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浮輪より安全快適、海川遊びにライフジャケットの薦め

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夏から秋にかけて増えるのが、海や川での水難事故のニュース。警察庁生活安全局の発表によると、2015年の水難による死者・行方不明者は791人。このうち中学生以下の子どもは53人だった。注目したいのは、この53人のうち、河川での事故が23人と、海の15人より多いこと。意外にも、海より川で遊んでいて溺れる子どもが多いのだ。このような水難事故を防ぐには、どうしたらいいのか? 最も有効な手段は、ライフジャケットを着用することだ。

人間の体で浮くのは2%。どうやって浮力を増すか

東京海洋大学の田村祐司准教授によると「人間の体は、空気を吸うと体の2%が浮くようにできている」という。つまり、人間が水に入った場合、水面に出るのは体の2%の部分にすぎない。そこで田村さんが所属する水難学会では、溺れた時にその2%が顔になるようにする「背浮き」という浮き方を全国の学校で指導している。実際に東日本大震災でも、背浮きを実行して助かった小学生がいるという。

ただ、この背浮きは誰でもいきなりできるわけではない。クロールなどに比べれば覚えるのはずっと簡単だが、実際に背浮きを体験したことがない人が溺れた時にできるかどうかはわからない。そこで重要になるのが、この2%の浮力を増す工夫だ。田村さんたちが学校で行う指導ではペットボトルやランドセル、サッカーボールなどを実際にプールに投げ入れ、何が浮かぶのかを確認している。浮くものを知っていれば、友達が溺れた時に浮力を増す助けとしてそれらを投げ込めばいい。

こうした浮力を増すことを目的として作られているのが、ライフジャケットだ。田村さんは海や川などで水遊びをする時はライフジャケットを着用することを強く勧める。「浮力を増す道具として一般的なのは浮輪ですが、浮輪は体から抜けてしまうことがある。ライフジャケットは体に固定されるので、浮輪に比べて安全性は高い。抜ける危険もないから、安心して水遊びも楽しめる」

穏やかに見える川にも、ライフジャケットを

ライフジャケットというと「海」を連想する人が多いかもしれないが、「川遊びにもライフジャケットを着用してほしい」というのは公益財団法人「河川財団」研究員の菅原一成さん。河川財団が警察庁の水難事故データ11年分(2003年から2013年分)を調べたところ、子どもの水難死亡の約6割が川や湖で発生していた。しかも同財団の調査データでは川の事故の約90%は、穏やかな流れの浅瀬で発生していたという。

「海でも離岸流などがありますが、川では常に複雑な流れが生じており、水平の流れだけでなく下に引っ張られる力や循環流などもあります。したがって川でもライフジャケットが必要になるのです」(菅原さん)

子どもの川遊びにこそ、ライフジャケットは不可欠。また子どもを助けようとして親も溺れるケースが少なくないため、水に近づく際は、親子でライフジャケットを着用することが望ましい。

ネット上の格安ライフジャケットに注意!

ライフジャケットは、どのようなものを買えばいいのか。豊富な品ぞろえを誇るカヌーショップ「クリアウォーターカヤックス」(千葉市)を訪ねた。

「種類は大きく2つ。固定式と膨張式があります」と教えてくれたのは、同ショップを経営する株式会社クリアウォーター(千葉市)の清水昭夫さん。

固定式は発泡体が入ったチョッキ型のもの、膨張式は内部にボンベを設置し水に落ちた時に膨らませるタイプだ。膨張式が想定しているのは、万が一、船の上から水に落ちた場合。常時、水に入って遊ぶ川遊びや海水浴には向いていない。親子で水遊びを楽しむ場合は固定式を選ぶことになる。

では固定式のライフジャケットはどこで買えばいいのだろう。インターネットを見ると、安価なライフジャケットも見つけられる。だが清水さんによると、安価な製品には問題があるものも多いという。

「小さい子ども用ライフジャケットの浮力は、一般に4キログラム程度です。でも安価な製品の中には『浮力4キログラム』と表示されていても、実際に4キログラムのおもりを付けて水に入れると沈んでいくものもある」(清水さん)

これではライフジャケットの意味がない。清水さんは「初めてライフジャケットを購入する場合は、実際に試着もできる信頼できる販売店で、信頼できるブランドの製品を選んでほしい」とアドバイスする。

ライフジャケットには海用と川用がある

クリアウォーターの清水さんによると、固定式のライフジャケットの中にも、水に落ちた時を想定しているものと、水遊びに適したものがあるという。

「船舶用ライフジャケットは、船の上にいる人が、水に落ちた時に浮くことが目的です。立った状態での使用を想定しているので、着ると丈が長いものが多い」

丈が長いライフジャケットを選ぶと、たとえば水中の生き物を探そうとしゃがみ込んだとき、ももでジャケットが持ち上げられ、顔が埋もれてしまう。一方、川用に作られたライフジャケットは「丈を短く」すると同時に「浮力やフィット感を高め、川の激流域に入って脱げないように工夫している」(清水さん)

アクティブに水遊びを楽しみたい親子には丈が短くフィット感のあるほうが向いている。では、川用のライフジャケットを、海で使用しても問題ないのだろうか。

「大丈夫です。ただし海で使われたら、真水で洗ってよく干すこと。発泡体に塩分が入って固まるとくたびれやすくなりますし、ベルトなどにカビが生えると強度も落ちてきますので」(清水さん)

ライフジャケットは体の大きさも考慮して選ぶ必要がある。命を守る大切なものだけに、専門店で相談しながら安全なものを選びたい。

国産ライフジャケット3メーカーのオススメは?

