猛暑も「暦」も進化した? 気象予報士・天達に聞く!立川談笑

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今回のテーマは「暑い。暑いよっ!」。

「ええ、話題のスマホアプリ『ポケモンGO』が日本で配信された7月22日(金)は、くしくも『大暑』にあたります。炎天下の屋外を歩き回りすぎて、ピカチュウ症にならないよう気をつけましょうね」

てなことを書きたかったんです。ちょっとベタだけど、我ながらタイムリーないいネタですよ。ところが残念(?)ながらそれほど暑くもないんです。東京ベースでいえば、今のところ猛暑日はたまにあるもののまだまだ梅雨は続いていて、どうかすると肌寒いくらいの日があったりします。どうも夏の暑さのピークからはほど遠い。「大暑」って、いちばん暑い日じゃないのか。そもそもそんな「暦」って何なんだ、と。そこで今回は「暦」について考えてみます。

高座を前に準備する落語家の立川談笑さん

暦にはいろいろあって、常々興味があるのです。極端なところから話します。

イスラム教徒のラマダンを例にとります。その1カ月、日中は飲食しないという、あれです。そもそも「ラマダン」とはヒジュラ暦の「第9の月」を指す言葉で、その暦は純粋な太陰暦だといいます。お月さまを重要視する姿勢は、イスラム各国の国旗にも表れています。

暦の特徴は、閏(うるう)補正をしないこと。閏の補正をしないと、少しずつ暦と季節が食い違っていくことになる。つまり、だんだんと季節がずり上がっていくから、同じ「9月」が冬にあたる年もあれば、夏にあたる年もあるのです。なんという「当たり前」の違い。常識が揺らぎます。

「日中に飲食できないラマダンは、真夏にあたる年はさぞつらかろう」なんて同情するのですが、近年夏を通過したので今後は年を追うごとに寒いラマダンになっていくそうです。この次に暑いラマダンがやって来るのは30年後ですって。

日本もかつては太陰暦でした。江戸時代の暦を見ると、大の月と小の月の区別に重点を置いています。閏の補正を加えるうえで、年ごとにイレギュラーな月日が続いていたのでしょう。そしてひるがえって現代日本では、グレゴリオ暦。太陽暦、いわゆる新暦です。

採用されたのは明治5年で、その年の12月2日の翌日が、明治6年の1月1日になったのだとか。うわあ、12月がそっくり消えちゃった。生活はいつもと変わらず続いていて目印の日付=暦だけが変わっただけなのだ、と頭で分かっていてもずいぶんモヤモヤします。当時の人々の混乱はどうだったんだろう。疑問と想像は尽きません。

仕切り直して、改めて現代日本での「暦」に注目します。まずは「大暑」を調べました。

「大暑」とは、二十四節気のひとつ。1年のうちで気温が最も高くなる日。例年7月22日または23日。

あれあれ? 最も暑くなると言い切りましたね。本格的に暑くなるのは8月だろうに。どうもピントがずれてます。では今度は、そもそも「夏」っていったいいつなんだと調べてみました。

暦によると、「夏」とは立夏から立秋の間。2016年は5月5日から8月6日まで。

おいおいおい。「暦」は相変わらず違和感満載です。ゴールデンウイークの時点でもう夏? これもあまりに実感とかけ離れているでしょう。8月5日に開幕するリオ五輪は、あらかた秋じゃないか。夏のオリンピックじゃなくて、秋のオリンピック。なんだか秋の大運動会みたいで気が緩むなあ。

一方、気象庁によれば、「夏」とは、6月から8月までの期間。

うん。さっぱりしすぎるのが気になりつつも、まあまあ納得できます。そうだよね。8月は夏だよね。そろそろ「暦」と現代日本の気象とのズレがはっきりしてきました。こうなると気になるのは「暦」の存在意義です。中国由来のためか、はたまた気候が昔と変わったためか、原因はともかくとして。実感からかけ離れた天候スケジュール「暦」に存在価値はあるのか。

むふふ。ここで奥の手。フジテレビ「とくダネ!」の出演仲間である天達武史(あまたつたけし)気象予報士に直接会って、この疑問をぶつけることにしました。番組の最後にお天気コーナーの生中継があるので、居場所が確実にわかっていてとてもつかまえやすい。天達がポケモンだったら便利なのに。って、何言ってんだ自分。

お台場にあるフジテレビ PIXTA

フジテレビの入り口で、放送終了の瞬間を狙いました。うはは。天達、ゲットだぜ!

「確かに現実の気候とのズレは、はっきりあります。今ではおそらく2週間くらい差があるかもしれませんね。それでも季節の節目なので、さすがに『暦』の話題は避けられないというか、どうしても触れたくなるんです」

なるほど。現場でも違和感の認識があると知って、胸のつかえが下りるようです。ジレンマもあるよなあ。さらに、

「一部では『暦』とは別の、現代の日本の気候に合った言葉を作ろうという動きもあるんですよ」

おお、なんと前向きな情報! 気象予報士や関係のみなさん、ナイスなフレーズを期待しています。そして、ありがとう。頼りになるぜ、天タッツー。

最後に、リサーチの過程で見かけた話を紹介します。気象庁HPに歴代ランキングが掲載されていました。近年では、とびっきりの暑さはやはり8月中旬のようです。そして公式測定の最高気温、堂々の第1位は高知県(江川崎)で、41.0度。0.1度の僅差で「暑いぞ、熊谷!」の埼玉県熊谷市を退けた格好です。

よーし。同じ暑いのなら、最高の暑さをライブで楽しむためにこの夏、高知に行きませんか。キング・オブ・猛暑、高知県で、四万十川のウナギを食べて、四国八十八カ所をてくてくと歩き遍路をしながら、ポケモンGO。どうですか、この夏休みプランったら。

これからますます暑くなります。熱中症の予防に心掛けましょう。暑い日の野外での運動は危険です。水分と「塩分」の補給もお忘れなく。

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次回のテーマは「忘れられない味」。まずは笑二から、GO!

(次回8月3日は立川笑二さんの予定です)

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>独演会は8月17日、9月14日、10月17日の予定。吉笑(二ツ目)、笑二(同)、笑坊(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は7月28日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/
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