英語でビジネス上の誤解を解くには?デイビッド・セイン(22)

PIXTA
PIXTA

業績不振に苦しむNK商社は何とか打開を図ろうとしています。そこで田中社長が雇ったのが、フルタイムのコンサルタントのリチャードです。何から何まで期待に沿えないリチャードは今や会社全体から疑いの目で見られています。

しかし、これは単なる誤解ではないようです。必死の抵抗を試みるリチャードは皆の誤解を解くことができるのでしょうか。

イラスト Dセイン
Part 1
Richard: Don't worry, I'll be ready for my presentation at 3:00.
Mariko: I'm pretty sure you requested that the meeting start at 1:00.
Richard: Are you sure about that? I think you misheard me.
Mariko: But you sent the time by e-mail. … Yes, that's the time that you sent everyone.
Richard: Oh, I think I meant to write 3:00. So, could we push back the meeting to 3:00?
Mariko: You're serious? You made your bed, and now you'll have to lie in it.
Richard: Come on, it was just a simple misunderstanding.
Mariko: You've made one blunder after another. No one understands what you're doing.
Richard: That's one of the problems around here-poor communication.
Mariko: Don't get the wrong idea. You're the one that misconstrues everything.
Richard: But you do understand how difficult my job is, don't you? Give me a break.
Mariko: You're barking up the wrong tree! I don't feel sorry for you at all.
【対訳】
リチャード: ご心配なく。3時にはプレゼンの準備はできていますから。
 まり子: あなたが1時にミーティングを始めるように頼んだのよね、間違いないわ。
リチャード: そうでしたっけ? 聞き間違いだと思いますよ。
 まり子: でもメールで時間を送ってきたわよ。…そうね、あなたが皆に送ってきた時間よ。
リチャード: ああ、3時って書いたつもりだったんだけど。だから、ミーティングを3時まで先送りしていただけますか?
 まり子: それ、本気で言っているの? それはあなたの自業自得でしょう。
リチャード: 頼みますよ。ただの誤解じゃないですか。
 まり子: あなたは次から次へとしでかすのね。誰もあなたが何をしているのかなんて理解してないわよ。
リチャード: それこそが、ここでの問題なんですよ―― コミュニケーションがよくないことなんです。
 まり子: 勘違いしないでよ。あなたこそが、すべてを間違って解釈しているわ。
リチャード: でも私の仕事がどれだけ大変なのかは理解できますよね? 勘弁してくださいよ。
 まり子: まったくのお門違いね! あなたに同情する気は全くないわ。

解説)

…you requested that the meeting start at 1:00.: 「あなたはミーティングが1時に始まるように頼んだ」の意味。

*この文では、主節の動詞の時制が過去形 (requested) になっていますが、時制の一致が起こらずに、従節の動詞の時制が現在形 (start) 、それも主語がthe meeting という三人称単数であるにもかかわらず、原形になっていることに注目しましょう。

主節の動詞がrequest, insist, demand, suggest, proposeのような特定な動詞の場合は、従節の動詞は、時制人称にかかわらず、必ず「原形」になることを覚えておいてください。

例)We suggested that the meeting be cancelled. 「私たちはミーティングを中止するように提案しました」

Are you sure?: 本気なの?

*日本語の「本当?/マジ?」と言いたい場合でもOKです。

mishear: 聞き間違える/聞いて誤解する

*接頭語misには「間違って/誤って」の意味があります。

例)misunderstand: 誤解する、mislead: ミスリードする/誤った方向に導く miscalculate: 計算違いをする

mistake: 誤り misinformation: 誤情報

*disinformation: 誤って流してしまう情報misinformation とは違い、「人を混乱させる/真実を隠すなどを目的とした偽情報」の意味。

You've made one blunder after another.: あなたは次から次へとしでかすのね。

*make blunder: どじを踏む/へまをする/大失敗をする *one after another: 次から次へと

You made your bed, and now you'll have to lie in it.:「自分でベッドを作ったんだ。だからそこで寝なければならない」が直訳。例え心地の悪いベッドだろうが、自分が用意したのだから、自分はそこへ寝なさい」の意味になります。

