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共働きの保険どう分担? 学資保険は収入多い方

2016/8/27

 共働きの夫婦が増えている。お互いに収入があるため、どんな保険に入るか加入者をどちらにするかなどを選べる余地が片働き世帯に比べ大きい。必要な保障や保険料を吟味し、共働き世帯にあった保険を考えてみよう。

 静岡県に住む公務員のAさん(36)は10月に第2子を出産する予定。いまの悩みは学資保険を夫婦のどちらが契約するかだ。夫も公務員で同じ職場で働き、収入は同程度。生活費は半分ずつ分担しているが、生命保険と第1子の学資保険など一家の保険はすべて夫が契約してきた。「契約者が夫だけでいいのか、保障は十分なのかを見直したい」と話す。

 共働きの世帯数は2015年に1379万と、夫が就業し妻が専業主婦の世帯の763万を大きく上回る。強みは夫婦ともに収入があり、貯蓄しやすい点だ。総務省の家計調査によると、共働き世帯の収入から食費、住居費などの支出を差し引いた額は月約15万円の黒字。夫のみが働く世帯に比べ6万円ほど多い。

■医療費は貯蓄で

 では共働き夫婦は保険でどんな点に注意すればいいだろうか。まず「夫婦とも正社員なら、医療保険の優先順位は低い」とファイナンシャルプランナー(FP)の竹下さくら氏は助言する。「治療費や入院費は貯蓄で対応できる可能性が高い」からだ。

 病気や事故で多額の医療費が発生しても、健康保険の適用対象であれば年収に応じて自己負担に上限がある。例えば年収が約370万~770万円の人は月10万円弱だ。治療が長引いても、会社勤めの場合は健康保険組合から収入の3分の2が傷病手当金として最長1年半支給される。

 一方、夫婦ともに加入が選択肢になるのは、病気やケガなどで長期間働けなくなったときの備えだ。二人の収入で家計を支えている場合、どちらかの収入が途絶えると困窮しかねない。所得補償保険や就業不能保険は所定の条件を満たすと、毎月一定額の給付が受けられる。

 社会保険労務士の井戸美枝氏は「子どもが小さいときや貯蓄がある程度たまるまでの期間に限って契約を検討するのが一案」と助言する。夫婦それぞれが加入すると保険料はかさむが、勤務先の団体保険で取り扱いがあれば、個人で契約するよりも一般的に割安になりやすい。

 夫婦のどちらが契約するかによってメリットが左右される保険もある。特に子どもに関わる保険は検討の余地がある。例えば学資保険。契約者が死亡した場合は保険料が免除になり、保険金は全額を受け取ることができる。このため「まず第1子は収入が多く、亡くなると家計への影響が大きい人が契約したい」とFPの畠中雅子氏は話す。

 2人目以降は、第1子を夫が契約したら第2子は妻にするなど契約者を分けるのがお勧めだという。2人目以降も夫の契約にすると、万が一妻が亡くなって収入が減った場合に保険料の負担が重くなる可能性があるからだ。

■保険料控除忘れず

 夫婦の収入がほぼ同じなら、返戻率の高い方が学資保険を契約するといい。一般的に男性より女性、年上より年下の方が高くなりやすい。ある大手生命保険の例でみると、30歳の女性が保険金300万円、18年払いの条件で契約した場合の返戻率は約110%。40歳の男性が契約するのに比べて約2ポイント高い。

 家計に余裕があるなら、保険料の支払期間を5年などと短くすることも返戻率を上げるポイントだ。子どもが小さいうちにメドを立てておけば、中学校や高校など教育費が膨らむ時期に家計のやり繰りがしやすくなることが期待できる。

 共働きなら、子どもを夫婦どちらの健康保険に入れるかも迷いやすいところだろう。厚生労働省によると、夫婦の収入に差がある場合は多い方の健保に加入するのが原則。収入がほぼ同じなら、生活費を負担するなど生計を維持している方に加入する。

 夫婦で加入先を検討する余地があるのは、冒頭のAさんのように生活費も折半しているケースだ。会社員なら健保組合によって家族手当や付加給付などに差がある。井戸氏は「夫婦それぞれの健保組合の規約を確認し、有利な方に申し込もう」と助言する。

 保険料の控除も忘れず利用したい。対象は自分が保険料を支払っている保険なので、妻が契約している保険でも夫が保険料を負担していれば夫が控除を受けられる。夫の方が所得税率が高い場合は有利になるが、注意が必要だ。

 例えば妻が自分で生命保険の保険料を払っていれば、妻の死亡後に夫が保険金を受け取っても相続税の非課税枠を使える。しかし夫が保険料を払っている場合、保険金は一時所得として課税される。収入に差があっても「夫婦それぞれが保険料を負担するのが無難だろう」と辻・本郷税理士法人の金子敦子税理士は話している。(川本和佳英)

■学資保険の名義 離婚時に注意を
 学資保険は夫婦のどちらが契約者でも離婚時は共有財産として財産分与の対象となる。分け方としてはまず、保険を解約して返戻金を分配する方法がある。離婚後も契約を継続したい場合は返戻金の見込み額を保険会社に算出してもらい、契約を継続する人が見込み額の半分を相手に払う方法がある。
 保険を継続する場合は「継続を希望する人を契約者にすることが大切」と弁護士の甲本晃啓氏は助言する。契約者を変更する場合は、保険会社へ連絡して必ず名義を変えておこう。名義が従来のままだと勝手に解約されたり、保険金が支払われてもお金の受け渡しがスムーズにできなかったりしかねない。

[日本経済新聞朝刊2016年8月24日付]

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