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JALで在宅勤務が進むワケ 自宅外就業など進化続く

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日経DUAL

日本航空は2014年から「在宅勤務」のトライアルをスタートし、翌年には制度化。制度導入後もトライアル(現在4次)を繰り返し、2016年6月からは自宅以外での業務を可能にするなど、確実に改革を進めています。その過程と今後の方向性について、日本航空ワークスタイル変革推進室の久芳珠子さんにテレワークマネジメント代表の田澤由利さんがインタビューしました。

キャリア継続のための「フェア施策」としての在宅勤務

―― 御社における「在宅勤務」への取り組みがスタートしたきっかけは何ですか。

2013年から、「仕事を免除するケア施策」が中心だった女性の両立支援を、「いかにキャリアブランクを短くし、鍛えられる仕事を割り当て、実力をつけるかのフェア施策」へと、『質』の変革に取り組みました。その一環として、2014年から「在宅勤務制度」のトライアルを開始しました。

―― 女性だから子育て中だからと特別扱いをして「休む」のではなく、キャリアを積み上げていける環境をつくっていく。話題になった「資生堂ショック」と同じ考え方ですね。

はい。当時取締役に就任したばかりの岩田喜美枝(元資生堂代表取締役)から、女性支援は「周回遅れ」と指摘を受け、大きく動き出しました。在宅勤務についても、女性だけが特別ではなく、男性も含め実施し、「生産性を高める」ことを大前提としています。

―― 「航空会社が在宅勤務制度」というと、「パイロットが在宅勤務?」と聞かれることがあるのですが、さすがに、自宅で操縦はできませんよね。

はい、もちろんです(笑)。弊社は社員3万2000人のうち、パイロットやキャビンアテンダント、エンジニアなど、お客様と接する機会が多い「直接スタッフ」が2万8000人、デスクワークが中心の「間接スタッフ」が4000人います。在宅勤務が可能なのは「間接スタッフ」です。

―― 「間接スタッフ」4000人は、全員在宅勤務が可能なシステムを導入しているのですか。

在宅勤務のための道具として、ノートパソコン、スマートフォン、VDI(仮想デスクトップ)を「3点セット」と呼んで運用しています。これまでは一部に限定的でしたが、年度内に3000セットに拡大する予定です。

「生産性を担保する在宅勤務」を推進

―― 在宅勤務制度を利用している社員は、子育て中の女性が多いのでしょうか。

いえ、弊社の場合は、男性社員の利用が多いです。また、管理職も実施しています。

―― 女性活躍推進の流れからスタートした在宅勤務が、これだけ幅広く利用されているのは、どうしてでしょうか。

在宅勤務をする理由を問わない方針だからでしょうか。その代わり、在宅勤務をするには、「仕事の生産性を高めることを担保する」ことを条件としています。そのためか、当初心配していたような「さぼり」といったことはなく、むしろ、在宅勤務のほうがプレッシャーがかかるのか、仕事の効率は高まっています。

―― 在宅勤務は「週1回」を限度とされていますが、それには理由がありますか。

1番の理由は、「評価」の仕方です。弊社では、非管理職の場合、業績評価が2割、行動評価が8割のため、既存のインフラ環境では在宅勤務だと評価がしにくくなります。週1日であれば、計画を立て、在宅で集中的に業務に取り組むことができ、評価にも影響がないと考えました。

トライアルは全4回。導入後もより使いやすい制度にステップアップ

―― 2014年に第1次トライアルを実施し、翌年には正式に在宅勤務制度を導入されていますね。しかしその後も、トライアルを積み重ねているのはどうしてですか。

「在宅勤務制度」を正式に導入することで大きな一歩を踏み出しつつ、より利用しやすい、成果を出しやすいものにしていくために、利用者の声を反映した制度改革を「トライアル」という形で進めてきました。今でこそ年間2600件程度ですが、初年度の利用者は100人程度。正直言って、使い勝手の悪いものでした。

例えば、在宅勤務をするには、前週の金曜までに、翌週の計画を所属長に提出し、自分のハンコ、所属長のハンコを押して、人事部に回さなくてはいけなかったのです。最初の導入時は不安がいっぱいで、とにかく「間違いが起こらないよう」、慎重に、厳しい制度設計になりました。社内での合意を得てスタートするには、通らなくてはいけない道だったと思います。

―― トライアルは、導入前も合わせて、4次まで実施されているとのこと。在宅勤務者のどんな声から、どのような改善がなされたのですか。

「手続きが大変で申請しにくい」という声には、メール申請(2次)や前日申請(3次)を可能にしました。「部分的に在宅勤務をしたい」という声には、半日取得(2次)や分割取得(3次)を実施できるようにしました。

―― トライアルによる改善の中でも、一番ハードルが高かったのは何でしたか。

やはり、4次トライアルの「自宅以外の場所」での仕事を許可するのが大変でした。社員からは、「家に仕事スペースがないので、近くの店や施設で仕事をしたい」「実家で仕事をしたい」等の声が多くありました。しかし、セキュリティーをどう確保するのか、という点で、社内でも様々な議論が起こりました。

―― どのような形で、そのハードルをクリアされたのですか。

最終的には、自宅以外の仕事場所を「実家」などクローズな環境と、「喫茶店や図書館、マンションの共有スペース」など、公共の場所の2つに分類し、後者には、「紙資料の持ち運び禁止」「のぞき見フィルター利用」など、より厳しいルールを設定しました。

より長く、より広く。人材確保につながる「テレワーク」へ

―― トライアルと試行錯誤を重ね、ここまで来られましたが、今後はどのような形で「在宅勤務」の利用拡大を進められる予定ですか。

「ビッグピクチャーを描きつつ、スモールステップで進む」という方針です。お話ししたように、現状は週1日の在宅勤務ですが、業務の評価方法やITインフラのさらなる拡充によっては、より多くの日数、在宅で仕事ができるようになります。例えば、「翻訳業務」など、まずは特定の業務から取り組むことで、「月2回の出社でOK」ということも可能になるかもしれません。そうなれば、より広く、より良い人材を得て、一人ひとりの能力を発揮してもらうことができると考えています。

田澤が見たポイント

最近、「□□社、○万人を対象に在宅勤務導入」といったニュースをよく見かける。国の政策もあって、大企業を中心に、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方である「テレワーク」が広まってきている。

しかし、コンサルティング現場で見ていると、在宅勤務の「制度導入」のみを目的としている大企業が少なくない。メディア取材や国のアンケート等で「在宅勤務制度」の有無を聞かれる機会が多くなったこともあるだろう。そのような企業は、導入時は大々的に広報するが、その後の動きが鈍くなり、「利用対象社員数は多いが、実際の利用者は少ない」状況が続く。

そんな中、日本航空は、在宅勤務制度導入後も「トライアル」と「制度改善」を繰り返して、改革を進めてきた。にもかかわらず、ほとんど広報していない謙虚さにも驚いた。

「休む」制度は導入しやすいが、「働く」ための制度は、そう簡単にはいかない。時間もかかるし、企業の状況に応じたステップも踏まなくてはいけない。そのモデルともなる日本航空の「働き方」に今後も注目していきたい。

田澤由利
 テレワークマネジメント/ワイズスタッフ代表取締役。奈良県生まれ、北海道在住。上智大学卒業後、シャープでパソコンの商品企画を担当していたが、夫の転勤と出産でやむなく退職。3人の娘の子育てと5回の転居の中、パソコンを使って自宅で働き続けた。企業の在宅勤務導入支援や、国や自治体のテレワーク普及事業等を実施している。

[日経DUAL 2016年7月12日付記事を再構成]

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