大原櫻子が2ndアルバム 大人の表情、作詞も挑戦
役者業での活動も盛ん
2013年の映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』で、女優とCDデビューを同時に果たした大原櫻子。愛くるしいルックスと、青春の香りの詰まった胸キュンソングが同世代を中心に支持され、昨年の1stアルバムは10万枚のヒット。昨年末には『NHK紅白歌合戦』に初出場した。
そんな彼女が2ndアルバム『V(ビバ)』をリリースした。
「1月に20歳になったので、大人っぽい楽曲にも挑戦したいという思いがすごくありました」と言うように、前作はストレートで明るい曲が中心だったが、今作ではじっくり聴かせるものが増えている。
なかでも、『サイン』は泣くようなギターが特徴的な切ないミディアムナンバーで、プロデューサーの亀田誠治からは、「優しさを大切にしながらも切なすぎないように」と言われ、悩みながら取り組んだそうだ。しかし何十回も繰り返し歌うなかで、低い音や息のはき出し方を工夫して、今までにない落ち着いた雰囲気を出せるようになったという。
またリードシングルにもなった『大好き』では、自身4作目となる作詞に挑戦。仲の良いシンガーソングライターの家入レオには作詞の相談をすることも多く、「普段からたくさんの本を読み、その感想文を書くといいよ」とアドバイスをもらったという。最近では小説などに加え、ドイツの哲学者カントの入門書まで読むなど、ジャンルは多岐にわたるそうだ。
「昔と違い、歌詞が突然降ってくるようになってきました。『大好き』で、ケンカは恋人同士のきずなを強くするという意味で書いた『突然君にもらった心のかさぶた/ケンカしたあの夏の痛がゆい証だね』は、飛行機に乗っている時にフッと
浮かんだものです」
女優としての活動も盛んで、1月から3月にかけてはミュージカル『The Love Bugs』で舞台デビューも果たした。「歌に芝居にダンスとすべてが凝縮されていたので、今まで吸収してきたものを出すいい機会になったと思います」。現在は月9ドラマ『好きな人がいること』(フジ系)に出演中で、12月には"8歳の女の子"を演じる舞台も決まっている。
「様々な役を演じるというのは、いろんな人の人生を生きることと同じなんです。結果、考え方の幅が広がりアーティストの成長につながっている実感があります」
8月からの全国ツアーは、自身最大規模となる4万6000人を動員予定する。千秋楽は初の日本武道館公演で、10月4、5日の2DAYSとなる。「今までの経験上、目の前のことをやり切って初めて、次の目標が見えてくるんです。日本武道館で最後の1曲を歌い切った後に見える景色が、今から楽しみです」。歌手、女優と2足のわらじを履きこなす才女としての優位性は当分続きそうだ。
(「日経エンタテインメント!」8月号の記事を再構成。敬称略、文・中桐基善 写真・藤本和史)
[日経MJ2016年8月5日付]
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