外貨投資

為替にチャレンジ

預金から保険、ローンまで 外貨の商品は幅広い SMBC信託銀行 商品企画部長 阿部豊憲

2016/8/4

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 今回は外貨に関連する金融商品の種類や特徴について、外貨預金を中心に見ていきましょう。下の表のように外貨商品は幅広くあり、それぞれの商品特性や利用目的を知っておくことが重要です。

■知っておきたい外貨預金のイロハ

 代表的な外貨の金融商品といえば、まず外貨預金が思い浮かびます。決まった満期がなく、いつでも預け入れや引き出しができる外貨普通預金や、一定の期間を決めて預け入れる外貨定期預金があります。期間は当行の例でいえば1週間、2週間、1カ月といった短期から、1年、2年、3年、5年といった中長期まで幅広い選択肢があり、通貨によっては7カ月、9カ月といった満期も選べます。基本的な考え方は円預金と同じ(=預けて利息を受け取る)ですが、外貨預金は預金保険制度の対象ではないことをはじめ、いくつか特徴があります。

 まず、外貨預金は為替レートの影響を受けますので、円換算した場合の元本の価値は為替レートにより変動します。預けたときより円安が進んでいれば差益が出ますが、逆に円高になっていると差損が出ます。そして円預金から外貨預金、外貨預金から円預金への交換時には、為替手数料が必要になります。例えば円と米ドルを交換する場合には、為替レートの中値(朝10時ごろ決まるその日の基準レート)に上乗せして、1米ドルあたり1円程度の手数料がかかるのが一般的です。

 この手数料の額は通貨や金融機関、またキャンペーンなど時期によっても異なりますが、外貨取引で収益を狙う場合、この「往復」の為替手数料を頭に入れておかなければなりません。中値が1ドル=100円のとき10万円をドルに換えて預金すると、為替手数料が1円なら外貨額は1000ドルにはならず、990ドル強になります。仮に1年後の満期時に為替が1ドル=101円の円安になっていても、受け取る円の額は約9万9000円で、もともとの10万円を割り込んでいます(利息は考慮せず)。要するに中値では差益が出ると思っても、為替手数料を考慮すると差損となることもあり得ますので、注意が必要なのです。

 なお外貨預金でもFXのように「1ドル=●円になったら預け入れる(払い出す)」といった指値(さしね)注文取引ができる金融機関があり、こういうサービスを使えば、ずっと為替レートを見続けている必要はなくなります。また外貨預金の金利は、各金融機関が外貨運用によって得ている収益から、スプレッドと呼ばれる利ざやを差し引いて決まります。外貨預金金利は一般に円預金金利よりも高いものですが、金融機関の考え方によって一律ではありません。金利優遇キャンペーンなどもよく行われています。

 通貨数の多さや他では扱われないマイナー通貨を売りにする金融機関もありますが、情報が少なく、よく知らない通貨は注意が必要です。円高になってもドルなら夏休みのハワイ旅行で使えますが、マイナー通貨は「現地でキャッシュとして使う」のがなかなか困難です。実用の点でも分散効果の点でも、先進国通貨を中心に、新興国通貨がある程度そろっていれば十分といえます。大切なことは通貨分散をした後、その通貨をどう生かせるかという選択肢の多さではないでしょうか。

■外貨サービスは近年非常に充実

 さて、せっかく積み立てた外貨預金も円に戻してからしか使えないとなると使い勝手がよくありません。外貨預金をそのまま外貨で使えることが重要です。例えば、米国内のATMを利用して、日本にある米ドル預金口座から直接米ドルを引き出せる外貨預金キャッシュカードを持っていると便利です。

 他にも、VISAなどの国際ブランドがついた外貨プリペイドカードがあります。近年、非常に充実してきた分野ですが、プリペイドカードに外貨預金口座から各種外貨をチャージしておけば、海外でのショッピングやATMでの外貨引き出しなどで便利です。チャージ金額を控えめにしておけば、使いすぎ防止や盗難・不正などへの防衛にもつながります。他にも外貨預金口座から直接引き落としをする外貨デビットカード、変わったところでは外貨預金口座から引き出した現金を日本国内の自宅に配達する外貨宅配サービスもあります。

■外貨預金以外の外貨運用商品は?

 マイナス金利の日本では、円預金や国債といった元本リスクのない商品での運用は金利収入は期待できません。収益を得るためには、長期投資によるリスク、社債などの信用リスク、株式や実物資産などの価格変動リスク、そして為替リスクなど、何らかのリスクを取る必要があります。許容できるリスクの種類や度合いは人それぞれです。ただし念頭に置いておきたいのは、同じ程度の価格変動リスクを負うのであれば、円で運用した場合よりも外貨運用のほうが期待収益は高い傾向にあるということです。

 そのために使えそうな商品の一つが外国債券です。現在、日本の国債や格付けの高い社債には、収益は期待できません。超長期の債券や格付けの低い債券という選択肢もありますが、個人投資家にとっては不安が残ります。一方、外国債券は円債に比べて金利水準が高いため、比較的短期で格付けの高い債券でも「意味のある投資収益」が期待できます。

 詳細は次回以降でご紹介しますが、この他に外貨建て投資信託や外貨建ての生命保険・年金もあります。保険も投信も円だけと決め付ける必要はありません。長期的観点で「増やす」「備える」「受け取る」に取り組める商品です。

■通貨が変わる可能性ありの「仕組み預金」

 最後に、マイナス金利下では選択肢の一つとして有効な上級者向けの外貨活用法をご紹介します。為替オプション付き仕組み預金というもので、定期預金のように預入期間を設定しますが、例えば円で預け入れても、判定日(満期日)の為替レートによっては米ドルや豪ドルなど預金者が選んだ外貨に交換されて戻ってくる可能性がある商品です。一方で通常の定期預金より高い金利が付くのが魅力です。通貨は、円投資型(円から外貨)、外貨投資型(外貨から円)、クロスカレンシー型(外貨から外貨)の3パターンから選べます。通貨交換をリスクと考えず、資産の外貨分散を進めるための手段だと考えられる人なら、利回り向上に活用できる商品です。

 また、取材に来る経済記者さんでもあまりご存じない外貨預金担保ローンという富裕層向けの商品も当行にはあります。これは外貨預金を担保として、円か外貨を選択して借り入れするローンです。分散を進めてきた外貨預金を取り崩すことなく、生活費や住宅資金といった資金需要に柔軟に対応できる便利なサービスです。

 これら外貨関連の商品は、金融機関によって品ぞろえ、アドバイスや情報量などが異なります。また、手持ちの外貨を海外に送金したり、海外でそのまま使えたりする機能(決済サービス)がそろっているかどうかも大切で、ここの使い勝手も金融機関によって大きく異なります。外貨分散を進める際には、金融機関の選択がとても重要なポイントです。

 次回は、外貨で運用できる投資信託を取り上げ、特徴や長所・短所をより詳しくお知らせします。

阿部 豊憲(あべ・とよのり) SMBC信託銀行 商品企画部長。シティバンク入行後、金融商品仲介業務や投資信託の企画・開発業務に従事。その後、銀行全般の事務マニュアル作成・管理業務を経て、現在はSMBC信託銀行の個人金融部門で総合的な商品企画・開発業務を担当。経営学修士、日本証券アナリスト協会検定会員。

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