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今は夏真っ盛り。11日は、新しい国民の祝日「山の日」だった。お盆と組み合わせれば大型連休も夢ではなかったはずだが、実際はどうだろうか。調査会社のマクロミルは7月、「成人有識者の夏休みに関する調査」と題し、労働者の休暇状況を発表した。その調査結果からは、「もっと休みたいが休めない」となげく現場の悲鳴が聞こえてきた。

夏休み「0日」の声

この調査の回答者は971名、職業は9割が会社員で残りが公務員だ。ビジネスパーソンが考える「理想の夏休み期間」は7日間。しかし実際に取れているのは、平均で3.9日間だ。それどころか夏休みの期間で最も多かったのは「0日」と厳しい結果が出た。

業種別に見ると、夏休みの取得予定日数がもっとも高かったのは製造業で4.7日間。もっとも短かったのは人手不足が深刻な「医療・福祉業」で2.3日だ。

この調査では「毎年、夏休みをどの時期に取るか」と、「今年の夏休みをどうするか」について尋ねている。前者では、「夏休み自体を取得しない」と答えた人が26.3%。一方、「今年夏休みを取得する予定はない」と答えた人は約2割だった。5人に1人が夏休みを取れない、という厳しい現実が浮き彫りになる一方で「例年よりは夏休みを取ろうかな、という人が増えたのでは」とマクロミルは分析する。お盆前に新たに作られた「山の日」との関連性は不明だが、夏休み取得事情は少しずつ改善し、休暇を取りやすい環境になっているのかもしれない。

夏季休暇は法律ではない

そもそも企業側に「使用者が労働者に夏季休暇や冬期休暇を取らせなければならない」という法律上の義務はない。労働基準法で定められているのは、「使用者に少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」ということだ。また、労働者が「(1)6カ月間継続勤務し、(2)その6カ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合は、10日(継続または分割)の有給休暇を与えなければならない」とも定められている。有給休暇の付与は、基本的に法律で決められているのだ。

企業の就業規則にくわしい大手人材会社の法務担当者によると、「夏季休暇の取り方は大きく分けて2つある。有給休暇から引かれる場合と、企業側が有給休暇とは別に会社としての特別休暇を与えているケースだ」という。企業が特定の日を決め、全社員を休ませる場合などは特別休暇の場合が多い。有給から引かれないので、こちらのほうが企業として休みを強制的に取らせている、といえるかもしれない。

マクロミルの調査では「夏休みが公休として支給されるか」という質問に対し、「支給されない」と答えた人がもっとも多く約4割。次に多いのが「公休として5日以上支給される」と答えた人で、13.8%だった。日数を問わなければ、なんらかの形で夏休みを支給された人は、46.5%と半数近くにのぼった。企業として「夏休みにコミットしている」のはこの企業群だろう。

このデータからは、「夏休みはもっと取りたいが取れない」という声の多さが見て取れる。「公休とは別に、有給の取得が推奨されているか」という質問に対し、「有給がとりにくい雰囲気がある」と答えた人は23.6%にのぼった。「夏休みに行おうと思っていること」という質問でも、「たくさん寝る」と答えた人は約7割(予定している人が34%、予定していないがやりたいと思う人が39%)。日本人は働き過ぎだとよくいわれるが、このデータからも「休めない」とため息をつく疲れた会社員の様子が見えるようだ。

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