清水さんが、「この3社なら間違いない」と太鼓判を押すライフジャケットメーカーが、高階救命器具(大阪市)、キヌガワ(東京都墨田区)、モンベル(大阪市)。この3メーカーに、ライフジャケットの選び方、そして水遊びをする時に適している大人用、子ども用、それぞれのいちおし製品を聞いてみた。

【高階救命器具】

「体に合ったものを選ぶことが大事です。お子様が大きいライフジャケットを着用しているとすっぽ抜けてしまう危険性があります。メーカーによって、同じサイズでも大きいものや小さいものがあります。できるだけ、実物を身に着けてフィッティング時の感覚を確かめてください。ベルト、アジャスター、股ベルトをしっかり締めてもらってライフジャケットが動かない状態がベストです」(高階救命器具・本荘浩一さん)

ブルーストーム(大人用/品番BSJ-200A)「胸部のポケットには小物が収容可能です。股ベルト収納付き。3サイズありますので、さまざまな体格の方に、また男女を問わずご使用いただけます」

ブルーストーム(子ども用/品番BSJ-210I、BSJ-210C、BSJ-210Y)「3サイズあり、デザインもかわいらしいものからアクティブなキッズにぴったりのものなど豊富なデザインがあります。幼児用(BSJ-210I)のみ、万が一うつぶせに落水しても反転する性能を備えています」

【キヌガワ】

「自らの命を守る物なので、浮力は何で確保されているか(固定式なのか膨張式なのか)、浮力は十分にとれているか、縫製はしっかりとしているのかの3点は確認して購入されるのがいいでしょう。水遊びで使用する場合は、常に浮力を確保できる固定式をお勧めします。最も重要なのがサイズ感。体にピッタリとフィットするものを選びましょう。ベルトなどでしっかりとフィットできるようになっている、子ども用のライフジャケットは股掛けベルトが付いていることが重要です」(キヌガワ・飯森和雅さん)

ライフジャケットII(大人用/品番KA-9012A)「体形に合わせてMサイズとLサイズがあり、浮力はMサイズ7.5キログラム、Lサイズは9.1キログラムを確保。ウエストベルトと肩ベルトで微妙な調整ができ、より体にフィットさせることができます」

ライフジャケットキッズII(子ども用/品番KA-9014A)「複数の発泡浮力体を使うことで、さまざまな体形のお子様に対応。ウエストベルトと肩ベルトでしっかりと体にフィットし、股掛けベルトで体が抜け落ちるのを防ぎます。3~5歳児向けインファント仕様もございます」

【モンベル】

「(1)子ども用は、股に回すベルトがついていること。水中でライフジャケットがすっぽ抜けることを防ぐためです(大人用はついていないものがほとんどです)。(2)ウエストが調整できる仕様となっていること。サイズの大きなものを選ぶと、体が沈みライフジャケットだけ浮いてしまい、首が締まる危険性があります。(3)ウエストや肩のベルトでしっかり体に合わせられるもの――。以上の3点を基準に選ぶといいでしょう」(モンベル広報部)

フリーダム(大人用/品番1127563) 浮力体のパッドを9つに分割して挿入したフリーアジャストシステムを採用。サイドやショルダーベルトも幅広い調整が可能なため、XSからXXLサイズまで幅広く対応できる。「サイズ調整が可能な為、使用者が違う場合も使用できます」

フリーダムKid's(子ども用/品番1127565)「大人用モデルの機能はそのままに、頭部の浮力を補助し、後頭部や顎部の保護にも役立つピローを備えています。股に回すベルトがついており、水中で脱げない仕様となっています」

アクティブに遊ぶために、ライフジャケットを

最後に、モンベルの「フリーダム」を借りて、小学生の子どもと海に入ってみた。

浮力は大人用も子ども用も想像以上。よく浮き、呼吸するための口は常に水面より上だ。これなら、落水しても落ち着いて助けを求められそうだ。また、肩や胸のベルトを片手で締められるため、水中で緩いと感じても、さっと調整できるのが便利だった。

子どもは「浮輪よりも安心する」とライフジャケットを着けたまま泳ぎ回り、ひとしきり泳ぐと、波打ち際で砂遊び。このときも丈が短いので、しゃがんでも不便はなさそうだった。救命器具としてはもちろんだが、アクティブに、安心して水辺で遊ぶための道具としてライフジャケットの使用を考えてもいいかもしれない、と思えた。

海洋ジャーナリストの内田正洋さんによると、欧米ではカヌーやカヤックなどウオータースポーツを楽しむ時に着るライフジャケットのことを「Personal Floatation Device(PFD)」と呼ぶ。米国や英国では子どもが小さな頃、PFDを着てカヌーやカヤックなどを体験させるという。「これはアウトドアエデュケーション、日本語にすると環境教育の基本です。ここでPFDについても学びます。川遊びや海水浴は最も身近なウオータースポーツ。ぜひここで日本の子どもたちにも正しいPFDの知識を勉強してほしい」

河原のバーベキューも油断せずに

クリアウォーターの清水さんは、以前、川で溺れていた子どもを助けたことがある。河原でバーベキューを楽しんでいた親は、清水さんが救助するまで子どもが溺れたことに気づいていなかったという。

「子どもは好奇心旺盛なので、川や海に連れて行ったら、水に入って遊び回るのが大前提。特に河原などでバーベキューをするときは、大人が目を離す時間が長くなるので、子どもにはライフジャケットを着用させてほしい」

日本での海水浴シーズンはそろそろ終盤だが、沖縄などに行けばまだまだマリンスポーツを楽しめる。秋に向けて河原でのバーベキューなどを予定している人も多いだろう。川や海に近づくなら、ライフジャケットを。子どもの命を大切に思うなら、多少高くても自分の目で実物を確かめ、安心・安全な製品を手にしてほしい。

(文 泊貴洋)

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