趣味・ガジェット

私のモノ語り

チャラン・ポ・ランタン 時計の文字盤はニョロニョロ 海外で人気の姉妹アーティストが語るモノ選び

2016/8/11

ボーダーレスな活動で海外でも評価が高いチャラン・ポ・ランタンの小春さん(右)とももさん(左)

著名人が、お気に入りのモノについて語る連載「私のモノ語り」。今回登場するのはアコーディオン演奏とボーカルからなる姉妹ユニット、「チャラン・ポ・ランタン」の小春(こはる)さんとももさんです。昨年はカナダ、米国ツアーを実現し、ニューヨーク単独公演もチケットが完売するなど、海外から高い評価を受けている2人。姉妹が今いちばん気に入っているというモノについて2回に分けて語っていただきました。さらに同じ部屋だったのに会話をしたことがなかったという姉妹がユニットを結成したいきさつから、ピンクフロイドのデビッド・ギルモアから届いた出演依頼を断った(!)というエピソードまで、自由な生き方も魅力的な2人です。

■モノ選びの基準は使いづらさ!?

右から二番目がフランク三浦の逆回転時計。インデックスも針の動きも“逆”だそう
ライブの時間チェックのために時計を集めはじめたと言うが……

小春 チャラン・ポ・ランタンとしての活動は2009年7月から。もともとは私が上野公園などでアコーディオン1本で演奏をしたり、インストバンドの「カンカンバルカン」として大道芸をしていたのがはじまりなんです。活動中、たまたま歌詞ができてしまったので、「誰かに歌ってもらおうかな」と思っていたら、お母さんが「ももはカラオケに行くらしいよ」と、噂話的に情報を流してくれて(笑)。

もも 当時は高校1年で、小春と生活リズムがまったく違っていてお互いに距離がありました。同じ部屋なのに全然会話がなかった(笑)。なのに、ある日突然「歌とか歌える?」って迫られたんです。そこで「はあ……」という感じで引き受けちゃって、そこからヌルッと今に至ります(笑)。

小春 2人でライブを始めてわかったのは、人としゃべるのが苦手だったのに、ライブではしゃべりすぎるということ。MC時間をオーバーしちゃうんです。単独公演はまだよくても、他のアーティストも出演するフェスだとマネジャーがすごく怒る。そこで時間を意識するために時計を集め始めたんです。お気に入りはエプソンの「スマートキャンバス」というシリーズ。ムーミンとミッフィーの絵柄の時計を持ってるんですけど、(ムーミンの登場キャラクターである)ニョロニョロが文字盤になっているんです。

もも かわいいけど、ぜんぜん何時かわからないんですよ(笑)。時間を気にしなきゃいけないからって、いろいろな時計を集めたはずなのに。

小春 最近買った中でいちばんのお気に入りは、フランク三浦の逆回転時計かな。さらに読みづらいですけど(笑)。裏にね、「完全非防水」って書いてあるんです。ありますか? ここまでの開き直り(笑)。こんなに自由な時計屋さんがあるということに感動しました。

もも 小春は読みづらい時計しか持ってないんです(笑)。

小春 そういえば、一時期、懐中時計にもハマっていました。ネジをまわさないと動かないじゃないですか? 相手にしてやんないと止まっちゃうなんて、「なんだ、この人間臭さは!」みたいな(笑)。そのまま便利に使えちゃうモノより、私がかまってあげないと動かないような人間臭さがいとおしいというか、要するに手がかかるモノ好きなんです。

もも 反対に「使いやすいですよ」ってお薦めされたものはあまり手に取らない。

小春 iPhoneケースもバッグもやたら大きいし……、使いづらいモノが好きなんです(笑)。

ももさんの名前は、モモという少女が時間泥棒から時間を取り返す『モモ』(ミヒャエル・エンデ)という小説からつけられたそう。時間に追われる現代人に、人間本来の生き方を思い出させるストーリーなので、「どちらかというと私の方がモモかも」と小春さん

■17歳で東京都公認の“ヘブンアーティスト”に

小春 はじめてアコーディオンを持ったのは7歳のとき。親子で「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演を観に行って、生演奏のアコーディオンを見たのがきっかけです。「なに、この伸び縮みしているピアノは? 小春も欲しい!」とサンタさんにお願いしたんです(笑)。

