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健康な女性の「卵子凍結」、専門医が積極的でない理由

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NIKKEI STYLE

日経ウーマン

将来子供が欲しいと思ったときのために、若いうちに自分の卵子を取り出し、凍結保存しておく。"そのとき"が来たら、解凍し、体外受精を経て、妊娠・出産する――。そんな選択が可能になりつつある。

そもそも卵子凍結は、抗がん剤治療などで卵巣機能の低下が予想される若い女性患者が、将来子供を持つ可能性を温存するための技術。しかし今年2月、40代の健康な女性が、凍結保存しておいた自分の卵子で出産したと、大阪市のクリニックが発表。仕事など社会的な理由で、卵子凍結を選択し、出産したケースとして注目を集めた。

健康な女性の卵子凍結の是非については、専門家の間でも意見が分かれる。日本生殖医学会は「推奨するものではないが、妊娠・分娩をするかしないか、その時期をいつにするかはあくまでも当事者の選択に委ねられる事項」というガイドラインを提示。対して、日本産科婦人科学会の専門委員会は2015年、「推奨しない」という見解を示している。

生殖医療に詳しい、東邦大学医学部産科婦人科学講座教授の片桐由起子さんは、「そもそもメリット、デメリット、リスクが、どこまできちんと理解されているか疑問です」と指摘する。

まずメリットは、卵子の老化対策だ。「一般的に若いときの卵子のほうが、質が良く妊娠しやすいのは事実です」。ただし、凍結した卵子が受精できるか、受精卵が子宮に着床して無事出産できるかは、また別の話だ。受精卵を凍結したケースで、20代の妊娠率は40~50%、出産率は20~30%。「卵子凍結では、確率はさらに下がるでしょう」

一方、デメリットやリスクは、第一に費用。卵子凍結は自費診療。ホームページで費用を公開している聖マリアンナ医科大学病院の場合、採卵と培養で約26万円、5個以下の卵子凍結保存料は約6万円で、保存を1年延長するごとに更新料がかかる。

二つ目は採卵時の体への負担。排卵誘発剤の副作用に苦しむ可能性がある。三つ目が高齢出産に伴うリスクだ。一般に年齢が上がれば上がるほど、妊娠高血圧症候群や、分娩異常など合併症のリスクは高まる。

どこで施術を受けるかも問題だ。「医学的適応以外の卵子凍結に関しては、学会で施設認定制などがとられておらず、実施機関の質を確認する制度がない。そのことも知っておいてほしい」と警鐘を鳴らす。

「妊娠・出産の選択肢が増えたのはいいこと。ただし、卵子の時間だけを止めても問題は解決しないことを分かっておいてほしい」と片桐さん。必ずしも希望通りにならないとはいえ、妊娠・出産について考える時期が早いほど、選択肢は多くなる。

卵子の凍結保存って何?

もともとの目的は?


 → がん治療などによって卵巣機能が低下したときのために備えるもの
 がん治療で化学療法(あるいは抗がん剤治療)、放射線治療を受けると、卵巣の生殖機能への影響は避けられない。治療前に、卵子を体外に取り出し、治療後、解凍・体外受精を行い、妊娠・出産できる可能性を残すための方法として、2004年から認められている。現在は、治療前に卵巣組織を摘出して、凍結し、治療後に卵巣組織を体内に戻して妊娠可能な状態にする診療も始まっている。

どうやるの?


 → 排卵を誘発し、採卵。その後、冷凍保存する
 一般的に、卵子を取り出す際はホルモン剤で卵巣を刺激して卵胞の発育を促し、腟から卵巣に針を刺して卵子を多数採取。そのなかから質のいい卵子を凍結保存することになる。凍結保存の期間は、ケースによってさまざま。妊娠が可能で希望する時期に、卵子を解凍してから体外受精を行い、子宮に移植する。卵子凍結の場合の妊娠率は年齢によるが、受精卵を凍結した場合より下がる。
卵子の凍結保存のメリットとリスクは?

メリット


 → 若い状態の卵子を保存できる
 卵子の数は、年齢とともに失われる。30代後半になると妊娠力は急激に低下する。1歳でも若いときの卵子のほうが質が良く、受精、妊娠へとつながる確率は高まる。

デメリット/リスク


 → 自費診療で費用が高い
 健康な女性の卵子凍結は自費診療。ホームページで費用を公開している病院もある。

 → 副作用や体への悪影響の可能性も
 卵巣を刺激するホルモン剤により卵巣過剰刺激症候群などの副作用の可能性や、卵巣に針を刺すことで感染・出血のリスクもある。

 → 高齢出産のリスクは変わらない
 卵子の凍結の有無にかかわらず、35歳以上で出産する場合、妊娠合併症のリスクは高まる。
片桐さんが語る 「卵子の凍結保存」の2つのポイント
1.学会では「医学的な理由」によるもののみを対象とするという見解を提示
 日本産科婦人科学会は、医学的な理由による適用は認めているものの、健康な女性については「推奨しない」。妊娠率を保証しているとはいいがたい医療行為を健康な体へ行うことの負担やリスク、高齢出産のリスクは変わらないことが主な理由だ。医学的適応は、基準を満たした施設で行われるのに対し、健康な女性の卵子凍結については、施設の内容などが評価・確認されていない。
2.選択肢としてあっていいが、医師として推奨できない
 「ひとりの女性として、妊娠・出産に対して、選択肢が広がるのはいいことだと思います。医療面での問題は日本産科婦人科学会で指摘しているとおり。日本生殖医学会も、『採取時の年齢は、40歳以上は推奨できない。使用時の年齢は、45歳以上は推奨できない』としています。倫理的には、将来パートナーとなる人の意思の問題もあります。子を持つことは自分ひとりの出来事ではないのです」

(日経ウーマン 岡本藍)

[日経ウーマン 2016年9月号の記事を再構成]

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