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鬱病が増加の一途をたどっている。意外なのは会社で昇進した際に起こる、いわゆる「出世鬱」だ。上司になっても部下をうまく指導できないとか、目標達成などのプレッシャーが強くなり、鬱化するという人もいる。4月の定期異動で昇進してから3~4カ月、疲労がたまりやすい夏が危ないとの指摘もある。なぜ出世鬱に陥るのか。対処法などを、早稲田大学研究戦略センター教授で脳科学を専門とする枝川義邦氏に聞いた。

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 ――ビジネスパーソンに昇進時の鬱が増えているとの指摘があります。

早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦氏

早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦氏

鬱病の原因は様々で複雑です。環境要因や身体要因が重なることで発症することが多いことから、昇進したことだけが原因となることは少ないようですが、大きな要素にはなり得るものです。厚生労働省も我が国での鬱病患者数の増加を指摘しています。鬱病全体の総数が増えている中で、「昇進鬱」も増加している、というのが実態ではないでしょうか。

昇進鬱とは、昇進で責務が重くなったり、それまでとは内容の異なる仕事に就いたりして、プレッシャーが大きくなりすぎたことで、抑鬱状態になってしまうことをいいます。これは、慢性的な疲労や倦怠(けんたい)感、不安や焦燥感、頭痛や腹痛、高血圧、動悸(どうき)、めまい、不眠といった実際の鬱病の症状を示すものと理解されています。

 ――「パワハラ」や「セクハラ」に対する目が厳しくなり、部下を叱責しづらくなったとか、年功序列の崩壊で年上部下が増え、うまくコントロールできなくなったとか、リーダーにとって職場環境が厳しくなったことを要因にあげる声もあります。

何かをうまくコントロールできないとジレンマを感じたときの反応は、「キレる」か「逃げる」かに大分されます。「キレる」とはジレンマに対して怒りの感情を持つ場合で、怒ることでコントロールしづらい場をなんとか支配しようとするのです。

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