外国人も驚き 日本のジャングル&マングローブの神秘インバウンドサイト発 日本発見旅

(japan-guide.com)
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英語圏から日本を訪れる外国人のほとんどがチェックする、日本観光の情報サイト「japan-guide.com」。夫のステファン・シャウエッカーさんと共にジャパンガイドを育ててきたシャウエッカー光代さんが語る日本再発見の日々です。「日本にこんなところがあるなんて」と誰もが口にするのが南の島のマングローブ林。スイス人のシャウエッカーさんにとっては、インパクトはひときわ大きかったようです。

みなさんは「マングローブ」をご存知ですか? もちろん、名前は聞いたことがあると思います。どちらかというと「熱帯にある森林」のイメージですよね。でも、日本にもすばらしいマングローブの原生林があるのです。

日本のジャングル、マングローブ林

実は私も、マングローブについてはその程度のイメージしか持っていませんでした。しかも、熱帯の森林=ジャングル=ワニと大量の虫……という連想になってしまい、あまり行きたいとも思っていませんでした。

そんな私が日本のマングローブに魅了されたのは、日本に戻ってきて間もない2004年に行った西表島の取材でした。夫にとっては初めての沖縄取材。そのとき彼は本島と石垣・西表・竹富島を取材地に選んだのです。

事前の打ち合わせで、西表島にマングローブ林が存在することがいかにスゴイことであるかについて熱弁をふるう夫。しかし私は、西表島といえばイリオモテヤマネコの発見のほうがすごいと思っていましたし、上記の負のイメージもあったので、マングローブにはほとんど関心がありませんでした。

ところが、現地で人生初ともいえるジャングル体験をしたことで、強烈な印象が私の中に残りました。私たちはツアーではなくレンタルカヌーにしたので、自分たちのペースでマングローブ林に囲まれた川をこいでいき、細い支流に入って間近にマングローブの木々や水辺の生物を見ることができました。これらは想像をはるかに超えたおもしろさだったのです。

西表島のマングローブ林。根の形に特徴がある (写真:japan-guide.com)

マングローブという木はない?

それから、遅ればせながらマングローブに興味を持ち、いろいろ調べました。まず驚いたのは、マングローブという名前の木はないということ。マングローブとは、熱帯や亜熱帯の河口近くで淡水と海水が混じり合う場所に生えている植物の総称なのです。「高山植物」と同じ意味合いの呼び方であると、よく説明文に使われています。

マングローブ林を構成する植物は世界中に100種類ほどあるそうで、西表島ではヒルギ科やヤシ科など7種が確認されています。とにかく見たこともないような木ばかりで、特に根の形に特徴があります。陸地側から見るのはむずかしいですが、カヌーで支流に進むとかなり近くで見られるので、その意味でもカヌーツアーはおすすめですね。

マングローブの林をカヌーで進む(写真:japan-guide.com)

そしてマングローブ林に生息する生き物たちもおもしろい。海水が入り込む場所で、干満の差が作り出す干潟に生きる生物たちは独特です。シオマネキなどのカニ類、胸ビレで歩くように移動するトビハゼ類など、いつまで見ていても飽きません。カヌーが近づくと逃げてしまいますが、止めて気配を消してじっとしていると、あちこちからザワザワとはい出してきます。時間を忘れて、自分もマングローブ林と一体化したような感覚に包まれる瞬間です。

スイスの家族もみな西表島へ

私以上にマングローブの世界に感動していたのが夫です。彼にとってはトロピカルな島そのものが珍しいのですから無理もありませんが、そのハマリようは尋常ではありませんでした。のちに日本に旅行に来た両親、その数年後に訪れた妹家族も、成田から真っ先に西表島に連れていきました。みな夫同様、驚き、感動し、魅了され、満喫して帰っていきました。

夫の両親も西表島へ。初めて見る日本のジャングルに感動(写真:japan-guide.com)

南北に長い日本の魅力を表すのに、夫がよく使っている表現が「流氷からマングローブのジャングルまで」という言葉です。一つの国で(しかも決して広くはない)、これだけのバリエーションがあるところは、ほかにあまり例がないそうです。このフレーズを使う時の彼は、まるで自国の自慢をしているかのよう。もうすっかり日本人の感覚になっているようです。

干潮時のマングローブ林(写真:japan-guide.com)
マングローブ林の後ろの湿地帯で見られる天然記念物サキシマスオウノキも、不思議な根の形をしている

奄美大島にもマングローブが

日本には西表島以外にもマングローブが存在する場所が数カ所ありますが、先日、その一つである奄美大島に行ってきました。

奄美大島はマングローブの北限に近いため、西表に比べると木の種類が少なく2種類ほどしかないそうですが、それでも大自然を体感できることに変わりはありません。カヌーから見るマングローブ林はやはり壮観で、周辺の小さな生き物たちは相変わらずユーモラスな動きをし、初めてマングローブを見たときの感動がよみがえってくるひとときでした。

西表島も奄美大島も、初めての方ならカヌーツアーに参加するのが安心です。さまざまなタイプのツアーが用意されているので、滞在日程に合わせて選ぶことができます。奄美では外国人のガイドさんが英語で案内してくれるツアーもありました。

奄美大島には、英語のガイドによるカヌーツアーもある(写真:japan-guide.com)

西表島で夜もカヌーに乗ったという友人によると、オールで水をかくたびに夜光虫がきらきら光り、頭上には満天の星空。しばらく浮いていると、まるで宇宙の真ん中を漂っているような感覚になるのだそうです。その映像が目に浮かび、「次回は絶対、夜のカヌーツアーに行こう!」と即決した私たちでした。

日本のマングローブ林は、ジャングルなのにワニはいないし、怖い虫もほとんどいません。安全にワイルドなジャングル体験ができるスポットです。この夏、いつもと違う旅をしてみたい方は、マングローブの島を訪れてみてはいかがでしょうか。

シャウエッカー光代(シャウエッカー・みつよ)
ジャパンガイド(株)取締役。群馬県生まれ。海外旅行情報誌の編集者を経て、フリーの旅行ライターとなり、取材などで訪れた国は約30カ国。1994年バンクーバーに留学。クラスメートとしてスイス人のステファン・シャウエッカーと出会い、98年に結婚。2003年、2人で日本に移住。夫の個人事業だった、 日本を紹介する英語のウェブサイト「japan-guide.com」を07年にジャパンガイド株式会社として法人化。All About国際結婚ガイド、夫の著書『外国人が選んだ日本百景』(講談社+α新書)『外国人だけが知っている美しい日本』(大和書房)などの編集にも協力。
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