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一人暮らし女性の自衛策 夜道はタクシー 歩きスマホ厳禁

2016/8/2 日本経済新聞 夕刊

 都会で一人暮らしをする女性が犯罪被害に遭う事件は後を絶たない。特に薄着になる今の時期、女性が性犯罪に巻き込まれる例も目立つ。そうした被害から一人暮らしの女性が身を守るにはどうすればいいのか。女性の防犯術に詳しい専門家に話を聞き、自衛策をまとめてみた。

 「あの時は本当に怖かった」。そう振り返るのは東京都内の出版社に勤めるA子さん(37)。私鉄の最寄り駅から徒歩10分のマンションに一人で暮らす。先日、帰宅途中に立ち寄ったコンビニを出て間もなく、後をつけてきた男から「どこかで遊んでいかない?」と声を掛けられた。無視してもしつこくついてくることに恐怖を覚え、コンビニへUターンして警察に通報してもらった。

 A子さんの判断・行動は正しかったようだ。防犯事情に詳しい、安全生活アドバイザーの佐伯幸子さんは「不審者に後をつけられた場合、自宅に駆け込むのが最悪の行動」と指摘する。相手に自宅を教えるようなもので、毎日、待ち伏せされる恐れもある。「もし、後をつけられていると思ったら自宅には戻らず、交番かコンビニなどに助けを求めるのが一番」

 佐伯さんによれば、面識のない女性につきまとう「都市型ストーカー」にも注意を払う必要があるという。都市型ストーカーは電車の中で狙いを定め、一緒に下車して自宅まで後をつける。自衛策としては下車の際、最後に降りるなどして、自分について降りる人がいないかをチェックする。駅を出る時も周囲を見渡して、つけてくる人がいないか確認してから家路に就く。無防備な女性が狙われやすいので、相手にスキを見せず、あきらめさせるくらい警戒すべきだろう。

 最もしてはいけない行動が、歩きスマホだ。人気ゲーム「ポケモンGO」の普及でも問題になっているが、帰宅時に熱中するあまり、ポケモンどころか不審者まで自宅に連れ帰ってしまってはシャレにならない。

 セコムの女性社員でつくる防犯活動組織「働く女性の安全委員会」が普通に歩く場合と歩きスマホをする場合を比較したところ、危険性で如実に差が出た。後ろから来る人に気づいた時点での相手との距離は、普通の歩行をした場合が平均1.9メートルなのに対し、画面を見たり文章を入力したりしていると1メートル、イヤホンなどで音楽を聴く場合はわずか0.1メートルだった。

 同委員会のリーダー、寺本美保さんは「0.1メートルは追い越される寸前まで気づかない距離。歩きスマホは視野が狭くなるうえ、通話やイヤホンをしたら耳を防ぎ、注意力も散漫になる」と注意を促す。無防備な歩きスマホの女性は、不審者の標的になりかねないことを肝に銘ずべきだ。

 NPO法人・東京都セキュリティ促進協力会(東京・豊島)の防犯アドバイザー、古屋早百合さんは「窓を割って解錠しても簡単にサッシが開けられないよう補助錠を取りつけたほうがいい」と助言する。補助錠はホームセンターなどで数百円で手に入る。

 ホームセンター大手の島忠によれば、防犯グッズは新入学期や夏場などに売れるという。売れ筋のトップはやはり窓用の補助錠。担当者の藤田一人さんは「窃盗犯は侵入に5分以上かかると諦める傾向があるといわれており、補助錠も効果がある」と話す。

 昔から日本では「水と安全はタダ」といわれてきたが、体感治安が悪化してきた今、安全にも費用をかける時代になった。防犯グッズの活用やタクシーの利用など、時には身を守るための必要経費と割り切って、出費する覚悟も必要だろう。

■深夜・就寝中、被害多く

 警視庁がまとめた「都内における性犯罪の発生状況」(2015年)によると、約180件の性的暴行事件のうち約53%が午後10時~午前4時に発生した。場所も58%がマンションや一戸建てなどの住宅内だった。深夜、就寝中に住宅内に侵入され、被害に遭う実態が浮かび上がる。

 同じく警視庁の「住宅対象侵入窃盗の発生状況」(同)では、ベランダや縁側、居室などの窓からの侵入が6割、玄関などの出入り口からが4割だった。窃盗のうち夜、家人が就寝中に住宅内に侵入して金品を盗む「忍込み」の侵入手段では、鍵を掛け忘れた玄関や窓から侵入する無施錠が3階建て以下の集合住宅で96%、4階建て以上の集合住宅でも84%に達した。やはり寝る時は窓を閉め、しっかり鍵を掛けることが大事だ。

(高橋敬治)

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