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自動車保険の見直し 長期契約や属性で割安に

2016/9/11

運転中の事故などで被った損害を補償する自動車保険。過去の値上げと制度改正で自動車保険料の負担は増えている。契約期間の見直しや運転者の特徴にあった商品選びなど保険料節約のポイントをまとめた。

■20歳代で20万円

埼玉県に住む男性会社員Aさん(42)は7月、自動車保険を大手損害保険会社から朝日火災海上保険の「ASAP6」に切り替えた。6年契約で、保険料は合計44万円ほど。1年ごとに更新していた従来に比べ「年平均で1万3000円程度安くなりそうだ」と話す。

家計に占める自動車保険料の負担は重くなっている。総務省の家計調査によると、2015年の保険料は総世帯ベースで3万1680円と過去10年間で最も安かった07年(2万6633円)と比べ約5000円増えた。

ただしこれは全世帯の平均で車を保有していない世帯を含むため、実際の負担はもっと大きい可能性がある。特に免許をとったばかりの若年層は、統計的に事故を起こす確率が高いとされる。「20歳代で新規契約すると、年間保険料は20万円近くになることが珍しくない」とファイナンシャルプランナー(FP)の藤川太氏は指摘する。

損保各社はここ数年、自動車保険料をおおむね引き上げてきた。新規加入者の減少や修理費の値上げなどを背景に採算悪化が続いていたからだ。13年10月には事故で保険金を受け取ると翌年から3年間、保険料が割高になるように等級制度が改正された。

では保険料はどう節約するといいのだろうか。まず契約期間の見直しが選択肢になる。例えばAさんのような長期契約。契約期間が2年以上で、保険料は契約時点で確定する。毎年契約する通常の場合と比べ営業コストがかからないため、保険料は割安になりやすい。契約後に新規契約の保険料が上がったり、事故を起こしたりしても保険料は変わらないのが一般的だ。

損保会社の多くは長期契約を扱う。損害保険ジャパン日本興亜は昨年10月、長期契約の人も「多数割引」を利用できるようにした。家族で複数の自動車を保有する場合、保険契約者を1人にまとめることで保険料が安くなる。割引率は2台なら2%だが、17年1月から3%にするなど台数に応じた割引率を拡大する。

契約期間を大幅に短くし、1日単位で契約するのも手だ。東京海上日動火災保険や三井住友海上火災保険などは「1日自動車保険」を扱う。家族や友人から自動車を借りる際の利用を主に想定し、保険料は500円(車両保険付きは1500円)程度だ。

例えば夫婦と20歳前後の子で1台の自動車を利用する場合、補償する運転者を家族に限定して契約するのが一般的。子があまり利用しないなら保険料がより安い「夫婦限定」で契約し、子が使うときだけ1日自動車保険を利用すると保険料が抑えられる。

1年間に5日以上利用し、無事故で保険金を受け取らなければ、無事故の日数に応じて通常の自動車保険に新規加入する際の保険料が8~20%安くなる。「特に若い世代が加入しやすくした」と東京海上日動火災の野々山賢一・自動車グループ課長は話す。

「運転技術に自信がある」など運転者の特徴で選ぶこともできる。イーデザイン損害保険は7月、1年間無事故で保険金を受け取らないと翌年の保険料を2%安くする「無事故割引」を始めた。ソニー損害保険の「やさしい運転キャッシュバック型」は専用機器を車に取り付け、急ブレーキや急発進が少ないかなどを評価する。100点満点で60点以上なら5~20%分の保険料をキャッシュバックする。同社の安田和義自動車商品部長は「丁寧な運転を心がける動機づけにもなる」という。

■補償内容見直し

走行距離に応じて保険料を割り引く商品もある。あいおいニッセイ同和損害保険の「つながる自動車保険」は1カ月の走行距離が1000キロメートル以下だと保険料が安くなる場合が多い。トヨタ自動車の所定のナビゲーションシステムを搭載した自動車が対象だ。

保険料を節約するためには、補償内容を見直すのも有効だ。ただし他人を死傷させたりすると賠償額が膨らみかねないので、対人・対物の補償は減らさないのが無難だろう。半面、自分の自動車の修理代を補償する車両保険は検討する余地が大きい。

特に型式が古い場合は車両保険を外すのが選択肢だ。小さな傷はそのままにしたり、修理代がかさむなら買い替えたりするという手があるからだ。免責額の設定も一案になる。免責額は事故を起こした際に自分で負担する金額のことで、額が大きいほど保険料は安くできる。

自動車は家族構成や年齢によって利用の仕方が変わりやすい。「保険もこまめに見直すことが大切」とFPの平野敦之氏は助言している。(藤井良憲)

■親の等級継承で子の保険料節約
自動車保険の保険料は等級制度をもとに決める。全部で20段階あり、最も低いのが1等級。等級に応じて割り引いたり、割り増したりする仕組みで、等級が高いほど保険料は安い。新規加入者は原則6等級から始まる。若年層は保険料が高くなりやすいが、親などの等級を譲り受ける「等級継承」という方法なら、安くできる場合がある。
例えば25歳の子が親の無事故の10等級を継承する場合、子の保険料は6等級(21歳以上)の3%増しから45%引きとなる。親は6等級で新規加入するが、35歳以上は9%引きが適用される。10等級より保険料は増えるが、子の分が下がるため家族全体では保険料の節約になる。

[日本経済新聞朝刊2016年9月7日付]

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