47歳で彼女とお別れ 将来が不安です
脚本家、中園ミホ
47歳で彼女もいないことが不安でたまりません。1度の結婚生活も含め常に一緒に過ごす女性がいました。ボランティアなど自分の時間も作り、日々を充実していました。ところが、先日2年付き合った彼女に自らお別れし、急に将来への不安にかられています。結婚と子どもを望んでいますが、かなうかどうか。結婚をあきらめた人はどう気持ちを切り替えたのか、心のもちようを教えてください。(神奈川県・男性)
47歳で独身。常に一緒に過ごす女性がいた。すごい。自ら別れを切り出すなんて自分に自信もお持ちの様子。きっとハンサムで、仕事も私生活も思い通りに過ごしてきたのでしょうね。そして結婚と子どもを望んでいる。確かに芸能界では50歳を過ぎて若い女性と結婚する人が少なくない。「あなたも大丈夫」と言いたいところですが、どうでしょうか。
50歳までに望みをかなえるとしましょう。結婚相手はあなたより若い出産適齢期の方になります。思い通りの伴侶を得て子宝に恵まれても、子育ては実に20余年。お金がかかります。特に苦しいのは大学に通わせる時期。あなたは70歳前後で年金生活をしていてもおかしくない。
もちろん、働き続けられるかもしれないし、奥様も頼りになるでしょう。夫婦に愛情さえあれば、たいていのことは乗り越えられるもの。でも、私が一番心配なのはあなたの愛情です。
これまで数多くの女性と過ごしてきたあなたは、なぜ1人の人を選べなかったのか。望む女性ではなかったから、ですか。
結婚経験があるならおわかりでしょう。結婚すれば人生が充足するわけではない。むしろ逆。伴侶の良い面悪い面と日々向き合い、時に角突き合わせ、時にいたわり合う。その苦闘を繰り返すのが普通です。つまり相手に望むより、相手に何ができるかが問われるのです。
あなたは自らの望みを語りますが、つきあう女性の望みをかなえたいと思っていますか。ボランティア活動をなさるなら、人のために何かをすることで得られる喜びや充実感はよくご存じのはず。ひとりの自分に今なぜ不安を感じるのか、ここはじっくり考えてみませんか。
「僕が何かをすることで他人が喜んでくれることがなにより大事だと再認識した」。先日、大リーグで3000本安打を達成したイチロー選手が語った言葉です。日本人として未到の記録を達成した彼が、記録より他の人の喜びに充足感を得ている。あなたはどう思いますか。
結論をいえば、あなたは結婚をあきらめない方が良いに決まってます。考え方ひとつで、きっと素敵なパートナーが見つかるはず。元カノでも友人でもいいから、誰かの望みをかなえ喜ばせること、その充足感を味わうことが、進むべき道を決めるきっかけになるかもしれませんよ。いかがでしょうか。
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[日経プラスワン2016年8月27日付]
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