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テミン 東方神起の弟分が語る日本活動5年と次の一手 テミン(SHINee)インタビュー

日経エンタテインメント!

2016/9/20

天使と悪魔の奇妙な同居――。手垢にまみれた表現だが、彼を説明するにはこれが最も適当だろう。歌い踊る時の圧倒的スキルと、見る者をゾクリとさせるカリスマ性。それとはまるで別人のような、普段のぽやっとした愛くるしさには誰もが目を丸くする。取材日も、ソロデビューにあたり「新人に返った気持ちです」と、ピカピカ笑顔で現場に現れた。

テミン 1993年7月18日生まれ、韓国・ソウル特別市出身。B型。08年5月よりSHINeeの一員として韓国で活動を開始し、14年にはソロデビューも果たしている。ダンスの他、ピアノやサッカーが得意 (写真:小林ばく)

5人組ボーイズグループ・SHINeeは、ハイレベルな韓国のアイドル界においてもトップクラスの実力派。東方神起の後輩である彼らは、11年の日本デビューから5年、芸術と呼んでいいパフォーマンスと素朴な人柄で、着実に人気を獲得してきた。

そんなグループの末っ子にしてずば抜けたダンスの名手であるテミンが、7月27日にミニアルバム『さよならひとり』を発売し、日本ソロデビューを果たした。

タイトルチューンの『さよならひとり』は、世界で活躍する日本人ダンサー・菅原小春が振り付けを担当。また収録曲のひとつ『Press Your Number』は、作家陣にグラミー賞アーティストのブルーノ・マーズが名を連ねてもいる。テミンの力量でなければ表現しえなかったであろう、非常にシックで聴き応えのある1枚に仕上がった。

収録された5曲にはそれぞれに魅力があって、曲を通して僕の内面を全部見せることができたと思います。…全部は言いすぎかな、まだちょっとは残ってるかもしれないけど(笑)。

タイトル曲の『さよならひとり』は、新しいスタイルのアジアンテイストで、デモを最初に聴いた時から僕自身、一番気に入ってたんです。プロデューサーの方にぜひ収録したいと相談していたんですけど、タイトル曲にまでなって、とてもうれしかったです。もし自分で選べたとしても、絶対これを選んでました。

■振り覚えにかかった時間

歌詞もすごく美しいと思います。例えば「咲き誇る花よ」っていうサビのフレーズなどは韓国ではあまり見ない詩的な表現で、なんか日本語独特の“情緒の香り”があるなぁと感じました。

韓国では、感情をストレートに情熱的に表現する歌が多いんです。でも日本では、「好き」を「好き」と言わずあえて別の言い方で伝えたりしますよね。そういう日本流の感情表現とかコミュニケーションがだんだん理解できるようになってきたし、僕もそれに近付きつつあるような気がします(笑)。

日本のアニメや、日本語堪能な周囲のスタッフたちの指導により勉強中だという流暢な日本語。それを讃えると、「いえ、(SHINeeメンバーの)キーさんに比べたら本当に全然です。キーさんは英語もよく知ってるんですよ、天才です! 僕はあんまり言葉と仲が良くないです…」などとかわいい言い回しをして、また笑う。

その『さよならひとり』のミュージックビデオ撮影は、なんと休憩以外は約16時間、ほぼ踊り通しだったのだとか。

ハハッ、結構やばいですよね! それでも途中、家から持ち込んだミニセグウェイに乗って遊んだりする心の余裕もあったんです(笑)。

菅原小春さんの振り付けは、今まであまりやったことのない感じのものでした。表情も含め、精神的な部分での集中力が普通よりすごく必要で、僕の集中が途切れるとすぐにお客さんにもバレちゃう曲だと思います。そのうえ結構激しいダンスなので息が足りなくなって、難しかったですね。

振りを覚えるのに必要な時間は曲によって毎回違いますけど、今回はだいたい6時間ぐらい。ただディテールとか見えない所までちゃんと練習して完成させるまでには、4日ぐらいかかりました。MV撮影で繰り返し踊ることによって、その振りに込められた意味や深さが自分の中でどんどん馴染んでいった、というのもあります。

■MJのアレをまねしたくて

ダンスを始めたのは8歳の時。韓国のアーティストや、マイケル・ジャクソンの歌い踊る姿を見て、そのまねをするところからあっという間にのめり込んでしまった。独学でポップダンスをものにし、小6にして、現在の所属事務所であるS.M.エンタテインメントのオーディションに合格する。

知らないうちにどんどんダンスにはまって、音楽が好きになりました。特にマイケルが『スムーズ・クリミナル』(87年)でやっていた、ゼロ・グラビティー(※直立のまま全身を前傾させるイリュージョン的ワザ)を見て、僕はあれがマジで実力だと…仕掛けなしだと思って!「どうやったらできるんだろう」って、公園のブランコに胸だけ乗せて、一生懸命まねしてました(笑)。学校の勉強は…、あまり頑張らなかったです(笑)。

ダンスに関して尊敬するアーティストは、他にPopin’Peteや、Mr Wiggles。また、僕たちが振り付けでお世話になっているトニー・テスタさん、イアン・イーストウッドさん、(仲宗根)梨乃さんなどなど、いろんな方から影響を受けましたね。

韓国でも一足早くソロデビューをしているが、ソロ活動の経験を通して学んだこととは?

