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カードなしで現金引き出し セキュリティーも向上 スマホが金融を変える(1)

2016/8/2

PIXTA
 スマートフォン(スマホ)で利用できる銀行のサービスが進化していると聞きました。どのようなことができるようになったのでしょうか。

 1990年代後半から始まったネットバンキングは、自宅でパソコンを使って利用する人を主な対象にしていた。しかし、ここ数年スマホからの利用が急増。ネットバンキングは「スマホバンキング」に姿を変えつつある。

 じぶん銀行は来春、顧客を対象に全国に約2万2500台あるセブン銀行のATMでキャッシュカードを使わずスマホで現金を引き出せるサービスを始める。

 まずじぶん銀行の銀行取引アプリから「スマホATM」メニューを選んで引き出し金額を入力。ATMで「スマホ取引画面」を選択し、QRコードをスマホで撮影する。そしてスマホに表示された4ケタの番号やキャッシュカードの暗証番号をATMに入力すれば、現金を引き出せる。

 「アプリへのログインを含め複数回、暗証番号を入れるので、1回だけのキャッシュカードよりセキュリティーは高まる」とIT戦略部の中村力部長はいう。

 現金引き出しは「スマホが越えられなかった最後の壁」(中村部長)。三菱東京UFJ銀行もスマホで出金できるサービスを検討している。財布が膨らむ一因である複数のキャッシュカードが、将来はスマホに置き換わるかもしれない。

 楽天銀行は昨年「楽天銀行アプリ」で指紋認証でログインできる機能や、アイコンを強く押すと振り込みなどの手続き画面をすぐに表示する機能を加えた。「パソコン画面と比べ、スマホでは利用者が必要な手続きに早く進める機動性を重視している」(楽天銀行)

 アプリから口座開設手続きもでき、ここ1年でスマホからの口座開設がパソコンを抜き6割以上を占めるようになったという。年内にほぼすべてのサービスがスマホで利用可能になる。

 手元で預金残高を確認できるというスマホの強みは、デビットカードを使うときに役に立つ。11通貨に対応するソニー銀行のデビット付きキャッシュカード「ソニーバンク・ウォレット」のアプリは通貨ごとに利用可能額を表示する。

 外貨で表示された金額をその時点のレートで円換算する電卓機能もあるので、海外での買い物の際、価格をすぐに円で把握できる。

 メガバンクも業態を超えたサービスを強化している。三井住友銀行は10月、三井住友カードとSMBC日興証券の取引内容を同時に表示するアプリの提供を始める。銀行の取引履歴、カードの利用履歴、資産運用の状況が“ワンストップ”で確認できるようになる。

 みずほ銀行はマネーツリー(東京・渋谷)と提携し今年4月、「みずほダイレクトアプリ」に資産管理機能「一生通帳 by Moneytree」を加えた。「資産の把握を入り口に、資産運用もスマホなどでできるようなサービスを展開する」(みずほ銀行)

 スマホで利用できる金融サービスが広がれば「貯蓄から投資へ」の流れがさらに加速するかもしれない。

[日本経済新聞朝刊2016年7月27日付]

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