夏の「汗づまり」 体の熱を逃がして汗を減らす

日経ヘルス

2016/9/25
PIXTA
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夏になると、手のひらや足裏の水ぶくれ、皮むけに悩まされる女性も多い。これは“汗づまり”が原因の汗疱(かんぽう)、異汗性湿疹(いかんせいしっしん)かもしれない。手あれや水虫と誤解されやすく、間違ったケアで症状を悪化させるケースも。原因から治療法まで3回に分けて解説する。2回目は予防法について見ていこう。

汗疱や異汗性湿疹ができないようにするには、その原因となる“汗づまり”の予防が肝心だ。初期の汗疱なら、症状の改善にも効果的。「最も大切なのは、汗をかきすぎないこと」とアース皮ふ科クリニックの木下順平院長は話す。

夏の暑い時期は、体にフィットするレギンスなどは体に熱がこもり、汗をかきやすくなる。風通しのいいゆったりしたパンツがお薦め(イラスト:sino)

「体に熱をためないように、夏の外出時はこまめにコンビニなどに入って体の熱を逃がす。夏にお薦めのスタイルは、風通しのいいガウチョパンツなど。体にフィットするレギンスやスキニーパンツは避けたい。熱帯夜は寝汗をかきやすいので、なるべくエアコンはつけたままがいい。冷えが気になるなら、“ドライ”にして。洗いものなどでお湯を使ったら、手の皮膚に熱がこもらないように水で冷やそう」(木下院長)

また、角質層の“ガサガサ”は、汗の出口を詰まらせる原因になる。角質層をなめらかにするには、「ピーリング石鹸で皮膚のターンオーバーを促したい」(木下院長)。日々の保湿ケアも大切だ。「尿素入りのローションやクリームを手足に塗る習慣をつけよう」(埼玉県済生会川口総合病院皮膚科の高山かおる部長)

角質層が硬い場合は、クリームを塗り込んだり、手袋や靴下で保湿を頑張るよりも、低刺激のピーリング石鹸で余分な角質を除去すると、やわらかく、なめらかになる(イラスト:sino)

ただし、「保湿だけでは治らない。保湿のしすぎは逆効果」と木下院長は注意を促す。「クリームをつけるときに、塗り込むのはダメ。“こする”動作は角質層を厚くする一因で、症状があるときは悪化させてしまう。また、皮むけやカサカサ感があっても、寝るときまで靴下を履いたり、綿手袋をするのもやりすぎ。逆に汗をかき、汗づまりを引き起こす原因になる」(木下院長)

季節に応じて汗をかかない工夫が必要だ。

金属アレルギーが原因の場合も

「異汗性湿疹がなかなか治らないという人の中には、全身性金属アレルギーが関連しているケースもある」と高山部長。

(イラスト:sino)

全身性金属アレルギーとは、アクセサリーや時計に使われるニッケルなどの接触アレルギーを持っている人が、ニッケル、クロムなどの金属を、過剰に経口や吸入で取り込むことによりアレルギー反応が起こり、全身に皮膚炎を生じること。「原因の多くは、金属を含む特定の食品の過剰摂取による」(高山部長)

たとえば、一般的にニッケルはひえ・キビ・あわなどの雑穀、大豆などの豆類、チョコレート、コーヒーなどに、クロムはひじき、ワカメなどに多く含まれているとされている。

「食品から摂取した金属は汗に混ざって排出される。金属と汗の2つのアレルゲンに対して免疫システムが働き、異汗性湿疹が出ると考えられる。金属アレルギーと異汗性湿疹に対応した治療が行われる」(高山部長)

ニッケルやクロムは体に必要なミネラル分だが、過度に毎日摂取することは避けたい。

■この人たちに聞きました

木下順平院長
アース皮ふ科クリニック(東京都・足立区)。幼少期からアトピー性皮膚炎だったことから、症状改善のために皮膚科医を目指す。国立成育医療研究センターで小児皮膚医療を担当した後、アース皮ふ科クリニックを開設。難治性の異汗性湿疹を始め、皮膚科一般を診る
高山かおる医師
埼玉県済生会川口総合病院(埼玉県・川口市)皮膚科主任部長。皮膚科一般を診る一方で、特にフットケアに力を注ぎ、足の健康の重要性を啓発する「足育研究所」代表を務める。近著に『「ガサガサかかと」が危ない!足の手入れが健康寿命を延ばす』(家の光協会)がある

(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 羽田光)

[日経ヘルス2016年9月号の記事を再構成]