これは僕だけが感じてることかもしれませんが、スタッフの皆さんとの距離がより近くなった気がします。SHINeeのメンバーがいないのは寂しいですけど、その分、スタッフの皆さんがどんな仕事をしているのか、どんなふうに後ろでサポートしてくださっているのかを、もっと正確に知ることができるようになりました。

SHINeeとしては日本で活動を開始して丸5年が経ちましたが、正直に話すと、大変だった時も多かったと思います。なかでも僕にとって意味が大きかったのは、日本の各地を細かく回ったホールツアー(14年、全国20カ所で公演)。みんなでバスで移動していた景色が思い出されるんですけど、あの時期はかなり日程が詰まっていたので疲れがたまって、それをスタッフさんたちの前でも表に出してしまうことがありました。でも今考えると、そういう経験を重ねながら踏ん張ったことが、ドームでの公演という結実につながったと思います。

グループは“我が家”そのものです。僕は今は実家暮らしですが、前に住んでいたメンバーの宿舎に今でもよく泊まったりもしています。だからSHINeeといえば宿舎の風景であり、我が家に帰るような感じがあって。

これまで大体1年に1回のペースで、SHINeeとしてアルバムを出すことができています。メンバーそれぞれ、やりたい分野で自分の目標・夢をかなえながら、アルバムを出す時には成長した5人がまた集まる。そんなふうにして、息の長いチームとしてずっとやっていきたいと願っています。

■膨らむライブ作りへの欲求

ライブ作りへの意欲も膨らんでいるというテミン。5月に行われたSHINeeのドーム公演では、メンバー個々のアイデアや意思がこれまで以上に盛り込まれた。

 はい。僕も自分のソロコーナーに関しては、装置や照明、立ち位置、演出、編曲、自分とダンサーの衣装まで、結構細かくこだわって参加しました。

僕は、音楽と演出は切り離せないものだと思っています。ダンスも歌詞も衣装も、音楽を表現するための手段で、たくさんの手段が集まってひとつの作品を作り上げている。なので、演出とか照明も、本当は全部その歌手自身がメインになって総合的に作れたらそれが理想じゃないかなと思うんです。統一感のあるいいものができるんじゃないかな? って。今後もしソロでライブをやる機会があれば、ぜひ挑戦してみたいです(照)。

例えば『さよならひとり』をもしステージで演出するとしたら…。この曲は「カッコイイな」と思う暇も与えないほど、お客さんを引き込むことが重要なので、まずステージを客席中央に置いて、どの角度からも全身のパフォーマンスがよく見えるようにしたいですね。あと布もたくさん利用すると思います。照明は、起承転結の構成がしっかり際立って見えるように。うーん、今すぐ浮かぶのは、それぐらいしかないんですけど…。

 ライブ作りにあたって、他のアーティストのライブ映像などを見て参考にすることはありますか?――そう聞くと、独自の確固たる考えを少しだけ明かしてくれた。

最近のものはもう出尽くして、どれも似通っているように感じられるので、逆に昔の人の映像をよく見ています。というのは、昔のものを93年生まれの自分が再解釈してみることが、僕が思う“新しいものを生む方法”のひとつだからです。

音楽の歴史って、起源となる音楽がひとつあったとして、それが様々に枝分かれしていろんなジャンルへと派生していったわけじゃないですか。それなら、あえてその根源に近い音楽に一度さかのぼることで、今まで派生していなかった、新たな枝分かれが生まれるかもしれない。そこに自分が表現できるものが何かあるんじゃないかなと思うんです。

それにしても終始微笑みを絶やさない青年だ。思わず「どうしていつもニコニコしてるんですか?」と尋ねると、「分かんないです。ただ生きてて面白いです!」との答えに、その場にいた一同爆笑。パフォーマンスしている時の鬼気迫る表情とのギャップが大きすぎて戸惑うほどだ(でも怒ることだってあるんです、とは本人談)。

最後に音楽業界全体について聞いてみた。世界的なCDセールス不振は言うまでもなく、メディアの過渡期に活動する1アーティストとして今、思うことは何か。韓国の音楽界を例にこう話す。

韓国は日本よりも早くに、CD、つまり音盤市場よりも、スマホで手軽に聴ける音源サイトのマーケットがどんどん大きくなっている状況だと思います。でも僕は“聴く”音楽よりもステージで“見せる”音楽をやっている立場の人間として、残念な気持ちも持っています。

なんていうか、音楽周辺のいろんなことがもっと盛り上がればいいのにと思うんです。音盤にはジャケットやMVなどの楽しみもあります。公演文化ももっと活発になって、実際に足を運び、音楽を感じて楽しむ人がもっと増えたら、もっといいんじゃないかなって。スマホやパソコンの中で終わらせるんじゃなくて…。ハイ。

韓国ではデビュー9年目の実力派(C)hajime kamiiisaka
SHINeeとは?
テミン、オンユ、ジョンヒョン、キー、ミンホから成る平均年齢24.6歳の5人組。東方神起の後輩として08年にデビュー後、11年6月日本デビュー。韓国の男性グループには珍しい癒やし系で、ナチュラルな親しみやすさが持ち味だ。
パフォーマンスの実力は折り紙付き。世界の一流ダンサーたちが手がけた独創的な振り付けは人をワクワクさせ、見飽きることがない(その難易度と中毒性は公式YouTubeの“練習動画”で一目瞭然)。オペラ歌手ばりの声量を持つオンユを筆頭に、全員がメインを張れる生の歌唱力も必聴。流した汗が報われ、15年16年と2年連続ドームライブを実現。アルバムもオリコン1位を取るまでになった。

(ライター 上甲 薫、 スタイリスト VALET(SLITS)、ヘア Lee Soyoung、メイクKim Minkyeong)

[日経エンタテインメント! 2016年9月号の記事を再構成]

今週はK-POP特集。5回連続でK-POP新世代を紹介します。
9月20日(火)テミン(SHINee)
9月21日(水)BIGBANG、WINNER、iKON
9月22日(木)Boys Republic/少年共和国
9月23日(金)Apink【研究編】
9月24日(土)Apink【インタビュー編】

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