もも それから小春は毎年サンタさんに「もう少し大きいアコーディオンください」ってお願いしてました。小春の成長とともにアコーディオンも成長していくみたいな。

小春 友だちとつるむようなタイプでもなかったんで、家で細々とアコーディオンを弾いていたら、いつのまにか17歳になっていたんです。ふと将来を考えると、「この性格じゃ普通の仕事なんてできない。アコーディオンだけでどうにか生活ができないとまずい」って。そこで「人としゃべらなくてもお金が入る仕事はないか」と考えて思いついたのが大道芸でした。さっそく東京都の大道芸人公認制度「ヘブンアーティスト」を受けてみたら合格してしまった(笑)。

ユニットを組むまでは「お母さんの噂話でお互いの近況を知る感じだった」(小春:右)「同じ部屋なのに顔を合わせることもなく、会話もほとんどなかった」(もも:左)

■イギリス貴族からもオファー!

小春 チャラン・ポ・ランタンとして行ったアメリカ・カナダツアーは盛況、昨年のニューヨーク初公演もありがたいことにチケットが完売しました。そもそも海外で知られるようになったのはYouTubeがきっかけです。

もも まだ、小春が単独で活動していた18~19歳の頃、YouTubeに「畑で演奏している動画」をアップしたんですよ。そしたらそれが「日本のおもしろいミュージシャンを紹介するブログ」に掲載されて、再生回数がすごいことになっちゃって……!

小春 それを見たイギリスの貴族の方から「チェルシー・フェスティバル」というイベント宣伝のため演奏してほしいってオファーも来て。演奏しながら練り歩いてイベントの宣伝をしたんです。アコーディオンを弾く人なんて向こうにもたくさんいると思うんですけど。

もも で、そのイベントの一環として開催された「Atom Heart Mother」というスペシャル・ライブで、ピンクフロイドのデビッド・ギルモアからセッションのお誘いも受けたんだよね。

小春 うん。メールには演奏している動画も添付されてたんだけど、「ん? 現代音楽? なんだろこれ」って。「ちょっと難しいから、また今度ね」って断っちゃったんだよね。そもそもAtom Heart Motherとピンクフロイド、どちらがバンド名かもわかっていなかったし。

もも 今、考えるともったいない(笑)。ただ、最初に声をかけてくださった貴族の方は、小春とチャラン・ポ・ランタンを始めた後もまたオファーをしてくれました。出演条件に「No Yukata,Yes Kimono」と書かれていたので、慌てて振り袖を買いに行ったのを覚えています(笑)。

小春 浴衣と着物の違いを知っているなんて、さすが貴族(笑)。

◇  ◇  ◇

「使いづらいモノが好き」という姉・小春さんのモノ選びに続いて、次回は妹・ももさんのお気に入りを紹介します。先日、ドラマで女優としてもデビューしたももさんが持ってきたのは、お姉さんとは違い、とても実用的なモノでした。

11月10日からは全国14カ所のツアーがスタート
チャラン・ポ・ランタン
もも(唄/平成生まれの妹)と小春(アコーディオン/昭和生まれの姉)による姉妹ユニット。2009年に実家で結成。14 年7月にエイベックスよりメジャーデビュー。お笑い・アイドル・女優、映画/ドラマへの楽曲提供、演技・CM・声優・イラスト・執筆・フェス出演、小春のMr.Childrenツアーサポート、もものドラマ出演など日々ボーダーレスな活動を行っている。15年はツアー4本、フジロックでの5ステージ出演、ニューヨーク単独公演など大暴れ。北海道での人気は高く、ワンマンショウは毎回チケットソールドアウト。そして岩見沢で行われるフェス『JOIN ALIVE』にも今年で3年連続の出演。人気ドラマ・映画の主題歌を含む7トラックがダウンロードできるミュージックカードと丸尾末広描き下ろしグッズが付いたデジタルシングル「あの子のジンタ」が発売中。11月10日(木)からは『チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン ツアー2016-17“大衆音楽の手引き”』が横浜 赤レンガ倉庫を皮切りにスタート。北海道から九州まで全国14カ所をまわる。

(ライター 葉月けめこ、写真 勝山弘一、編集協力 佐々木健二=ジェイクランプ)

趣味・ガジェット 新着記事

ALL CHANNEL