スマホも充電 災害に備える「手回し充電ラジオ」

日経トレンディ

手回し充電ラジオ3機種を比較
手回し充電ラジオ3機種を比較
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近年、各地で地震が頻発している。いざというときのために、日頃からの備えが重要だ。防災グッズの“定番”のなかでも、最近進化したのが「手回し充電ラジオ」。昨年末から今年にかけて新たに「ワイドFM」に対応したモデルが各社から相次いで発売された。

ワイドFM(FM補完放送)とは、FMの周波数を使ってAMラジオを放送すること。音がクリアで電波障害に強いため、災害などの緊急時でも情報を取得しやすいという。

今回比較するワイドFMに対応した手回し充電ラジオは、パナソニックの「RF-TJ20」とソニーの「ICF-B99」、そして東芝エルイートレーディングの「TY-JKR5」の3製品。

■ソニーは最も重いが充電機能が充実

チューニングはデジタル方式のパナソニックが簡単

まず異なるのがラジオ機能だ。ソニーと東芝はダイヤルを回しながら周波数をチューニングするアナログ式。パナソニックは液晶に表示される周波数の数値をボタンを押して調整するデジタル式だ。ユーザーの世代によってアナログ式とデジタル式のどちらに慣れているかは異なると思われるが、実際に簡単にチューニングできたのはパナソニックだった。ボタンを押したままにすると自動選局が始まり、最初に受信した周波数で停止する。ラジオをあまり使ったことがないという若年層でも比較的使いやすいと思われる。ただ、周波数を記録する「プリセット機能」はないので、他の放送局を聴く場合は、アナログ方式と同様に周波数を変える必要がある。音質はどれも不満はなかったが、モノラル2スピーカーを備えるパナソニックは聴きやすい音で、日常的にも十分使える印象だった。


充電方式はUSBが使えるソニーが優れる

充電方式の豊富さで他よりも優れているのがソニーだ。ハンドルを回す「手回し式」の他、コンセントなどからの「AC充電」「太陽光充電」の3つの方式に対応する。USB経由で充電でき、モバイルバッテリーのように使えるのは大きな魅力だ。

もちろん、3製品とも乾電池も使えるが、ソニーは最も汎用性のある単3形乾電池(2本)に対応。他は単4形乾電池(パナソニックは3本、東芝は2本)を使う。


スマホ充電もソニーが多機能

スマホや携帯電話への充電でも、リードしたのはソニーだった。3製品とも、本体とスマホをUSBケーブルで接続し、ハンドルを回し続けてダイレクトに充電する仕組みを採用。スマホの機種など組み合わせにもよるが、ハンドルを数分間手回しすることで、30~1時間程度の連続待ち受けができる状態に充電できる。

■ソニーはフル充電でAMラジオを約40時間聴ける

ソニーは、手回し以外にも、内蔵バッテリーや単3形アルカリ電池を使ったスマホ充電が可能。満充電の内蔵バッテリー、もしくは新品の単3形アルカリ電池2本を使えば約16時間の連続待ち受けが可能な状態にスマホを充電できるという。

防水に対応していないパナソニック


非常時に役立つ防災機能にも違いがあった。LEDライトが照らす範囲が広く、他よりも明るい印象だったのはソニーだ。パナソニックはバックライト採用で暗い場所でも液晶が見やすい他、居場所を知らせるサイレンなども搭載するが、今回紹介するなかで唯一防水機能に対応しておらず、屋外などでの利便性に関しては他よりも見劣りする。

防災グッズとしての利用をメインに考えると、手回しだけでなくコンセントや太陽光など、その場の環境に合わせて充電方式を臨機応変に選べるソニーが最も優れている。LEDライトも明るめで、防水機能も搭載しており、弱点の少ない製品といえる。

ソニーのICF-B99
結論
状況に合わせて充電方式を選択 防災グッズとして穴のないソニー

手回しでの発電効率が良く、さらに太陽光やAC電源からの充電にも対応。また、利用できる乾電池が最も入手しやすい単3形なのもポイントだ。ラジオのチューニングがアナログ式なのは気になる点だが、さまざまな方法で充電できるのは大きく評価できる。

(ライター コヤマタカヒロ)

[日経トレンディ2016年9月号の記事を再構成]

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