カードローン多彩に 金利下げ・女性専用・寄付…

個人向けのカードローンで金利を引き下げたり、限度額を引き上げたりする動きが広がってきた。プレゼントなどがつく女性専用の商品や地元サッカーチームに利用額の一部を寄付できる商品なども登場。日銀のマイナス金利政策や金融機関による顧客獲得競争が激しくなっていることが背景にある。個人にとっては良い条件になっているが、借りすぎなどには十分に気をつける必要がある。

三菱東京UFJ銀行は主力のカードローン「バンクイック」の下限金利を7月25日に、年4.6%から年1.8%に大幅に引き下げた。利用限度額は500万円で、支店などのテレビ窓口を使えば申し込みから最短40分で利用できる。楽天銀行も7月19日から下限金利を年4.9%から年1.9%に引き下げた。利用残高に応じ最大で3万1000円分の楽天スーパーポイントも付与する。

カードローンでは通常、借入金額が多いほど金利が低い傾向にある。下限金利の引き下げの恩恵は主に信用力があり、多額の借り入れをする人ほど大きくなるとみられる。

収益一部を寄付

ネット専業のじぶん銀行では、KDDIの「au ID」に登録すれば年0.1~0.5%の金利優遇を受けることができる。借り換えの場合の最優遇金利は年12.5~1.9%になる。

住信SBIネット銀行の「ミスターカードローン」も同行の住宅ローンを契約したり、系列のSBI証券の口座を保有したりする場合、最大で基準金利を年0.6%引き下げる。優遇後の金利は年1.89~7.99%。限度額は1000万円だ。

高所得者層向けの商品もある。みずほ銀行は昨年11月から「エグゼクティブプラン」の取り扱いを始めた。利用額は200万~1000万円で40~50代をターゲットにした。平均利用残高が100万円以上で高島屋のカタログギフトがもらえる。楽天銀行も限度額を500万円から800万円に引き上げた。

みずほ銀行は女性専用のカードローンも扱っている。金利以外の特色を出しており、平均利用残高が10万円以上の場合、季節に応じて商品が抽選で当たる。今夏はデンマークの家庭用品メーカーのティーセットがもらえる。オリエントコーポレーションの女性向けカードローンでは同社の会員サービスを通じて、エステやネイルサロンの割引などの特典を受けることができる。

地方でも地銀やメガバンクとの差別化を狙った独自商品が増えている。のと共栄信用金庫(石川県七尾市)は女性専用商品「まり姫」を7月11日に発売した。地元の協賛店舗でカードを提示すると割引が受けられるほか、自動車ローンや教育ローンなどの金利も年0.1%優遇する。限度額は50万円と少額利用を想定している。「他行は限度額を引き上げているが、別の特典でいかに魅力を感じてもらえるかを考えた」という。

山形信用金庫(山形市)は4月から利用平均残高の1%(最大50万円)を地元のサッカーチーム、モンテディオ山形に同信金が寄付する商品の取り扱いを始めた。カードには同チームのマスコットキャラクターのイラストを載せており「信金になじみの薄い若者に使ってもらいたい」と話す。大分県信用組合(大分市)も地元のサッカーチーム「大分トリニータ」に収益の一部を寄付する商品を販売している。

借りすぎに注意

カードローンに各行が力を入れる背景にはマイナス金利で、企業向けの貸出金利や住宅ローン金利が低下し、利ざやの厚い消費者向けローンに期待が高まっていることがある。消費者金融には個人の借入可能額を年収の3分の1までにする「総量規制」が課せられるが、銀行は対象外だ。各行ともカードローンの利便性を高め、さらなる顧客拡大を目指している。

日銀や日本貸金業協会の統計によると2015年度末の個人向けローン残高は計9兆8700億円。前年同期比5%伸び、今年度中にも10兆円を超えそうだ。一方で借りすぎにも注意が必要だ。東京市民法律事務所の三上理弁護士は「むやみに借りるのではなく、何のために借りるのか、本当に必要かどうかをしっかり考える必要がある」と指摘している。(逸見純也)

[日本経済新聞朝刊2016年8月6日付]

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