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スマートベータ型ETF、市場平均上回る成績目指す ETF最前線(3)

2016/9/13

 東証株価指数(TOPIX)に連動した運用をするETF(上場投資信託)を保有していますが、「スマートベータ」という新しい指数があると聞き、気になっています。スマートベータ型ETFは市場平均を上回る運用成績が期待できるそうですが、どんな商品でしょうか。

 三菱UFJ国際投信は3月、日本株のETF「MAXIS JAPAN クオリティ150上場投信」を東証に上場した。指数会社、ストックスが算出した自己資本利益率(ROE)が高い150銘柄で構成する指数の値動きに一致させることを目指すETFだ。

 資産運用ではTOPIXなど市場平均を表す指数を「ベータ」という。明確な定義はないが、期待収益が安定的にベータを上回るよう開発された指数が「スマートベータ(賢い指数)」だ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株式運用に採用したことで、注目度が高まった。

 何が「賢い」のか。東証1部上場の全銘柄に時価総額に比例して投資するTOPIX連動の運用は、企業の実態からみて買われすぎの銘柄も組み入れざるを得ないなどの弱点がある。

 一方、スマートベータ指数は一定のルールで銘柄を選び、時価総額だけではない基準で構成比率を決めて運用する。価格変動によって変化した構成比率をリバランスする機能も備える。

 一定のルールとは「おおむねクオリティー系、バリュー系、低ボラティリティー系の3種に分類できる」(野村証券の塩田誠氏)。クオリティー系の代表が「JPX日経インデックス400」。3年平均のROEなどで400銘柄を選定、複数の運用会社がこの指数に連動した運用をするETFを設定している。

 バリュー系は「野村日本株高配当70」「MSCIジャパン高配当利回りインデックス」などの指数で、配当利回りの高さや継続性を物差しにして銘柄を選ぶ。低ボラティリティー系は価格変動率が低い銘柄を中心に選ぶため、下値リスクを警戒しつつ運用したい投資家に向いている。

 ただし、スマートベータの運用成績がいつでもベータを上回るとは限らない。とりわけ構成銘柄が少ないスマートベータは、相場の局面によってTOPIXとの乖離(かいり)が広がる可能性がある。

 例えばROEを重視する「クオリティ150」はTOPIXに比べて製造業のウエートが大きく、銀行株は少ないため、日銀のマイナス金利政策などで銀行株が売られやすい局面での運用成績はTOPIXを上回ってきた。しかし、「業績期待がはげ落ちて一本調子で下げる相場などではTOPIXを下回る可能性がある」(三菱UFJ国際投信の佐々木康平氏)。

 逆に低ボラティリティー系の指数は下げ相場では抵抗力があるが、市場全体が力強く上昇し続けるような局面では市場平均を下回りがちになる。

 スマートベータ型ETFは相場の局面によってTOPIXに対する優位性が左右されることを頭に入れておきたい。

[日本経済新聞朝刊2016年9月7日付]

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