緊急時に備える iPhoneへの「命の情報」登録
先日、妻と旅行した際にちょっとしたトラブルがあった。妻が突然「胸が痛い」とうずくまってしまったのだ。いつもであれば、かかりつけの病院に駆け込むところだが、旅行先ではそうもいかない。
とりあえず、ネットで近くにある病院を探しだし、車で30分ほどかけて行くことにした。病院では、問診の後、レントゲンやCT、心電図などの検査を行い、その結果は「疲れ」という診断。大事には至らなかったのは幸いだが、肝を冷やした。
その際「旅先でも、情報を正しく病院に伝えることができているか」という漠然とした不安を感じた。
かかりつけの病院であれば、病気/怪我などの既往歴や現在の健康状態といった情報を持っている。医者とも面識があり、症状や状況の説明などもしやすい。
しかし旅先の病院は、そのような情報はもっていない。往診で、ひと通りの説明はするものの「抜けがあるかもしれない」、「必要な情報を伝え切れていないかもしれない」、「そもそも病院に専門医がいるのかもわからない」と、不安に感じてしまったのだ。
病院が必要とする情報を適切に伝えることができれば、このような不安は解消されるかもしれない。今回は往診で情報を伝えることができたが、意識不明といった状態の場合には、受け答えすら難しい場合もあるだろう。
どんな状況であっても、血液型や持病/アレルギーの有無といった命に関わる情報については、病院や救助隊に対して正確に伝えたいものだ。
実は、iPhoneにはこれらの情報を病院に提供できる機能が用意されている。その機能の使い方や設定を覚えておくといい。
「ヘルスケア」アプリで情報を登録
iOS 8から追加された「ヘルスケア」アプリには、ロック画面からでも血液型や既往歴、アレルギーの有無といった情報を表示する「メディカルID」がある。
万が一の緊急時に病院や救助隊に対して、これらの情報だけでも伝えることができれば、その後の処置がスムーズになることもあるだろう。
メディカルIDに情報を登録するには、「ヘルスケア」アプリの「メディカルID」をタップした後に、表示されるメニューに沿って、共有したい情報を記載していくだけ。
「氏名」や「生年月日」、「アレルギー」「使用中の薬」「血液型」などの情報を登録していけばいい。また、「医療メモ」には、かかりつけの病院名や救急隊への連絡事項を記入しておくといいだろう。
何もすべての項目を記入する必要はない。メディカルIDの情報は、誰もが閲覧できる情報となる。不特定多数の人がその情報に容易にアクセスできる情報となるため、プライバシーに関わる情報や他人に知られたくない情報については、あえて記載しないというのも1つの方法といえるだろう。
また、メディカルIDには、「緊急連絡先」を登録できる。もし、意識不明になった場合、家族や知人と連絡をとる必要が出てくる。この緊急連絡先に設定をしておけば、万が一の時にもスムーズに連絡が取れる、というわけだ。
もしものときは「緊急」からアクセス
メディカルIDに登録した情報を閲覧するには、ロックされているiPhoneから「緊急」の文字をタップするだけでいい。緊急連絡先を登録している場合には、ここから発話して連絡を取ることもできる。
救急隊や医者などのほか、事故を目撃した人や救護している人などがこの操作をすることで、iPhoneの持ち主の関係者と連絡を取れる。緊急時に使う機能なので、家族や親戚も使い方を覚えておくといいだろう。
メディカルIDは、もしもの時に重要な情報提供する機能だ。いつ、どこで体調が悪くなるかわからないし、事故に巻き込まれる可能性だってゼロではない。
もしもの時のために、あらかじめメディカルIDを記入しておけば、助かるケースもあるかもしれない。メディカルIDの使用を強くおすすめしたい。
(ライター 秋葉けんた)
[日経トレンディネット 2016年8月10日付の記事を再構成]
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