低価格Bluetoothイヤホン 通販機種のコスパに驚嘆

日経トレンディネット

5000円以下のBluetoothイヤホン
5000円以下のBluetoothイヤホン
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国内外のメーカーから、Bluetoothを使って無線接続できる低価格ワイヤレスイヤホンが数多く登場している。そこで、5000円以下のBluetoothイヤホンのなかで人気機種を取り上げ、その音質や操作性を比較評価していこう。

ヘッドセットとイヤホンの違いとは?

まず、5000円以下のBluetoothイヤホンは「Bluetoothヘッドセット」と呼ばれるものが多い。基本的にはBluetoothイヤホンと同じものだ。

ヘッドセットと呼ばれる理由は、イヤホン部分だけでなく付属ケーブル部などにマイクも内蔵し、スマートフォンを耳元に当てることなく通話できるハンズフリー通話にも対応しているからである。

実はこのハンズフリー通話、スマートフォン以前の携帯電話から存在しているが、自動車での用途を除くと日本国内では普及する兆しがない。そのため、イヤホンを選ぶ際には付加機能として気にせずにおこう。

また、Bluetoothヘッドセットとして販売されている製品には、片耳のみに装着するタイプのイヤホンも存在する。

片耳タイプの製品はケーブルレスのデザインだったりとハンズフリー通話用の機能性には優れるが、音楽を聴く目的で試すと、他方の耳から外の騒音が丸聴こえで不向き。あくまで通話メーンの製品なので、今回は製品選びの選択肢から外している。

その他の注目すべきポイントはバッテリー駆動時間。通勤・通学では4時間以上が目安だ。Androidスマホのみの対応だが、NFCによるペアリングも重要だろう。

加えて、国内メーカーのみが対応している、ワンセグ放送音声をワイヤレスイヤホンで聴く際に必要になるコンテンツ保護方式「SCMS-T」に対応しているかどうかは、用途に応じてチェックするべきポイントだ。

以上をふまえて、大手ネット通販で人気のBluetoothイヤホン7製品をピックアップ。音楽を聴く用途として使うときの音質や操作性を評価した。

エレコムのコンパクトな入門機

LBT-HPC11AV(エレコム)
実売価格/3280円

わずか12gというコンパクトな本体を前面に押し出した入門モデルで、5色のカラーバリエーションを展開。Android向けには「かんたんBT設定アプリ」も提供している。

日本メーカーの製品らしくワンセグの音声を再生できるSCMS-Tに対応していることもポイントだ。

【音質の傾向】
同クラスのイヤホンのなかでは、サウンドの明瞭感が若干甘いように思えた。低域のパワーはそれなりに出ているのだが、J-POPを聴いてもボーカルは声はクリアに聞こえず、特に女性ボーカルは苦手。低域は量的には出ているタイプ。iPhoneの付属イヤホンと同程度の音質と見るべきだろう。

デザインはスリムだが、耳穴から上に跳ね上がるようなデザインはひと癖ある。ボタンも小さく押しにくかった。

【5つ星評価】
音の情報量 ★★★
音の広がり ★★★
低音 ★★★★
装着感 ★★★
操作性 ★★

日本メーカーらしい高機能モデル

LBT-HP05NMP(エレコム)
実売価格/4180円

5000円以下の製品ながら、高音質コーデックのaptXに対応、NFCによるワンタッチペアリングやSCMS-Tにも対応した高機能モデル。

左右をつなぐケーブルはフラット仕様で、サウンド面でも7.5ミリの専用ドライバーを搭載。日本メーカーらしい作りこみがなされたモデルだ。

【音質の傾向】
やや高域が強めに出るサウンドだが、J-POPの試聴では男性ボーカル・女性ボーカルともメリハリが利いていてメロディーラインが聞き取りやすい。低音もビートの刻みが伝わり、音の情報量も5000円以下としては十分。予想以上に音質は良かった。

