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繊細なのはダメなこと? 強くなる努力は必要なのか

日経ウーマンオンライン

2016/8/30

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アメリカで注目が集まっている“ハピネス研究”を知っていますか。この分野では、「働く人の精神がどのように仕事に影響するか」についての研究が盛んに行われ、それが実践の場でも取り入れられています。これは仕事で感情を出すことをタブーとしがちな日本とはずいぶん違う考え方です。翻訳・通訳者の相磯展子さんが、「ハピネス研究」をはじめとする海外の仕事観を紹介しながら、日本の仕事の常識に疑問をぶつけていきます。違った視点に触れることで、悩みを解決するヒントがきっと見つかるはずです。

仕事場で見下されがちなのがいわゆる「繊細」と言われる人たち。あなたもその一人でしょうか?

「もっと強くなれ」「いちいちそんなことを気にするな」「終わったことばかりくよくよ考えるな」。繊細な人であれば周囲からこんなことをさんざん言われてきたはず。そしてそんな自分がダメだと思い、強くなる努力もしてきたのではないでしょうか?

しかし、ここで一つ疑問を投げかけたいと思います。果たして繊細な人は努力で強くなれるのでしょうか?

ライフコーチのMarie Forleo(マリー・フォーリオ)は、繊細な人は仕事場で強くなることではなく、賢くなることが重要だと指摘します。まさにその通りです。自分が周囲と違うことを認め、その特性に沿った工夫をする必要があるのです。

これは何も繊細な人に限ったことではありません。自分の特性を知り、それを生かす努力をすることは誰にとっても非常に大切です。

今回は、Forleoが提案する繊細な人のための「自分を守るため3つのステップ」をご紹介します(出典:Marie Forleo「Should You Toughen Up? Unexpected Advice For Sensitive Souls」)。繊細さに悩んでいる人はきっと参考になるはずです。

■1日を「賢く」始めよう

繊細な人はちょっとしたことに影響されやすいのです。自分が安定した状態で仕事をするためには、自分に合った環境・状況を作っていくことが必要です。

[引用] 自分の調子を狂わせかねないメールチェック、SNSチェック、そして会議も、朝一番のタスクに入れないこと。あなたの1日の調子をギャンブルにかけているようなものなので、やめましょう。その代わり、朝一番はもっとも大事なタスクに集中しましょう。《中略》これによって、仕事の優先順位が決めやすくなるだけでなく、他の人のせいで自分の調子が狂う可能性も少なくなります。

■意見や批判は相手の価値観の反映に過ぎない

繊細な人は打たれ弱いことが多いのではないでしょうか。しかし、批判は何も悪いことばかりではありません。相手の意見の裏にある意図を考えれば、そこからプラスなものを受けるとることもできます。ひとまず、傷ついた自分からフォーカスをずらし、相手の言葉の意図について考えてみましょう。それは単なるやつあたりでしょうか、それともそこにはあなたが成長するためのヒントが隠されているでしょうか。

[引用] 友人、上司、クライアントからマイナスなフィードバックや建設的な批判を受けた時、いったん立ち止まり、すべての批判が悪いわけではない、ということを思い出してほしいのです。むしろ、その批判のもとにあるものを考えてみれば、そこから成長できるかもしれません。自分の成長、進歩を手助けしてくれるような真実が相手の発言に少しでも隠れていないか、自分に問うこと。

そして、もう一つは相手の言うことを真に受けすぎないこと。繊細な人の多くは自分の立場や意見を差し置いて、相手の視点や立場に寄り添いすぎてしまいます。そうすると、相手の基準や価値観と、自分とのズレに苦しむのです。

繊細な人が批判を受け止めきれないのは、自分の考えや立場を無視して、それを背負おうとするからでしょう。なので繊細な人ほど、自分と相手との境界線をしっかり引く必要があります。

[引用] 誰かがあなたを批判した時、その批判はあなたではなく、相手について多くのことを語っています。批判が教えてくれることは、単に相手が何を考え、何を信じているかということ。それはあくまでも相手の意見なのです。あなたの本質的な価値や、あなたが作り出す価値とは関係ありません。あなたはそのフィードバックを取り入れる時もあれば、取り入れない時もあっていいのです。

時には選択肢として、相手の意見を取り入れないという手もあることを覚えておいてください。逆に相手の意見をいったん否定することで、それを受け入れられたりすることもあります。

■傷ついても、いろいろな意味をそこに付加しないこと

仕事の道のりは当然山あり谷ありなのですが、ずっと傷ついた状態でいるかは、あなたが決めることです。私たちの多くは傷ついた時、必要以上にそこにいろいろな意味を投影することでそれを長引かせています。

実は傷ついた時のポイントは、そこにいろいろな「お話」を付け加えないことです。怒られたからといって「仕事ができない」わけではありません。自分がちょっとしたことで傷ついたからといって、「仕事人として失格」というわけではありません。

Forleoいわく、傷ついた時に重要なのはこうした頭の中の「妄想」を取り払った状態で、自分の内側を見つめることです。無視してはいけません。自分の感情を無視することで、その場には対処できるかもしれませんが、前には進めません。

[引用] 私たちは、ときどき傷ついたりします。しかし、傷ついていることや、がっかりしていること、怒っていることを否定すること、つまり、「こんな風に思っちゃいけない」「もうこんなことは乗り越えているべきなのに」「この先、こんなことでは動じてはいけない」と思うことは、何の役にも立たないのでやめましょう。99%の場合、自分の感情はどうしようもありません。人間である以上、感情があるのはしょうがないことです。私が実践している役立つヒントの一つに、頭の解釈なしに「痛み」を体で感じる、というものがあります。

Forleoが言うように、私たちは痛みを受け入れて初めて先に進むことができるのです。なので早く立ち直りたかったら、痛みをしっかり受け止めること。ああすればよかった、こうすればよかったという後悔、私はダメだという自己批判は、「痛み」を感じなくて済むよう私たちが無意識に張ろうとしている防御網に過ぎません。こうした考えが頭の中にある時はまだ、痛みから余計な意味を引き剥がせていないのです。

相磯展子(あいそ のぶこ)
翻訳・通訳者。アート専門の翻訳、通訳、プロジェクトの企画運営などを行うArt Translators Collective副代表。ネーティブレベルの英語力を活かし、書き手・話者の視点に寄り添う翻訳・通訳に定評がある。美術館、財団、雑誌などの出版物の翻訳、ウェブメディア記事の翻訳・執筆のほか、イベントやシンポジウム等の通訳や海外とのコレスポンデンスなども行う。

[nikkei WOMAN Online 2016年7月28日付記事を再構成]

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