出世ナビ

トップは逆境を超えて

ブラジル大統領の無理なご要望、帝国流おもてなしで 帝国ホテル社長兼東京総支配人の定保英弥氏

2016/9/3

「逆に、私が企業を訪問した際におもてなしを学ぶこともあります。トップの方が部屋ではなく、下までおりてこられて、クルマが見えなくなるまで見送る方がいます。来社してくださった方を最後まで見送っていただけるというのはうれしいですよね。我々ホテルマンも、帰られるお客様を見えなくなるまでお送りする、というのは非常に喜んでいただけることだと感じました」

――帝国ホテルを訪れるお客様のなかには、無理難題や厳しい要求をする方もいると思います。

「我々のミッションは、『世界中のどんなものでも要望があれば、要望に応えるべく準備する』ということです。この言葉は、120年前に開業したときに、渋沢栄一が当時の東京府知事の祝辞に対して、お返しの言葉としていったものでした。これが我々の役割と心得で、絶対に譲らない、ということです」

――定保さんの経験されたもののなかで、厳しい注文はありましたか

「今でも覚えているのが、天皇陛下の即位の礼に訪れたブラジルのコロル大統領にいただいたリクエストでした。彼は元俳優で、非常におしゃれな人でした。ある夜遅くに、『次の日の朝までにタキシードとワイシャツを準備してくれ』というのです。私は知っている百貨店に手分けして電話しました。たまたま大学の先輩が西武百貨店に勤めていたのですが、『お前こんな時間にそんなことできるはずないだろう』といわれました。よくよく聞いてみると、『朝マラソンに行く時にタキシードの絵が書いてあるTシャツを着たい』、ということで、事なきを得ました。本当にぎりぎりまで探しましたね。できないとはいいたくありませんから」

「松井秀喜選手がニューヨーク・ヤンキースに渡るときの記者会見を開く会場を用意してくれ、とかなり深夜に読売巨人軍から連絡がきたこともあります。日ごろ宴会場をセットする人間もいない時間だったので、電話を受けた営業のメンバーが管理職中心に声をかけて、翌朝に間に合うようにセットした、ということもありました」

出世ナビ 新着記事

ALL CHANNEL