ただし、耳元に付ける機器としては大きめのサイズで、ボリューム操作ボタンもやや押しづらかった。

【5つ星評価】
音の情報量 ★★★★
音の広がり ★★★★
低音 ★★★★
装着感 ★★
操作性 ★★★

一台で片耳・両耳のどちらにも対応

BSHSBE32RD(バッファロー)
実売価格/1690円

独立してBluetoothイヤホンとして動作する左側のヘッドセット部に、付属の右側用のイヤホンを増設することでステレオイヤホンとしても使える、拡張性を持ったモデル。片耳なら7gという超コンパクト設計に加えて、ワンセグ音声対応のSCMS-Tもサポートと、日本メーカーらしい作りこみもユニークだ。

【音質の傾向】
片耳+増設という特殊なモデルのためか、サウンドにひと癖ある。特にJ-POPなどボーカル曲を聴くと音に独特な響きがあり、聴きづらさも感じた。

ただし低音についてはパワーがあるため、エレキギターを使ったロックやダンスミュージックなら聞ける水準。心配だった左右のステレオ感はまったく問題ない。耳元の操作になるが、ボタンが大きく音量を操作しやすい。

【5つ星評価】
音の情報量 ★★
音の広がり ★★★★
低音 ★★★★★
装着感 ★★★
操作性 ★★★★

ソフトバンクのaptX対応イヤホン

SB-WS31-SBCO(ソフトバンクセレクション)
実売価格/3560円

Bluetoothヘッドセットとしては珍しく、ヘッドセット部とイヤホン部が分かれたセパレートタイプのモデル。ヘッドセット部の背面はクリップとなっており衣服やかばんなどに取り付けられ、23cmのY字形のイヤホンコードで音楽を聴く仕組み。

高音質コーデックのaptX対応にも対応する。今回紹介する製品で唯一、USBタイプの充電器が付属。カラーバリエーションも全5色と多い。

【音質の傾向】
ハイクオリティーではないがバランスが良く十分聴けるサウンド。低域がやや強くベースのサウンドも中広域までかぶり気味だが、高域のアタックが強くサウンドは歯切れよい。

J-POPを聴いても、男性/女性ボーカルとも音楽的には問題なし。手元で操作できるため操作しやすく、取り回しの良さも魅力だ。

【5つ星評価】
音の情報量 ★★★
音の広がり ★★★★
低音 ★★★★
装着感 ★★★★
操作性 ★★★★★

アマゾンで人気のAnker製品

SoundBuds Sport IE20(Anker)
実売価格/3602円

モバイルバッテリーで知られるAnker社が手がけたBluetoothイヤホン。最新のBluetooth 4.1規格や高音質のaptXに対応するのに加えて、他機種より長い8時間のバッテリー駆動を実現している。

イヤホンの左右がマグネットとなっており、イヤホンの両側を外すだけでペアリングできる作りもユニーク。ラバー製のジャケットには、耳へのフィット感を高める構造が一体化している。

【音質の傾向】
同価格帯の有線イヤホンに匹敵するレベル、と思えるほどに高音質。特にJ-POPの女性ボーカルは声の帯域がシャープで、中域の厚みと共にバックバンドの情報量も豊富だった。

低音も量的には適度なうえに、弾けるようなリズムとパンチがある。ダンス系ミュージックはビートの刻みの再現性が素晴らしい。ただリモコンはケーブル途中に独立してあるタイプで、好みが分かれるところだろう。

【5つ星評価】
音の情報量 ★★★★★
音の広がり ★★★★★
低音 ★★★★
装着感 ★★★★★
操作性 ★★★★

中国メーカーの人気イヤホン

QY-8(SoundPEATS)
実売価格/2780円

中国メーカーの製品ながらアマゾンには多数のレビューが寄せられている人気イヤホン。QY-8は同社のラインアップのなかでもスポーツ向けモデルとして位置づけられ、防汗仕様に対応する。

Bluetooth 4.1対応に、aptXによる高音質再生というスペックの高さだけでなく、本体の外側全体がボタンになっている仕様もユニーク。耳へのフィット感を高めるイヤーフック3種類とクリップも付属する。

