ゲーム通信無料も 格安SIMからポケモンGO対応続々
2016年7月22日の配信開始以来、大きな話題を呼んだスマートフォン(スマホ)向けゲームアプリ「ポケモンGO」。ポケモンを捕らえようとするプレーヤーが公園に何百人も集まったり、政府や警察がポケモンGOのプレーに関する注意を呼びかけたりと、社会現象にもなっている。スマホで遊ぶゲームだけに格安SIMも無縁ではなく、さっそく関連サービスが登場している。中には「ポケモンGOしか遊べない」という格安SIMを出した企業もあるのだ。ここではサービスの内容と、格安SIMでポケモンGOを遊ぶ時の注意点を記した。
ポケモンGOしか遊べない格安SIMが登場
ポケモンGOだけしか遊べない格安SIMを登場させたのは、日本通信。同社はプリペイドタイプの格安SIM「b-mobile ゲームSIM」を8月10日に発売すると発表した。パッケージ価格は1620円(税込み、以下同)で、1ギガバイトまでのデータ通信を最大30日間利用できる。1回540円で1ギガバイトのチャージも可能。利用期間が過ぎてから10日以内にチャージすることで、継続使用できる。
b-mobile ゲームSIMでは、ポケモンGOの通信だけが許可されている。ブラウザーでウェブサイトを見たり、LINEで連絡を取ったりすることはできない(ただし、スマホのWi-Fi機能を使えば、ポケモンGO以外の通信も利用可能)。ポケモンGOに対応したSIMフリースマホや中古スマホと組み合わせれば、ポケモン専用スマホとして楽しめる。
ポケモンGOの通信料を無料にする
ポケモンGOの登場に合わせて、「ポケモンGOを遊ぶ場合、通信料がかからない」というサービスも登場している。
DTIは格安SIM「DTI SIM」において特定のアプリによるデータ通信を1年間無料とする料金プラン「DTI SIM ノーカウント」を発表した。
DTI SIM ノーカウントのデータ容量は毎月5ギガバイトで、月額料金は音声通話SIMが2073円、データ通信SIMが1317円だ。通信料が無料になるアプリとして、まずはポケモンGOが指定されており、契約から1年間はポケモンGOをどれだけ遊んでも通信料がかからない。
提供開始時期は2016年秋の予定で、8月2日の時点ではDTI SIM ノーカウントへ優先的に移行できる「DTI SIM ノーカウントβ」が提供されている。DTI SIM ノーカウントβはポケモンGOも通信料がかかるものの、月額料金は据え置きで10ギガバイトまで通信できる。
プラスワン・マーケティングの「FREETEL SIM」も、ポケモンGOのデータ通信を無料化するサービスを発表した。対象となるのはFREETEL SIMの全ユーザーで、無料で使える期間に制限はない。どの料金プランを契約していても、ポケモンGOのプレーについてはずっと通信料がかからなくなる。無料化の開始時期は8月下旬から9月を予定しているという。
筆者が実際にポケモンGOをプレーしたところ、1時間当たりの通信量は10メガバイト前後だった。もしも1日2時間のペースで毎日遊んだとすれば、1カ月の通信量は600メガバイトに達する計算だ。
毎月1ギガバイトから3ギガバイト程度のデータ容量が少ない料金プランを契約している人にとって、ポケモンGOの長時間プレーによる通信量はなかなか厳しいものがある。通信量を気にせずに楽しみたければ、こうした格安SIMを選択する方法もあるだろう。
条件を満たしているのに遊べない機種も
これらの格安SIMを使う前に確認しておきたいのが、ポケモンGOの対応機種だ。
ポケモンGO公式サイトの「よくあるご質問」では、公式に動作確認が行われた機種と、対応環境が確認できる。
ここでAndroidについての対応環境を見てみると、OSバージョンは「Android 4.4 - 6.0」で、対応端末は「Android 4.4以上、メモリー容量2GB以上(Intel製Atomプロセッサー搭載端末は非対応)」とされている。また、実際の背景にポケモンが重なって映る「AR表示」を利用するには、スマホの傾きや回転を検知するジャイロセンサーが必要だ。
上記の条件を満たしていれば、SIMフリースマホや、格安SIMと組み合わせた「格安スマホ」でもポケモンGOを楽しめる……はずなのだが、この条件を満たしているにもかかわらず、ポケモンGOが遊べない機種もある。
筆者が所有するASUS(エイスーステック・コンピューター)のSIMフリースマホ「ZenFone Go」もその一つ。ジャイロセンサーは搭載していないものの、Androidの対応端末としての対応環境は満たしている。それにもかかわらず、ポケモンGOはインストールもできない状況だ。
ASUS JAPANに確認したところ、「ポケモンGOが遊べないことについて、現段階ではっきりしたことは不明」とする。「すべてのZenFoneシリーズでポケモンGOが遊べるように調整していく。正式なコメントを待ってほしい」(ASUS JAPAN担当者)
また、社会現象を巻き起こすほどの人気アプリであることからか、ポケモンGOの対応状況を公表するメーカーや通信会社もある。
前出のプラスワン・マーケティングでは、同社のスマホにおいてポケモンGOの動作確認を実施。「SAMURAI REI」をはじめとした対応機種を公表している。
一方、「楽天モバイル」の楽天や「BIGLOBE SIM」のBIGLOBEなど、一部の通信会社では、格安スマホとしてこれまでに販売したSIMフリースマホについて、ポケモンGOの動作確認を独自に行った。
ポケモンGOに対応した格安SIMを選ぶ場合、契約する前にそのSIMを使う予定の機種でポケモンGOが遊べるのか、必ずチェックしておきたい。
(ライター 松村武宏)
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