戦場は「布団」 3in1のスティック掃除機
スウェーデンのメーカー、エレクトロラックス・ジャパンは、「エルゴラピード」シリーズの新モデル、「エルゴラピード・リチウム ベッド・プロ・パワー」を発表した。2016年9月9日に発売となる。
エルゴラピードは、コードレスタイプのスティック掃除機の先駆者的存在だ。2004年に初代機種を発売後、各メーカーから次々とスティック掃除機が登場。いまやスティック掃除機は掃除機市場の総売り上げの4分の1を占めるまでに成長(リサーチ会社GfK調べ)。さらに2016年1月から7月までのスティック掃除機の累計売り上げは約30%も伸びているという。
今回エレクトロラックスが発表した新製品「ベッド・プロ・パワー」が従来品と大きく違うところは"3in1"になったところ。スティック掃除機、ハンディタイプという従来からの機能に加え、ハンディとして使うときに付属のアタッチメントを付け替えると、布団掃除機としても使えるようになった。担当者によると、スウェーデンでは布団を掃除するという習慣がないため、この機能の開発は日本主導で行ったのだそうだ。
布団専用掃除機といえば、レイコップがまず頭に浮かぶだろう。続いてダイソンが布団専用掃除機の機能を加えたスティック掃除機「Dyson Fluffy DC74 モーターヘッド」を出した。どちらも売れ行きは順調。エレクトロラックス・ジャパンはベッド・プロ・パワーの発売で、今まで寡占状態だったこの布団掃除機の市場に参入したことになる。
UV LEDライトでアレルゲンを除去
今回、新たにアタッチメントとして付属されたUV付布団用ノズル「ベッド・プロ・パワー UVノズル」は、UV LEDライトで布団やベッドのダニやハウスダストを取り除くというもの。通常、除菌にはUVランプが搭載されていることが多いが、これに対してUV LEDライトを搭載した理由は、「スウェーデンは環境対策にとても厳しい。まず環境に優しいテクノロジーが大前提になる。UVランプは、半年、または1年でランプを交換する必要があり、ランニングコストがかかる。さらに廃棄する際に有害なものが出てしまい、環境に負担がかかる。それに対してUV LEDライトは半永久的に使用することが可能。また、長時間使用しても熱くなりにくい」と開発担当者は話す。
ダニやハウスダストなどを除去したい場合は、UVノズルに付いたUV LEDライトのボタンを押す仕組みだ。UVライトは直視すると目に悪影響を与えるといわれているが、このUVノズルは、床上5.5cm以上離れると起動しないセーフティー機能が搭載されているので、仮に子どもがノズルを持ち上げてのぞき込んでも安心だ。
吸引性能は、マットレスの上にアレルゲン(アレルギーを引き起こす可能性のある物質)をまき、その上にシーツをかぶせてノズルで吸引するテストの結果、アレルゲンの除去率が98.1%になったそうだ。他社と比較すると、それぞれ自社テストでは、ダイソンは97%、レイコップは97.2%のため、「除去率は同等以上の結果となった」と担当者は話す。さらに、英国アレルギー協会の認定も取得したという。
発表会で実際に使ってみたところ、スタート時はシーツを押さえないとなかなかうまく滑らせることができないが、一度進むとノズルの裏に小さなタイヤが付いているので、シーツを吸い込むことなくスムーズに動かせた。また、裏側にはブラシロールが付いているので、髪の毛や糸くずなども一緒に取ることができる。さらにブラシロール部分は簡単に取り外せて水洗いができるので、清潔に保つことができるというのもうれしい。
布団用クリーナーに関しては後発ということもあり、「メンテナンスなどはラクにできるように作ることができた」と担当者は話す。発表会では、レイコップやダイソンの機種も試すことができたが、ベッド・プロ・パワーはハンディタイプにノズルを付けるタイプなので、レイコップのものよりは軽量で手首に負担がかかりにくい。またスイッチは押すごとにオン・オフが切り替わるタイプなので、トリガー式で押したまま掃除を続けるダイソンよりも疲れにくいだろう。後発ならではのイイトコドリ製品といえるだろう。
ダストカップの容量は十分
気がついたときに簡単に布団を掃除することもあるが、家全体を掃除した後に布団の掃除をするという人も多いだろう。その場合、ゴミのたまり具合が気になるが、ベッド・プロ・パワーはダストカップの容量が500mlもあり、通常のスティック掃除機の中では大きいので、こまめにゴミを捨てる手間は少なくなる。
さらにユニークなのは、ダストカップの機能だ。フィルターの中心にバネがあり、ゴミを捨てる前にそのバネをひっぱって反動させることでフィルターにくっついているホコリなどを除去(クイックフィルタークリーニングと呼ぶ)してから、フィルターを外してゴミを捨てるのだ。どれだけホコリが舞うことなく集めて捨てられるのかは分からないが、手を汚す手間がひとつ省けるのはたしか。また、ダストカップやフィルターはすべて水洗いできるのもうれしいポイントだ。
ベッド・プロ・パワーのバッテリーは、ターボパワー・リチウムイオン電池18Vを使用。布団用のUVノズル以外は、従来のV18機種と同じ性能だ。とはいっても、UV LEDライトを使用するためにアタッチメントに通電が必要なので、UVノズルを従来品に付けて使うことはできない。
運転時間は、通常モードで約45分、最大モードで約15分。布団掃除時間は約15分。充電時間は約4時間。重量は2.6kgと、スティック掃除機の中では重い。しかし、重心が下にあるため、掃除中の手元で感じる重さは500gほどだそうだ。充電台はA4サイズでコンパクト。色はホワイトを基調にしたラグジュアリーローズとグラニットグレーの2色で展開する。
今回、最上位機種のベッド・プロ・パワーのほかに、スタンダードモデル(ターボパワー・リチウムイオン電池14.4V)の「エルゴラピード・リチウム スタンダード」と、バッテリーがターボパワー・リチウムイオン電池10.8Vの「エルゴラピード・リチウム カラーポップ」も発売になる。
(ライター 広瀬敬代)
[日経トレンディネット 2016年8月31日付の記事を再構成]
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