*「自業自得/身から出たサビ」などの意味です

Part 2
Richard: And so my conclusion is that NK Trading needs to increase sales to improve your financial situation.
Tanaka: Um… Richard, I think you have misunderstood what we hired you for.
Richard: What do you mean? You wanted to know what the problem is, didn't you?
Tanaka: No, we know the problem. We want to know how to increase sales.
Richard: Why didn't you tell me that when you hired me? You mislead me.
Tanaka: I what?! I specifically asked you to tell us how to boost sales!
Richard: Well, then maybe it was a slight oversight on my part.
Tanaka: No, it was a serious oversight.
Richard: This is just my first report. I'm sure I can come up with some good ideas.
Tanaka: After how long? You do know your two-month contract ends today?
Richard: No, I think you miscalculated that. It's for 60 days, not two months.
Tanaka: It's obvious that we're not seeing eye to eye.
Richard: Okay, I'll send you my invoice.
Tanaka: For what?! You haven't done a single thing?!
【対訳】
リチャード: そこで結論ですが、NK商事は、財務状況を改善するために売り上げを伸ばす必要があるということです。
  社長: うーん、リチャード、君は我が社が何のために君を雇ったかを誤解していると思う。
リチャード: どういう意味でしょうか?あなたは問題が何であるのか知りたかったのではないのですか?
  社長: いいや、問題は分かっている。我々はどうすれば売り上げが増すのかを知りたいのだ。
リチャード: 私を雇うときになぜそう言わなかったのですか? あなたは私をミスリードしましたね。
  社長: 私が何を? 私は、売り上げをあげる方法を具体的に尋ねた!
リチャード: ええと、それなら、それは私の方に若干の過失があったようですね。
  社長: いや、これは重大な過失だ。
リチャード: これはまだ私の最初の報告書です。必ずやよいアイデアを出せるはずです。
  社長: それはどれくらい先の話だね?君は2カ月の契約が今日終わることを知っているはずだ。
リチャード: いや、社長は計算違いをしています。60日で、2カ月ではありません。
  社長: 明らかに君とは見解を異にするね。
リチャード: 分かりました。請求書を送ります。
  社長: 何のためだね?! 君はただのひとつもやってないじゃないか?!

解説)

My conclusion is that….: 私の結論はthat 以下です/that 以下が私の結論です。

what we hired you for: 私たちが何の目的であなたを雇ったのか

on my part: 私の方に *on one's part: ~の方としては/~の側では/~にとってみれば

oversight: 見過ごし/見落とし/手落ち

It's obvious that: ~であることは明らかだ

see eye to eye: 意見を同じくする/同じ見解を持つ/目の高さが同じである

You haven't done a single thing.: 何ひとつしていないじゃないか。

*not a single thing: ひとつもない  single で「~も」という強調の意味を表しています。

セインのビジネスひと口メモ

日本では、相手を当惑させない、争わないことはとても重要です。そのため、面と向かって相反することを避けようとする傾向があります。しかし、アメリカは、逆に混乱や誤解を避けるためにこそ、人ときちんと向かい合うのが一般的だと考えます。お互いに同意したり、話したりしたことを要約することがひとつの方法になります。そのような場合Let me summarize what we agreed on.「お互い同意したことを要約してみます」のようなフレーズを使って始めればよいでしょう。

一般的な言い方になりますが、日本語を話すよりも英語を話す場合は、誤解を避けるためにも直接的であることが大切です。「アメリカ人はストレートだから」は日本人がアメリカ人を評するときによく使う表現ですが、これは必ずしも真実ではありません。直接的であっても、あくまでフレンドリーであることが重要だと考えられています。フレンドリーな気持ちや姿勢が伴わない「直接的」は心のしこりとなり、将来の可能性を摘むことになります。

Have a nice day!

:D セイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は9月15日の予定です。
デイビッド・セイン(David Thayne)
米国出身。累計売り上げ部数350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」(www.smartenglish.co.jp)の代表を務める。日本で26年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまでに教えた日本人は数万人にのぼる。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発している。
東京・文京区のエートゥーゼット英語学校の校長を務めるとともに、英会話教育メソッド「デイビッド・セイン英語ジム」(http://www.david-thayne.com)の監修も行っている。主な著書に、「チームリーダーの英語表現」(日本経済新聞出版社)、「ネイティブが教える英語の語法とライティング」(研究社)などがある。

英語で実務をこなせるようになる実践講座/日経ビジネススクール

確実にマスターできる「英語の学び方」からビジネス英会話、英文メールの表現力を高める講座まで!

>> 講座一覧はこちら

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