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「怒りのピーク」は6秒、感情と上手に付き合う秘訣 アンガーマネジメントで、ストレスも対人関係もスッキリ!

戸田久実さん(アドット・コミュニケーション代表取締役、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事)

2016/9/7

「怒り」に振り回されず、「こうして」を言葉で伝える

 毎日の生活や仕事で、ついカッとなって「あれほど怒らなければよかった」と反省することは誰にでもあるだろう。アドット・コミュニケーション代表取締役の戸田久実さんは、「怒りを感じてもいいが、その感情に振り回されないで」と、アンガーマネジメントで自分の感情を見つめて相手への伝え方を磨くことを提案する。

「怒り」は自然な感情、裏側の「気持ち」伝える

 今まで「あんな怒り方しなければよかった」「なんであんなことを言ったのだろう」と、後悔したことがある人は多いでしょう。アンガーマネジメントはこうした場面に役立ちます。アンガーマネジメントは怒らないことではなく、「怒りで後悔しないようになること」を目指します。怒りに振り回されず、上手に付き合えるようになろう、ということです。

 怒りとは、うれしさや楽しさと同じ自然な感情です。私たちは、ばかにされたり、批判されたりして、心や体の安心・安全が脅かされそうになったとき、怒りで対応します。問題となる怒りは4種類あります。

 強度が高く怒りが止まらないタイプ、持続して根に持つタイプ、しょっちゅう文句を言う頻度が高いタイプ、人を攻撃したりモノを壊したりする攻撃性を持つタイプです。こうした傾向が私にもあると、自分を理解することが第一歩です。

 怒りは二次感情とも言われ、その裏側には不安や困惑、心配といった一次感情が潜んでいます。例えば、「彼氏にラインやメールで連絡しても、返事が無くてむかつく」と怒っていた女性がいました。カッとしたのが二次感情で、本当は「連絡がなくて心配でさびしい」という一次感情があったのです。それに気づかず、言葉でうまく伝えられなかったのです。

「許せる」基準を明確に、相手の価値観も認めて

 実際にアンガーマネジメントをしてみましょう。まずは、最近1週間で怒りを感じたことを紙に書いてみてください。専門的にはアンガーログ(怒りの記録)と言います。自分がどんなことで怒りを感じるか、客観的に分かります。

 その怒りがなぜ起こるかを探ると、自分の「こうあるべき」と思う価値観が思い通りにならなかったときに、怒りを感じるのではないでしょうか。「メールはすぐ返信するべき」「電車の中ではリュックは前に抱えるべき」など、人によって「こうあるべき」の内容や程度は違います。

 今日のような研修で「時間を守るべき」といった場合、時間ぴったりに着いた人がいたとします。自分と同じ基準だと感じる人もいれば、許容できないという人もいるでしょう。自分の「怒る・怒らない」の境界線を明確にしてください。

 その上で、まずは同僚や友人に「私は5分前に来てほしい」などと、具体的に知らせてください。また、自分と違う考え方の人がいても、「そういう価値観なんだ」と受けとめられる「心の器」を広げる努力も大切です。

 新入社員研修で、「電話は積極的に出ましょう」と言ったら、「何で?」と聞かれました。家族の携帯に勝手に出ないのと同じで、職場でも出てはいけないと感じていたのです。ここで新人に「会社の電話は出るのが当たり前だ」といきなり怒るのではなく、「家と違って会社の電話は出てください」と伝えることが重要です。それと、その日の機嫌で許容範囲を広げたり狭めたりしないことも心がけてください。

「怒りのピーク」は6秒、数値化してやり過ごす

 では、カッとしたときに役立つと思える方法を紹介します。

 1つは「怒りのピークは長くて6秒」です。激高するような怒りでも、6秒をやり過ごせば怒りに任せて衝動的に行動しにくくなります。やり過ごすテクニックとして、怒りを数値化する方法があります。0がまったく怒りを感じない、10を人生最大の怒りとして、今の怒りがどの数字かを考えます。数字に意識を向けている間に6秒たつのですが、これはトレーニングが必要です。

 もう1つが、「自分の力でコントロールできるか」を考える手法です。例えば、「何で今日はこんなに暑いの?」と思っても、天気は変えられないので「まあしょうがないか」と気持ちを切り替えられます。一番いけないのは、どうにもならないことについて願い続けたり、呪ったりすることで、不要なストレスを抱え込んでしまいます。

 怒りを適切に表現することも心がけましょう。まず「何を一番言いたいか、はっきりさせる」。部下や後輩、子供を叱る際、「何を叱っているのか」「どう改善してほしいか」をはっきり伝えます。次に、「私」はこうしてほしいと、「私」を主語にします。3番目は「私は正しい」という気持ちで話さない。コミュニケーションのゴールは、自分の正しさを証明することではなく、分かり合うことです。

 叱るときのNGワードを4つ挙げます。

 1つ目は正確な表現を心がけること。「あなたはいつもこうだ」と決め付けるのは正確ではありません。2つ目は人格否定をしない、3つ目は「なぜ」で相手を責めないことです。最後は過去を引っ張り出さないこと。夫婦げんかでもよくありますが、「前から言おうと思っていたけど」と過去をほじくり返すと、シリアスな状況になってしまいます。

 ポイントをまとめると、「怒らなくていいことは怒らない」「怒るなら適切な表現や場所を選ぶ」「自分の感情に責任を持つ」という3点です。アンガーマネジメントの基本的な考え方ですが、生活や仕事に役立つ点があるでしょう。

戸田久実さん (とだ・くみ)
アドット・コミュニケーション代表取締役、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事
立教大学卒業後、大手企業勤務を経て研修講師に。大手民間企業や官公庁の研修や講演の講師を歴任し、講師歴は約25年、指導人数は10万人以上に及ぶ。2008年より現職。著書に「アンガーマネジメント怒らない伝え方」(かんき出版)、「マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント」(JAMA)などがある。

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