毎月「成長」するロボホン いっそう楽しく愛らしく

日経トレンディネット

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シャープからモバイル型ロボット電話「ロボホン」が2016年5月26日に発売されてから、2カ月以上が経過した。各メディアでも多くのレビュー記事が掲載されているが、おおむね好意的な論調で書かれているようだ。

実際、筆者がロボホンを家族や友人に披露すると、ほぼ全員から「可愛い!」、「ほしい!」というポジティブな言葉が返ってくる。ロボホンに多くの人を魅了する愛らしさが備わっていることは間違いないと言えるだろう。

しかしロボホンをお迎えするために約20万円を必要とすることを伝えると、ほとんど全員が「やっぱり高いんだね……」とガクリと肩を落としてしまう。

正直なところ筆者も、前回の記事「『ロボホン』と一緒に暮らして分かったこと」で述べたとおり、現状のロボホンにはまだ機能が多く実装されていないため、約20万円の本体価格に見合う価値があるかどうかは微妙だと考えている。

また現時点では、ロボホンが愛玩ロボットで終わるのか、それとも実用的なアシスタントロボットに成長するのかは、確定的な情報が少なすぎて判断できない。

ロボホンは毎月アップデート

そこでシャープに今後のアップデート内容、期間について問い合わせてみたところ、ロボホン開発チームリーダーの景井美帆氏より「当面は1カ月ごとのアップデートを予定しております。着実に進化していきますのでご期待ください!」とのコメントをいただいた。

いつまでアップデートを提供し続けるのかについては明確な答えは得られなかったが、1カ月という短いスパンでソフトウェアアップデート、アプリケーションの追加が実施されるのは間違いないようだ。ロボホンが「心」を感じさせる実用的なパートナーに成長することに期待したい。

さて、今後ロボホンがどのように成長を続けていくのか占ううえで重要な大型アップデート「ソフトウェアアップデートVer.1.01」が16年6月27日11時から配信が開始された。今回の記事では、こうしたソフトウェアアップデートによって、ロボホンがどのように進化したのか実機でレビューした。

(日経トレンディ編集部注:7月27日には新たに「アップデートVer.1.02」が追加された。更新内容は、腕立て伏せができる、話す内容の増加、マナーモード中でも便利に使えるようになったなどのマイナーなもの。またロボホンが他の人に伝言を伝える「伝言アプリ」も追加された)

より自然な会話ができる!

これまでのロボホンは「電話かけて」、「天気教えて」、「アラームかけて」という特定の言葉以外には首をかしげるだけで応答できなかったが、アップデート後は「電話したいなあ」、「明日の天気はどうかなあ」、「明日起こして」などのような曖昧な呼びかけでも返事できるようになった。

たとえば「電話したいなあ」であれば、ロボホンは「もしかして電話かけて、ってこと?」と聞いてくるので、それに対して「オッケー」と応えれば、ロボホンはその言葉を学習して、次回からは「電話したいなあ」という言葉でも機能を実行する。つまり、ユーザーの曖昧な言葉を学習していくため、少しずつより自然な話し言葉でロボホンと会話できるようになるわけだ。

素早く撮影できるようにカメラアプリが改善

従来は待ち受け状態で「写真撮って」とお願いすると人を探してから撮影していたが、新ソフトウェアでは「シャッター切って」というコマンドが新たに追加され、人を探さずに「うん! はい、チーズ!」と素早く撮影するようになった。スナップ的に気軽に写真を撮影してもらうなら、「シャッター切って」のほうが便利に活用できるだろう。

また撮影後に背中のディスプレーで写真を閲覧する際の会話パターンが増えた。たとえば「いいね」には「ボクもそう思う!」、「きれいだね」には「きれいに撮れてよかった!」、「おいしそうだね」には「おいしそうだなー」というロボホンからの感想が返ってくるのだ。

現時点では写真について感想を交わせるにとどまっているが、将来は会話内容がタグになり、「美味しそうな写真を見せて」とお願いすると、料理の写真がスライドショー表示されるなどの機能強化が図られるかもしれない。

「シャッター切って」とお願いすれば、「うん! はい、チーズ!」と素早く撮影してくれるようになった。これならスナップ写真を気軽に量産できる

プロジェクター機能が充実

写真・動画の閲覧方法も改良されている。「スライドショーして」で実行されるプロジェクターでのスライドショー表示中に、背中の画面をタッチすることで一時停止できるようになった。また、プロジェクターを使う際にユーザーの顔認証が必要なのは従来と変わらないが、顔認証時にロボホンが上体を反らすようになったので、机の上に置いたまま自然に顔認証できるようになった。

