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AIBOの血を引く2社 10年越しにロボットへ回帰

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日経トレンディネット

「AIBO」の生産終了から10年、ソニーが再びロボット事業に取り組む姿勢を明確に打ち出した。

2016年6月29日に開催された2016年度経営方針説明会の中で、ソニーの平井一夫社長は「ソニーが持つエレクトロニクスやセンサーなどに、AI、ロボティクス、通信などの技術を組み合わせることで、住空間、都市空間、生活空間などにも展開していくことができる」と前置きし、「ロボットの中には、心のつながりをもち、育てる喜び、愛情の対象となるものも含まれる」と説明。かつてソニーが発売していたロボット犬「AIBO」のようなコミュニケーション型ロボットの開発にも進出する姿勢をみせた。

AIBOは、1999年にソニーが発売したロボットで、2006年の生産終了までに15万台を出荷。2014年春にサポートを終了した。ソニーらしさを代表する製品のひとつであったともいえる。

だが、2000年代初頭は、テレビ事業が長い赤字のトンネルに入り始めるなど、エレクトロニクス事業が不振に陥っていったころ。エレクトロニクス事業の再建が優先されるなかで、販売台数が減少していたAIBOの生産からは撤退せざるを得ないと判断された。

ユーザーに惜しまれるなか、生産中止となったAIBOには、その後も復活を望む声が上がっていたが、ここにきて、ソニーがようやくその重い腰を上げたというわけだ。ソニーは、4月にロボットの事業化に向けた新たな組織を立ち上げたほか、米人工知能ベンチャーのCogitai(コジタイ)に出資。新たな時代におけるロボット事業確立に向けた体制づくりを急いでいる。

ソニーが得意なセンサー技術を生かせる

ソニーがロボット事業に再参入する理由はいくつかある。

ひとつは、業績回復が進むなかで、次の成長の柱を模索し始めたことだ。2017年度までの中期経営計画では、連結営業利益5000億円以上、ROE(自己資本利益率)10%以上という数値目標を掲げている。現状の2015年度実績では営業利益が2942億円。目標到達にはまだ距離があることや、営業利益が5000億円以上となったのは、同社の歴史において、1997年に5257億円を計上した一度だけであることなどから、その達成を危ぶむ声が依然としてあるが、平井社長は、「エレクトロニクス領域において、新たな事業機会を創出するための取り組みを加速すべき時が来た」と発言。次の一手に向けた取り組みを開始しようとしている。それがロボット事業というわけだ。

また、ロボット事業は、AIBOの経験に加えて、同社が持つ技術やノウハウを生かしやすい環境にあることも見逃せない。ソニーが得意とするセンサー技術はその最たるもので、これは同社が中期経営計画において掲げる成長けん引領域のひとつでもある。

一時的には減速しているデバイス事業だが、「中長期の視点で見ると、新たな用途の立ち上がりも期待され、潜在的に大きな成長が期待できる事業であるとの認識には変化がない。技術的優位性を持つソニーにとって有利な環境になってくるだろう」と平井社長は語った。センサーを軸としたデバイス事業は、ソニーの強みを生かせる分野だと位置づけ、ロボット事業における差異化にもつながるとみているのだ。

さらに、「ロボット事業の将来は、物流工程や製造工程など、広範な展開を行うが、これもソニーのノウハウが生きる」と、産業用途についても積極展開する姿勢を示す。ロボット事業の具体的な事業計画や目標値を現時点では明らかにはしていないが、ソニーらしさを創出できる新たな事業に位置づけているのは間違いない。

AIBOの遺伝子で実績を上げるVAIO

AIBOを源流に持つもうひとつの企業がある。それがVAIOだ。

VAIOは、ソニーのパソコン部門が独立し、日本産業パートナーズのもとに新たに設立した企業。2016年7月で設立から2年を経過した。VAIOの本社があり、生産拠点となっているのは、長野県安曇野市の旧ソニーEMCS長野テックだ。ここはソニー時代、パソコンだけでなく、AIBOの生産も行っていた経緯がある。そのノウハウを生かして、VAIOはロボットの受託製造を中核とした新規事業を、パソコン事業と並ぶ次の柱に育てようとしているのだ。VAIOの大田義実社長は、「2017年度には、パソコン事業の収益と新規事業の収益を1対1の割合にしたい」と語る。

すでに、ロボット事業の実績はあがっている。VAIOが受託製造しているロボットのひとつが、富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」だ。2015年6月から受託製造を開始しており、高さ約40cm、重量約1.8kgの大きさに、各種センサーやカメラを内蔵。22個のサーボモーターを搭載することで、手首や足首まで細かく動く構造となっている。この量産においては、VAIOの生産ラインの実績を生かす一方、AIBOを生産していた当時の検査ノウハウも活用している。

VAIOには、Palmi以外にも、ロボットの製造受託でいくつかの実績があるようだが、守秘義務契約があるため公開できないという。VAIOの大田社長は、「ロボットの受託生産については、こちらから営業活動をしなくても、問い合わせが相次いでいる。一つひとつの案件に、しっかりと対応できる体制を構築することを優先したい」と語る。

受託企業の間からは、「ソニー時代は、外部からの受託製造は行っていなかったが、VAIOになってからはソニー時代と同じ生産設備と製造品質を維持した形でお願いできるようになった。これは、我々にとっても大きなメリット」との声が上がる。さらに、VAIOでは、ロボット製造受託事業が軌道に乗れば、自社ブランドによるロボット生産も視野に入れていることを明かした。

AIBOという同じ源流を持つ2つの企業が、時を同じくしてロボット事業を本格化させる。AIBOの子供たちともいえるロボットがこれから続々と登場することになりそうだ。

大河原克行(おおかわら・かつゆき)
フリーランスジャーナリスト。1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。現在、ビジネス誌、パソコン誌、Web媒体などで活躍する。

[日経トレンディネット 2016年7月14日付の記事を再構成]

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