愛用包丁で作る料理、鍵つきインスタで自分だけに公開

著名人が、お気に入りのモノについて語る「私のモノ語り」。今回はアメリカ・カナダツアーを大成功におさめ、数々のフェスで大暴れ中のチャラン・ポ・ランタンのお2人にお話を伺っています。前編（「チャラン・ポ・ランタン　時計の文字盤はニョロニョロ/海外で人気の姉妹アーティストが語るモノ選び」）では小春さんが「読みづらい時計」を紹介してくれましたが、後編では飽き性であるももさんのやる気を奮い立たせるお気に入りの包丁をご紹介。姉妹ユニットならではの関係性にも注目です。

もも　実は私も小春のまねをして一緒にアコーディオンを習っていた時期があるんです。他にトランペットも買ってもらって挑戦したこともあるのですが、飽きっぽい性格なので、ぜんぜん続かないんですよね。そんな私が唯一、1年間も続いているのが料理なんです。それで、せっかくなら自分専用の包丁を買おうと思って、去年のクリスマスにGLOBALの包丁を自分にプレゼントしました。

小春　実家がずっとGLOBALの包丁でしたから、たまにどこかで普通の包丁を使うことがあったりすると、「なんだこれ？」っていうぐらい切れないらしいです。

もも　触り心地も最高なんですよ！　サビないので洗ったあと拭かなくていいのも大きなポイントです。はじめて使った日はうれしくって、拭かなくてもいいのに拭いちゃったぐらい。そしたら気づかない間に指を切っていて、流血騒動に。その後、襲ってきた激痛に泣きながらも、「切れ味すごい！」って大喜びしました（笑）。

小春　マイ包丁を買ってからももの料理熱はさらに上昇しました。スタッフも私も2週間ぐらいで飽きるだろうと予想していたんですが、いまだにつづいています。

もも　1年前まで、お料理なんてぜんぜんしなかったんですけど、この包丁を買ってから料理を作る回数がぐんと増えました。特に自分のためにお弁当を作ることにハマっています。私、歌と生きてること以外に続いていることがないので、やる気を出させてくれる「モノ」って大事だなと、改めて実感しています。

小春　でも、私には作ってくれたことがない！　たまにバンドメンバーにおむすびを持ってきてくれることがありますが、ちっちゃくて、ぜんぜん食べ応えがないんですよね。

もも　まあ、基本は自分のためだけにですから（笑）。作ったお弁当は写真に撮って、私しか見られない鍵つきのインスタグラムに載せてます。

小春　なんのために？って感じですけどね。

もも　お弁当の中身って、ちっちゃなおにぎりとか、色とりどりのお総菜とか毎回違うし、けっこうかわいいじゃないですか（笑）。インスタだから誰かに見てほしいと考えがちですが、私の場合は一生懸命作ったお弁当だから、写真として記録して、時々、「こんなの作ったよね」と見返して自分に自慢したいんですよね（笑）。

小春　前回、今回と紹介させてもらったモノ（小春は逆回転時計、ももは包丁）のこだわりポイントがぜんぜん違うように、ユニット（チャラン・ポ・ランタン）で活動する際も、当然「私の意見を聞いてよ」とか「この曲のこの部分を変えたい」とか出てきます。相反する個性が原因で、ユニットの仲が険悪な関係になるって聞きますが、私たちの場合、相手の性格を知り尽くしてますから、ぶつかっても、ゴリ押ししないで「ここは、時間を置けばわかってくれるだろうな」とか「これを言ったら怒るだろうな」という沸点がリアルにわかるんですよね。私たちがうまくいっているのは姉妹ユニットだからだと思います。

もも　勢いで「縁を切る」とかって話にはならない安心感もありますね。姉妹をやめるとなるとけっこう手続きとかが難しいですから（笑）。

小春　超大げんかしても冠婚葬祭とかで会っちゃいますし。ライブのMCでも遠慮がないので、ファンから「扱い大丈夫？」と心配されますが、身内だからぜんぜん平気なんです（笑）。

もも　チャラン・ポ・ランタンのバランスは、姉妹だから成立してるんだなと思います。

小春　よく話題にされる衣装も姉妹ならではというか、家族だからこそのオリジナリティーなんです。

もも　私たちの衣装はすべてお母さんの手作り。お母さんはイラストレーターなんですけど、趣味が洋服作りで。子どものころから私たちの洋服を作ってくれていました。その延長みたいな感じでチャラン・ポ・ランタンの衣装も作ってくれています。

小春　衣装は海外でも興味を持ってくれる人が多くて、テキサスだと3歩あるくごとに「すごくいいね！」って言われたくらいなんです（笑）。

もも　衣装の世界観など、「誰かにコンセプトを決めてもらってるのでは？」と思われがちですが、子どものときからこんな格好をしているので、ごく普通の感覚なんです。ひねくれた性格も影響しているかもしれませんが、前編でお話しした小春の「読みづらい時計」が好きとかいうのも、その延長だと思ってもらえれば違和感ないかな（笑）。

もも　そんな私たちなんで、紅白歌合戦とかぜんぜん興味なさそうだねって言われたりするんですけど出たいです。おばあちゃんが元気なうちに！

小春　私たちを見て、アコーディオンを弾きたいって人が増えてくれたらさらにうれしいですね。もし、この記事を読んで気になった人がいたら、動画サイトからでいいので、私たちのパフォーマンスをぜひチェックしてみてください。

もも　近寄りづらそうとか、根暗そうとか、そういうイメージを持たれがちなんですけど、ぜんぜんそんなことありませんから！（笑）

（ライター　葉月けめこ、写真　勝山弘一）