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IT(情報技術)関連サービスで約半世紀にわたり日本の社会を支え続けるSCSK。
フリーランスのSEを経て入社し、システム開発現場のプレーヤーとして活躍。
出産と40代を機にキャリアチェンジし、データセンターを支える立場へ!

――社会インフラとなったITを守るデータセンター

SCSKは、システム開発をはじめITインフラ構築、ITマネジメントなど、ITに関するあらゆるサービスを提供する会社です。1969年の設立からあと数年で半世紀を迎えます。

今やITサービスは、水道、ガスなどと同様の社会インフラとなっています。ITによって便利になった現代では、システムやサービスが利用できなくなることは、すなわち社会活動の停止を意味し、大きな混乱を招きます。

地震や台風、急な落雷といった自然災害やサイバーテロなどから、大切なシステムや膨大なデータを守るための要となるのがデータセンターです。SCSKでは国内に設けた9つのデータセンターを独自のネットワークでつなぎ、あらゆるリスクに備えています。私はnetXデータセンター事業本部に所属し、データセンターの安定稼働を支えるマネジメントの仕事をしています。

――目に見えない品質を高め、魅力を伝える難しさ

こうして説明をしていても、私たちの仕事がいかに目に見えづらいものかを感じます(笑)。モノとして商品をお見せしたり手に取ったりしていただけないことが、ひじょうに難しいところです。

わかりにくい弊社の商品、データセンターやサービスをさらに活用いただくためにはどうしたらいいか。「SCSK品質」というものをどう高めればよいのか、どう伝えていくのか。社内に横串を刺して付加価値の具体性を考えていくことも、私が今取り組んでいるプロジェクトのひとつです。

――働く楽しさを味わった20代

もともと私は運用業務ではなく、システムを開発するエンジニア側で長く働いてきました。SCSKには12年前に転職してきました。

社会人生活の始まりは、中小のシステム開発会社のプログラマーでした。当時は本当にスキルが足りなくて、残業、残業の毎日。トラブルが起きれば徹夜で直すのが当たり前でした。

大変ではありましたが、この時に上司にほめられ、お客様に感謝された経験が、私の働く原動力になっている気がします。「仕事って一生懸命やったら報われるんだ」ということを実感でき、働く楽しさや喜びを20代前半で味わえたのは幸運だったと思います。

――5年間のフリーランス生活

しかし、私が29歳の頃にその会社が倒産してしまいました。お付き合いのあったお客様からの依頼もあったので、フリーランスとして独立しSE(システムエンジニア)を続けることにしました。

フリーランスというと、まるで自由に働けるように聞こえますが、むしろ振り幅がないのが現実です(苦笑)。努力やアイデア次第ですし、自分でいろいろ決めていける部分も確かにあります。24時間やっただけすべてが成果になるのも魅力ですが、体力と健康が勝負。シビアできつかったですね。システム開発をしていると1日中、家で作業をすることになりますし、1人で仕事をすることの限界を感じました。

そんな時、SCSKのプロジェクトのメンバーとして仕事をしていたことがきっかけで採用試験のお話をいただき、再び会社勤めすることを決意。5年間のフリーランス生活を終えました。

――会社は人生をサポートしてくれる

大きな会社で仕事するとなれば、それはそれでフリーランスとは違う課題もありますが、「会社に人生をサポートしてもらっている」と感じます。37歳で結婚し、働き方を変えていきたいと思った時も、39歳で出産を迎え、切迫早産で緊急入院になってしまった時も。それが会社組織のよいところだと思いました。

切迫早産の時は、いつも通り病院へ検査に行ったままその場で入院となってしまったため、仕事の引き継ぎすらできませんでした。それでもなんとかなりました。「私がいなくても仕事は回るんだ……」という複雑な気分はありましたが(笑)、本当に助かりました。

――40代を機に開発から運用側へ

育児休暇後、復帰のタイミングで自分から異動願いを出しました。時短勤務で育児と仕事の両立を考えた時、プロジェクト型のシステム開発のままでは迷惑をかけてしまうと思ったからです。