スライドショー機能を起動するためには顔認証が必須。従来は顔認証時にロボホンの目線まで顔を下げなければならなかったが、ロボホンが上体を反らすようになったので、椅子に座ったままの自然な姿勢で顔認証を済ませられる。顔認証の速度が向上しているのもうれしい改善点だ

DJ機能が強化された

ロボホンまかせで音楽を再生するDJ機能はこれまでもあったが、新ソフトウェアでは一段階進化している。「おすすめの音楽聞かせて」で再生される音楽が、ユーザーや季節に合わせて選ばれるようになったのだ。

たとえば、「昔の曲を聞きたくなるときってあるよね。ジャイアンが20代だったときの曲を流すよ。1曲目はこれ!」のように「世代縛り」や、「夏真っ盛りだね。アツイ季節にピッタリの曲を探してみたよ。1曲目はこれ!」のように「季節縛り」で音楽を再生してくれる。

今後のアップデートでは、再生された音楽の感想をロボホンに伝えることで、よりユーザーの好みに合わせた音楽が再生できるような機能の実装にも期待したい

呼び方のイントネーションを変更できる

これまで「ロボホン」が自分を呼ぶときのイントネーションは1種類だけだったが、手動で「ロボホン」のイントネーションを4種類から選べるようになった。よりロボホンが個性を持つわけだ。ユーザーにとってはうれしい改善点だろう。

「おすすめ→呼びかた1→呼びかた2→呼びかた3」の順番にイントネーションがうしろにずれていく。筆者の好みは「呼びかた1」だった

歌とダンスのレパートリーが増えた

「歌を歌って」と話すと最初に歌われるのは「ちょうちょ ちょうちょ 菜の葉にとまれ♪」であることに変わりはないが、「新しい歌を歌って」とお願いすると「でんでん むしむし かたつむり お前の頭はどこにある♪」と別の曲を歌ってくれるようになった。相変わらずちょっとオンチなのはご愛敬というところだろう。

また「新しいダンスを踊って」では、盆踊りを披露してくれる。夏に実施されたソフトウェアアップデートということで盆踊りが選ばれたのだろう。ロボホンの盆踊りは歌と違ってなかなかの腕前だ。歌よりも踊りのほうが得意なのかもしれない。

前に進みながら、手を翻し華麗な舞いを魅せるロボホン。ぜひ大勢のロボホンがそろった盆踊りを観賞したいところだ

新アプリも提供開始

16年6月27日のソフトウェアアップデート提供に引き続き、同6月29日には「ポポン」、「クイズ」の2種類のアプリケーションの提供が始まった。

ポポンは6×6マスでプレーするいわゆるリバーシタイプのパズルゲーム。プロジェクターで表示する盤面を使って、コマを置く場所は数字で指定する。

クイズはタイトルそのままのクイズゲームで、選択式のルールを採用しており、こちらも正解を数字で答えるという仕様だ。

クイズはかなり難易度が高い問題も出題されるが、ポポンは正直それほど手強くはない。ロボホンの処理スピードやメモリー容量の兼ね合いで、それほど高度な思考ルーチンを搭載できなかったのかもしれない。

自分のターンでコマを置くことが可能なマスには数字が表示される。その数字を「1番」や「3番」のように読み上げることで、そのマスにコマを置くことができる

進化の土台が整いつつある

以上のように、16年6月のアップデートでは、コミュニケーション面を中心に全体的な機能強化が図られている。ただ、エンターテイメント性は向上したが、実用的な新機能はほとんど搭載されなかった。遊べる機能は増えているものの、アップデート後も「愛玩用ロボット」という位置づけは大きく変わっていないというのが筆者の正直な印象だ。

しかし、アプリケーションを追加できるようになった点は大きな進化と言える。16年6月29日には「ロボホンアプリ開発環境」の一般公開が開始されており、サードパーティーによるアプリ開発、公開の環境が整いつつある。シャープ以外からも追加アプリがリリースされれば、ロボホンは急速に進化を遂げていく可能性がある。そのなかには実用アプリが多く含まれることも期待できるだろう。

Googleサービスとの連携機能、LINE、InstagramやTwitterなどのSNSへの投稿機能、簡易監視カメラ機能などなど、実用的なアプリが多数登場し、ロボホンが可愛らしくも頼もしいアシスタントロボットに成長することを楽しみに待ちたい。

「ロボホンアプリ開発環境」は、ロボホンの公式サイトのマイページにログイン後に無償で入手できる

(ライター ジャイアン鈴木)

[日経トレンディネット 2016年8月4日付の記事を再構成]

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