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故佐藤栄作氏をはじめ、歴代首相のスーツを仕立ててきた高級紳士服店、銀座テーラーグループ(東京・中央)。1935年に創業、戦後、銀座に店を構え、バブル経済の崩壊やリーマン・ショック、東日本大震災など数々の危機を乗り越えてきた。3代目社長の鰐渕美恵子さんは元専業主婦。40代で初めてビジネスの世界に飛び込んだ彼女の原点とは――。

◇   ◇   ◇

性格なのでしょうか、自分の身に起きたことはすべてよし、と思う方です。紙にも表と裏がありますね。わかりやすく言えば、これが人生ですよ。表だけ、裏だけの人生なんてない。いいことと悪いことは必ず、セットでやってきます。

いつからそう思うようになったのか――。原点にまで遡ればやはり、私が商家の生まれだったことが影響しているかもしれません。

「いとはん」と呼ばれて育った少女時代

銀座テーラーグループ社長 鰐渕美恵子氏

銀座テーラーグループ社長 鰐渕美恵子氏

子供のころ、私は「いとはん」と呼ばれて育ちました。いとはんとは大阪弁で「お嬢ちゃん」という意味です。兄と弟に挟まれた、女ひとり。実家は菓子問屋を営んでおりました。

戦後間もない頃ですから、甘いものが飛ぶように売れまして、父もあっという間に財を成した。ところが、私が12歳の時に父が亡くなり、状況は一変しました。

それまで優しかった人が、手のひらを返したように冷たくなりました。会社を大きくする過程で、父は北海道から九州まで取引先の一つひとつを訪ね歩き、特約店契約を結んでいたのですが、それも父が亡くなって半年後には、すべて解消されてしまいました。

そんな現実を目の当たりにしていたからでしょうか。相手が本当に頼れる人物であるかどうかは、何か悪いことでも起きない限りわからない。今日までニコニコしていた人が、明日にはガラリと態度を変えることもある。それが商売であり、人生だということはなんとなく子供の頃から感じていました。

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