【音質の傾向】
音の情報量は十分かつ、音の広がりをもたせた非常によくできたサウンド。次ページで紹介するQY-7は中域重視だが、QY-8は音の余韻の豊かさと低音を重視している。ゴリっとした硬い質感の低域にうなるようなエネルギー感があるので、ダンス系ミュージックにはピッタリ。

J-POPやロックには低音が強すぎるかもしれないが、屋外のリスニングにはマッチするだろう。有線イヤホンに匹敵するハイクオリティーな音質だ。

【5つ星評価】
音の情報量 ★★★★★
音の広がり ★★★★★
低音 ★★★★★
装着感 ★★★★
操作性 ★★★★

2000円台の高音質イヤホン

QY-7(SoundPEATS)
実売価格/2708円

アマゾンでの実売価格が2000円台後半(2016年8月16日時点)と安くて人気を博しているイヤホン。本機もスポーツ用と位置づけられている。

Bluetooth 4.1、aptX対応と、QY-8とほぼ同じ。海外メーカーだがマニュアルは日本語、特に耳に固定するイヤーフックが合計7種類も付属する。本体は大柄でボリュームボタンも搭載、マルチファンクションのボタンで再生など各種操作もできる。

【音質の傾向】
中広域までアタックをしっかり出しつつ、中域にも音情報をしっかり取れるバランス重視のタイプ。特に女性ボーカルと中域の情報量が豊富でJ-POPはキレよく鳴らすし、ジャズ等のアコースティックな音源にもマッチする。

低音はしっかりと沈み込むが、中域とのバランスは整えられており、ジャンルを問わず聴ける高音質だ。

【5つ星評価】
音の情報量 ★★★★★
音の広がり ★★★★
低音 ★★★★★
装着感 ★★★★★
操作性 ★★★★

どの製品がおすすめなのか

今回、5000円以下のBluetoothイヤホンの人気機種をチェックしたが、製品別に大きな傾向の違いが現れた。

まず、通話機能を重視したBluetoothヘッドセットとしての位置づけが強いモデルが、エレコムのLBT-HPC11AVとバッファローのBSHSBE32RDの2機種だ。

エレコムのLBT-HPC11AVは小型・スリムなデザイン、バッファローのBSHSBE32は片耳・両耳に両対応の機能性が売り。ただし、音楽用途をメーンには作られていないようで、サウンドは今ひとつだった。

国内メーカーの製品で音楽にも向いているモデルが、エレコムのLBT-HP05NMPBK、ソフトバンクセレクションのSB-WS31-SBCO/BKの2モデル。

エレコムのLBT-HP05NMPBKは見た目は他のBluetoothヘッドセットに近いが、高音域と低音域がよく聞こえて、J-POPに合うサウンドを実現している。大手量販店で買える入手のしやすさもメリットだ。

これら日本メーカー製品はワンセグ音声のSCMS-Tも対応するため、スマホでワンセグを見る人におすすめしたい。

ソフトバンクセレクションのSB-WS31-SBCO/BKは、クリップ型というデザインと操作性の良さが魅力。サウンドも低音のエネルギー感と中高域とのバランスが良く、まとまっている。音質と操作性を両立したモデルとして狙い目だ。

そして驚きだったのが、Anker、SoundPEATSという、主にアマゾンで販売されているブランドの圧倒的なコストパフォーマンスの良さだ。

AnkerのSoundBuds Sport IE20は中域までシャープで、音の見通しの良さを備えている。SoundPEATSの2製品はスポーツ向けモデルとなるが、QY-8は低音重視、QY-7はバランス重視でいずれも高水準。音質の満足感は非常に高かった。

ただし、ワンセグ音声のSCMS-Tに対応しない点は割り切るべきだろう。

折原のイチオシ
SoundBuds Sport IE20(Anker)

音質で選ぶならAnkerのSoundBuds Sport IE20、あるいはSoundPEATSのQY-8、QY-7の3強になるが、本体のコンパクトさを含め、イヤホンとして取り扱いやすいSoundBuds Sport IE20をおすすめしたい。

(ライター 折原一也)

[日経トレンディネット 2016年8月25日付の記事を再構成]

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