国会で追っかけ スイスの「根暗」少女が日本で変身
タレントの春香クリスティーンさんに聞く
春香クリスティーンさん
ビジネスパーソン向けの交流サイト(SNS)を展開するウォンテッドリー(東京・港)が7月に東京・六本木で開いたトークイベント「好きなことで、生きていかナイト」。最高経営責任者(CEO)の仲暁子さんが、「政治オタク」として知られるタレントの春香クリスティーンさんをゲストに招き、仕事観や好きなことで食べていく方法を語り合いました。イベント後、仲さんが春香さんに迫った特別インタビューを紹介します。
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仲さん 日本の若者は政治に無関心な人が多いのに、なぜ春香さんは政治意識が高いのですか。
春香さん 私の父は日本人、母はスイス人で、スイスのチューリヒで育ちました。今、英国の欧州連合(EU)離脱が話題ですが、かつてはスイスではEU加盟を巡り、一大論争になっていました。ほかにも徴兵制とか、ドラッグ問題とか、政治的な問題が多く、関心を持ちました。日本に来て「国会議事堂で追っかけ」をやっています。政治家の話を聞きたいからで、永田町にすぐ通えるように近くに引っ越してきました。
編集部 7月は参院選、東京都知事選と選挙続きです。この間、政治家を追いかけ回していたのですか。
春香さん はい。参院選では首都圏のほかにも福島や大阪、沖縄まで全国10カ所以上を回りました。政治家の方の演説をじっくりと聞きました。18歳選挙制が導入されたので、若い人の動向もチェックしました。
対談する仲さん(左)と春香クリスティーンさん
仲さん そんなに政治に関心があるのなら、タレントよりも政治家になったほうがいいんじゃないですか。
春香さん (前都知事の)舛添要一さんよりも田原総一朗さんに憧れますね。学生時代の友人には新聞記者になった人もいて、ジャーナリズムには関心はあります。この春に、シリアなど中東に難民支援の取材に行ってきました。欧州への難民流入問題についてこの目で確かめたかったからです。取材のための機材や旅費とか、かなり費用がかかりましたが、自腹で行きました。
編集部 タレント業で多忙なのに、よく中東に行かせてくれましたね。
春香さん はい、わりと自由にやらせてもらっています。ただ毎日いただくお仕事はすべて断らず、全力投球でやっています。
仲さん スイスは経済的に恵まれている国です。そもそもなぜ日本に来たのですか。
春香さん 私は子供の頃は根暗で、人見知りで引きこもりでした。衛星放送などで日本の「笑点」とか、お笑い番組を見るのが好きでした。私のアイデンティティーは父のふるさとの日本にあると思い、ずっと憧れていました。
高校1年生のときに1人で日本に留学しました。そこで1人カラオケにはまりました。1日6時間、歌いまくりました。笑点など番組の観覧に応募するようになり、エキストラをするようになり、オーディションを受けるようになりました。ドイツ語で芸人さんのまねをするとバカ受けして。そんなことがきっかけになり18歳でデビューしました。
編集部 タレントの仕事は大変ではないですか。
春香さん いつもダメ出しされるし、不安だし、怖い。番組前にうまくアンケートを書き込んで、司会のMCさんに拾ってもらえるようなコメントをしないといけない。おカネをいただいていますから、しかし大半は失敗ばかりです。へこんで泣きます。ただ寝たらすっきりします。
最初は「一発屋」を目指していました。1年で終わると思ったら、2年、3年と続きました。私は独語と英語、日本語のほかに仏語も少しできます。勉強しないといけないことはまだ多いのですが、短所を伸ばすより、長所を伸ばすほうが早いなと考えるようになりました。スイスで暗かった私は、日本ではポジティブ志向に変わりました。スイスの両親や友人は驚いています。
仲さん キャリアの最終的な目標は何ですか。
春香さん まだ分かりません。今、24歳ですけど、確かにタレント業は不安定だし、老後を考えると心配になりますね(笑)。目指す女優さんとか、歌手とかが特にいるわけではありません。しかし、今の仕事はすごく充実していて面白い。とにかく後悔したくないし、一期一会を大事にして頑張っていきたいと思います。
(代慶達也)