花火や東京五輪にらみ、混雑緩和のシステム開発競う三菱電機やNEC、ALSOK イベント需要狙う

混雑度合いを予測できれば安全確保と警備員の業務効率化につながる(東京都の隅田川花火大会)
混雑度合いを予測できれば安全確保と警備員の業務効率化につながる(東京都の隅田川花火大会)

電機大手などがイベント会場の混雑分析システムの開発を競っている。三菱電機は監視カメラ映像から10分後の混雑度合いを予測するシステムを花火大会で実証実験した。NECは群衆が四方八方に散らばるなどの異常を検知するシステムを自治体に売り込み始めた。安全と警備員の業務効率化を両立できるとして、東京五輪・パラリンピックや大型化するイベントの需要を奪い合う。

三菱電機は8月20日に都内で行われた「世田谷区たまがわ花火大会」で、イベント会場と最寄り駅などを結ぶ経路の混雑状況を予測するシステムの実証実験をした。東京大学の計算モデルを搭載した高速シミュレーターを活用した。

特徴はリアルタイムの分析だ。街頭に設置した監視カメラの映像から通行人の流れを自動で解析しながら、近い将来に過密になる可能性のある場所を特定する。監視センターから誘導員に対し、順路の変更を伝えるなどして混雑を回避する。

三菱電機が以前開発した技術は、過去のイベントの混雑データから将来の混雑を予測していた。この技術は実際の混雑と比べた場合の予測精度が5割だったが、今回は8割に高まるという。

NECは群衆行動解析と呼ぶ技術を進化させている。監視カメラの映像から、四方八方に逃げている集団や何かを取り囲んでいる集団、異常な混雑など、危険な状態にある群衆を見つける。

目視による映像確認は限界があり、自動解析によって見落としを防ぐ。監視センターから指示を受けた警備員らがいち早く現場に駆けつけ、事故やテロを防ぐ。

5月に開催された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、警視庁と連携し東京都内で群衆行動解析システムを実験的に運用した。昨年には東京都豊島区からシステムを受注し、池袋駅前の監視に使われている。NECは東京五輪のスポンサーになっており、五輪の競技会場やその周辺での受注を目指す。

綜合警備保障(ALSOK)はNECと協力して、群衆の安全を守る技術やサービスの開発を急いでいる。ALSOKの技術のひとつは、飛び交うスマートフォン(スマホ)の電波から混雑する場所を絞り込むもの。スマホの一部機種は端末を識別できる電波を発しており、この電波を専用のソフトを入れた警備員のスマホで受信する。各地点に配置した警備員が受信したデータを監視センターで集約し、混雑している場所を把握する。

2001年の花火大会では混雑により死者が出る惨事が起きた。また近年、音楽などのイベントが大型化しており、参加者の安全確保のため警備のコストがかさんでいる。混雑予測などのシステム開発の競争はさらに激しくなる見通しだ。(吉野次郎)

[日経産業新聞2016年8月19日付]

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