷一弥が銀メダル、熊谷は柏尾誠一郎と組んだダブルスでも銀を獲得している。とはいえ決勝で敗れた結果に、日本の五輪史では快挙ではなく敗戦として記憶されているようだ。リオの錦織圭の銅メダルはそれ以来、96年ぶりのテニスでのメダルだった。

初の金メダルは28年アムステルダム夏季大会で陸上男子三段跳びの織田幹雄が獲得した。この大会では競泳男子200メートル平泳ぎの鶴田義行も金メダル。鶴田は日本の金第1号は織田に譲ったが、32年ロサンゼルス大会でも同種目を制し、日本人初の五輪連覇を達成している。また、アムステルダム大会には日本の女子選手が初めて五輪に出場、陸上女子800メートルで人見絹枝が銀メダルに輝いた。

五輪のたびに、われわれは日本のメダル数を他国と比べて一喜一憂するが、これは実は五輪の趣旨からすれば間違っている。国同士の競争ではなく、個人同士が互いをリスペクトして競い合うのが本来の五輪の姿。表彰式での国歌の演奏も国旗の掲揚も、勝者である個人やチームの栄誉をたたえるものであり、勝った国を称賛しているわけではない。

(編集委員 北川和徳)

[日本経済新聞2016年9月8日付朝刊]

今こそ始める学び特集