それから6年が経ちますが、開発の現場に戻るのは厳しいと思います。ITは一度どっぷりその世界にはまっていたとしても、伝統工芸とは異なり、残念ながら「手に職」にはなりません。日々刻々と変化する世界のため、常にアップロードしていないと最前線で仕事をしていくことは難しいですね。

――モヤモヤの打開策として課長昇進

課長職になったのは今春のこと。この5年ほど仕事をするなかで、いろいろと自分のなかで課題がずっと解決せずに溜まりモヤモヤしていました。今の自分の立場で物事を考えるから解決策がないのかもしれないと思い至り、「そうだ! 自分の立ち位置を変えてみよう」と。現状の打開策のひとつとして課長になるという選択肢が出てきたのです。

いまだに自分がマネジメント職に向いていると思ったことはありません(笑)。私は、上司になる人間には「けん引力」と「サポート力」の2つが必要だと感じているのですが、私は前者をあまり持ち合わせていないと思っています。それでもやってみようと思えたのは、「いろんな課長や部長がいていいんだ」という上長の言葉でした。

今、自分なりに「けん引力」と「サポート力」のバランスを取りながら、5人のメンバーに支えられて仕事をしています。立ち位置を変えたことで、キャッチできる情報の鮮度も量も変わり、さまざまな変化を感じています。以前のモヤモヤからは脱し、日々の業務に追われながらも新たな課題に向かい忙しく過ごしています。

――「負」も「陽」も感染していきます

仕事のモットーは「明るく、楽しく、元気よく」でしょうか(笑)。壁にぶつかっても、まずは「前を向こう!」と思います。チームで仕事をするなかでは、負のムードも陽のチカラも感染します。ひとりでも思いやりのある行動を取れる人がいれば、良い感染が広がります。

思いやりとは、ちょっとしたコミュニケーションなのだろうと思うのですが、皆が思いやりをもって日々の業務に向かうことで、仕事はもっとうまくいく。そんなことを感じています。

――仕事と子育ての両立も当たり前、子育てしない人生も当たり前

近年は、家事も子育ても夫婦でやるものになってきましたが、やはりそれらの担い手の中心は女性です。我が家では、家庭を犠牲にしてまで仕事しないことが約束。そのせいか、家に帰ると仕事のことはすっかり忘れてしまいます(笑)。

子供と過ごす時間は、私にとって人間に戻るような時間。いろいろなことに気づかされます。朝、保育園の入口で繰り広げられる1時間もの押し問答を通じて、大人では考えられない子供の論理があることを教えられました(笑)。面白いです。

私はこうして仕事や子育てについて語っていますが、仕事と子育ての両立は特別なことではありません。そして、子育てをしない人生も特別なことではありません。私はたまたま子育てをしているだけ。

私の周囲にいるすてきな女性たちは、未婚、既婚、子供のいる・いないなどは関係ない。様々な環境で頑張って輝いている。最近、子育てをしながら働く女性がピックアップされるたびに、そんなことを強く感じるようになりました。いろんな働き方、生き方、輝き方があって当たり前。そう思いませんか?

戸田志津香(とだ・しづか)さん
SCSK株式会社 netXデータセンター事業本部プロセスマネジメント部第二課長
1989年、システム開発会社に就職。99年よりフリーランス。2004年、SCSKに入社しシステム開発に従事。10年からITマネジメント事業部門にてデータセンター事業に関わる。16年、プロセスマネジメント部第二課長。一児の母。東京都生まれ。

●取材後記

豊洲駅前にそびえ建つオフィスビルにあるSCSK本社。窓の外には大きなレインボーブリッジが見えました。時間のほとんどを仕事に充てた20代、働き方が変化し続けた30代、仕事と家庭とのバランスを取りながら新しい立ち位置を求めた40代。戸田さん曰く「20代から30代、ライフイベントの課題がない時期はがむしゃらに働き、自己研さんしたほうがいい。資格を取るよりも実体験を重ねてほしい」とのこと。ライフイベントの時期も内容も人それぞれ。当たり前も、特別もありません。目の前の実体験をかみしめることが大切ですね。

SCSKのホームページ http://www.scsk.jp

[2016年8月4日公開のクラブニッキィの記事を再構成]

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