働き方・学び方

お子様上司の時代

増殖する「お子様上司」、自己チューが部下を壊す!

2016/9/5

 近頃の若者の考えていることがよくわからない。若手部下の扱い方がわからない。そんな戸惑いの声をよく耳にする。心理学者だということで、若者の心理と行動についての説明を求められることも多い。

 最近の若者と言われても、人それぞれに個性もあれば事情もある。何かと単純明快な説明を求められるが、人間心理というのはそんなに単純ではない。個性に目を向けず、ひとくくりに論じればわかりやすいかもしれないが、そこにはいかがわしさが漂う。

 たとえば、「こんなふうに声をかければ部下は動く」「これが部下のやる気に火をつける魔法の言葉だ」といったアドバイスが飛び交っている。そうした断定口調の単純明快な議論ほど怪しいものはない。私たちの心は、そんな単細胞にはつくられていない。同じ言葉をかけられても、やる気を刺激される者もいれば、反発する者もいる。うさん臭さを嗅ぎ取る者もいる。言葉の受け止め方は、人生経験によって大いに違ってくるものだ。

 近頃の若者のやる気が乏しいという声をしばしば耳にする。ほんとうにそうなのだろうか。若者と話していると、何ごとにもムキにならず、テキトーに流している者が多いように感じる。ただし、やる気に燃えている人間を羨む気持ちもあるようだ。何かに夢中になりたい。何か没頭できるものがほしい。そんな思いも強いように感じられる。でも、現実の自分には燃焼できるものがない。

 やる気が乏しいというより、潜在的なやる気に火がついてないということだろう。では、どうしたらやる気に火をつけることができるのか。

その部下には本当に意欲がないのか?

 ある製造業の管理職のAさんは、どうしたら部下のやる気を引き出すことができるかがわからず困っているという。

A 「とくに問題社員というわけじゃなくて、とりあえず必要な仕事はこなすんですけど、どうもやる気が感じられないんです」
――必要な仕事はちゃんとこなす。でも、やる気が感じられない?
A 「ええ、そうなんです」
――やる気が感じられないっていうのは、もうちょっと具体的に言うと?
A 「具体的にですか……必要なこと以上はやらないっていう感じですかね」
――最低限必要なことしかしない。省エネスタイルみたいな?
A 「ほんとにそうです」
――どうなってほしいと思いますか?
A 「どうなってほしい? そうですね……仕事に対する貪欲さというか……とにかくもっと意欲をみせてほしいですね」
――もっと意欲をみせてほしい。たとえば、どんな風に意欲をみせたらいいんですか?
A 「そうですね……必要な作業をこなすだけでなく、仕事力を高めるための自己啓発に励むとか……知識を増やしたり、スキルを磨いたり……そういった意欲がみられないんですよ」
――仕事力を高めようという動きがほしいと。知識を増やしたり、スキルを磨いたり?
A 「そうなんです。先輩やライバルの例をあげて注意してるんですけど」
――他の部下の人たちには、そういう意欲がみられるわけですね?
A 「まあ、実際に何をどうしてるのかはわかりませんが、意欲は伝わってきます。で、彼にも、もっと向上心をもつように、やる気をみせるようにと言うんですけど、いくら言っても改善されなくて」

 もっと意欲的に仕事に取り組むようになってほしいというAさんの思いは伝わってきた。

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