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まさか私が…29歳にして「恋愛の暗黒時代」に突入

キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論

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NIKKEI STYLE

こんにちは。ライターの大宮です。ここは都内の某外資系ホテル。広告制作会社のディレクターをしている鈴木明美さん(仮名、37歳)とアフタヌーンティーをしながらおしゃべりしています(前回記事はこちら)。

高速かつわかりやすく話し、明るく元気な印象の明美さん。しかし、「昨年は婚活ですごく苦しかった」そうです。このインタビューを受けるにあたり、本連載の過去記事をすべて読み、共感のあまり涙が出てしまったとのこと。現状を伺う前に、社会人になってから2番目の恋人である康平さん(仮名)となぜ1年で別れてしまったのかを確認させてください。

「仕事ができる人だったし、私の知らないすてきな大人の世界を教えてくれました。でも、前の彼氏と比べると優しくありません。会っているときはスマートだけど、常に向こうのペースに合わせなければなりませんでした。『今日、泊まりに行ってもいい?』と聞いても断られることがあり、私のワガママを100%は受け止めてもらえなかったんです」

明美さんは自らも「末っ子気質」と認める通り、恋人には甘えて頼りたいと思っています。さすがにすべてが自分の思い通りにいくとは思っていませんが、お泊まりを断るならばすごく残念がって次回はプレゼントを用意して機嫌をとってくれる、ぐらいの対応は求めたいのでしょう。

それでも明美さんは我慢をしました。当時28歳。責任のある立場で働いてきた経験が明美さんを成長させていたのです。しかし、どうしても受け入れられない出来事がありました。

部下に向かって暴言を吐く彼を目にして……

「一緒にタクシーに乗っているときに、彼が携帯電話で仕事の話をしていました。そして、ミスをしたらしい部下に暴言を吐いたのです。『てめえ』なんていう言い方で。他人をそんな風に罵倒する人と一緒に生活をするなんて考えられません。30代半ばになっていた彼は私との結婚を考えていたみたいですが、私のほうは『もっといい男性がいるはず。他を探したい』と思いました」

幼稚で暴力的な一面を抱える男性は少なくありません。あまりにもひどい場合はさっさと別れるほうが身のためですが、康平さんのように「部下への言葉遣いがひどい」程度であれば矯正できる余地もあると思います。ただし、そのためには人間的に尊敬できる上司や配偶者と出会い、彼らの背中を見て自らの未熟さに気づくことが必須です。康平さんより6歳下の28歳だった明美さんには荷が重かったのでしょう。

康平さんと別れたことは後悔していない明美さん。しかし、29歳になったあたりから「恋愛の暗黒時代」に突入してしまったと振り返ります。

「地元から一緒に上京した友だちはみんな結婚して、合コンの声がまったくかからなくなったんです。仕事の責任はさらに重くなり、だけどうまく回せるようにもなって、仕事一色の生活になりました」

自分のペースで仕事ができるようになったのだから、時間を作って社会人サークルなどに参加して出会いを求めればよかったと明美さんは反省しています。当時はどんな心境だったのでしょうか。

「あえて群れたくない、なんてカッコつけていたんです。私、バカだったな……」

30代になってからは体調も思わしくありません。蓄積した疲労とストレスが原因で、激痛を伴う帯状疱疹を3度も患ったことがあります。

「海外挙式」まで話は進んだのに

デスクワーク中心の生活をしていると忘れがちな事実ですが、僕たち人間は平等に老いていくものなんですよね。30代前半ぐらいで引退を表明するスポーツ選手を見ると「30歳でも生物としては既に若くない」ことに改めて気づいたりします。明美さんのように体調不良が表面化しやすくなったりもするのです。

だからといって恋愛や結婚をあきらめることはありません。できるだけ身ぎれいにし、常識と思いやりを持ち、積極的に出会いを求めていれば、相性の良い異性に巡り合うこともあるはずです。

明美さんの場合は、35歳のときにその機会が訪れます。友人たちとの飲み会に来ていた2歳年下の弘明さん(仮名)からアプローチされたのです。有名私立大のラグビー部出身で、大手企業に勤めている男性です。2度目のデートで告白をされ、結婚を前提にお付き合いを始めたのでした。

「由緒正しい家系の人で、歴史オタクな私はすごく興味をそそられました(笑)。ガタイがいいのも好みでした。しかも、一緒にいて自然体でいられる。やっと婚活が終わる!と幸せでした。翌年には両家の顔合わせをして、海外で挙式をする話まで出ていたんです」

しかし、両家の顔合わせは実現しないまま、弘明さんとは別れることになります。いったい何が起きたのでしょうか。続きはまた来週。

大宮冬洋(おおみや・とうよう)
 フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/

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