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忘れられない味の前に、ちょいと寄り道

立川談笑

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NIKKEI STYLE

テーマは「忘れられない味」。

マクラ話に先立って。テーマの隠し味として別段狙っていたわけではなかったのですが、結果的に面白いもんだなあ、と思って。

私は世代もあって「ら」を入れる派の「ら族」を自任しておるのですが、若い弟子たちは日常「ら抜き」っぽい。本人たちは何というかわからないけど。とはいえ、彼らもさすがに「忘れれない」は使わないんだなあ。

もうちょっと寄り道を続けます。「ら抜き」「ら入れ」の境界。私から見るとムムム?な例を挙げてみるので、ご自身の実感に照らしてみてください。いかがでしょうか。

●例、その1

夕焼けに照り映える川辺で。付き合っている彼女に彼氏が

「これ以上、耐えれない。もう君のことを信じれないんだ!」

●例、その2

同じく、彼女に彼氏が

「俺たちふたり、一生離れれない運命なんだよ!」

●例、その3

戦闘モノで、クライマックスの最終決戦を前に

「この戦い、絶対に負けれない!」

決めゼリフを「ら抜き」にして並べてみました。正しいとか間違っているとかではなく、こんな言い回しが成立するかしないか、結構個人差がある点に私は興味があります。

では改めて、私の「忘れれない」いや、「忘れられない味」の話をします。

かつて大阪の下町を堪能させてもらったことがあります。案内役を買ってくれたのは落語家の林家そめすけさんです。

「この町内にお勧めの串揚げ屋が2軒あります。どっちがええですか。1軒は、おいしいけど、他のお客さんと目を合わしたら絶対にあかん店です」

「うひゃあ。もう1軒は?」

「もっとおいしいけど、店員さんとも目を合わしたらあかん店」

「うーん。せめて店員さんとは目を合わせたいなあ」

ということで、味はナンバー2のお店に行きました。

店内に入ると、身構えていたのが拍子抜けするくらいに一般的な風情の串揚げ屋さんでした。お客さんも、まあまあそれなりに普通じゃないか。いや、それほどワイルドなイメージをこっちが勝手に膨らませていただけって話ですが。

小上がりのテーブルに着くと、巨大なバットがどかんと目の前に置かれました。中にはあふれるほどのウスターソースが波打っています。おお、これが噂の「2度づけ禁止」だ。1リットルもあろうかという、その分量にまずは圧倒されます。こりゃ確かに2度づけ禁止だわ。客が変わるごとに捨ててたら商売にならない。

とはいえ、少しだけひっかかります。このソースはこの後にほかのお客さんも使うのか。逆にいうと、誰かが使った後ですよ、ってことでもあるのね。ふむ。つい、さっきからカウンター席で手酌酒の態勢のまま微動だにしないプレミアムなおじいちゃんが目に入ります。ダメダメ。気にしない気にしない。

そして肝心の串揚げはどれも軽やかにおいしくて、とても揚げ物とは思えないほどあっさりとした味わいでした。おみごと。

とりわけおいしかったのは、「かすうどん」です。てっきり天かす=揚げ玉が入った、東京でいうところのたぬきうどんだろうと思ったらまるで違いました。ホルモン(腸)を揚げて干したのか干してから揚げたのか。それが「かす」。かすのだしの深いうまみとコクは衝撃的にうまかった。

印象的だったのは、壁にかかっていたホワイトボード。店内唯一のメニューで、すべて手書きなのが風情でもあります。見ると一番下に「エースコックワンタンメン」。なんだこりゃあ。思い切って、ひげ面の怖そうな店主に尋ねてみました。

「これって、あの、インスタントのですか?」

「おお。ウチの店でいちばん味が安定してる」

おもろいなあ、大阪。

☆       ☆       ☆

次回のテーマは、「あだ名」。さあ、お弟子さんたち、楽しいマクラを頼むよッ。

(次回8月24日は立川笑二さんの予定です)

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>独演会は8月17日、9月14日、10月17日の予定。吉笑(二ツ目)、笑二(同)、笑坊(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は8月23日、9月30日、10月28日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/

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