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桐谷美玲 月9主役まで上り詰めた26歳

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NIKKEI STYLE

 フジテレビ月曜9時と言えば、定番ドラマ枠の1つ。放送中の月9ドラマ『好きな人がいること』では、桐谷美玲が主役を務めている。

月9は昔から華やかなイメージ。自分がそこで主役をするとは想像したこともなかったですし、「いつかやりたい」と言えないくらいのものだったので、びっくりしています。私が見ていた月9は恋愛ものが多くて、夢が膨らむような展開でした。今回のドラマは夏、海、恋愛要素もある、女の子が大好きなシチュエーションがたくさん詰まっているので、月9らしいキラキラした作品にできればいいなと思っています。

 2006年に映画『春の居場所』で女優としてのキャリアをスタートした桐谷美玲。様々なドラマや映画でキャリアを積み、11年目にして月9主役までたどり着いた。

デビューしてからの数年は、緊張や不安しかないまま女優を続けていたんです。10年に『女帝 薫子』で連続ドラマの初主演をさせていただきましたけど、そのときも本当に私で良いのかっていう不安ばかり。とにかく必死でしたね。今でも自信はないです。撮影が始まるまではほんと緊張してます。ただ、始まってしまえば、楽しいことややりがいを見つけられるようになりましたけど。

一歩ずつ積み重ねた女優業

 そんな彼女が、「撮影が終わったとき、現場で初めて、『楽しかったな』『やってよかったな』と思えた作品」と振り返るのは、11年公開の映画『ジーン・ワルツ』だ。

私が演じたのは、ギャルの妊婦。DVDなどを見ながら出産シーンの練習をしたんですけど、なかなかつかめなくて。主演の菅野美穂さんや浅丘ルリ子さんから「こういう台詞のトーンで言ってみたら」と教えていただき、実際のシーンでは浅丘さんから「妊婦さんに見えてきたね」と言っていただけて。本当にうれしかったです。

 映画『ヒロイン失格』(15年)も転機となった作品だ。同作では坊主頭や変顔を披露。コメディエンヌとしての才能を開花させた。

原作が好きで、いつかやりたいなと思っていた作品です。ただ、決まったときは言わなきゃよかったと思ったくらいです、最初は(笑)。私自身がマンガの世界観が好きなので、それをちょっとでも壊したら、同じように楽しみにしてくれている人たちに申し訳ないので。なので、「思いっきりやるしかない」と思って臨みました。ただ、コメディっぽいことは嫌いじゃないんです、むしろやりたいっていう感じです(笑)。

『ヒロイン失格』は、「こういうのがやりたい。こういう台詞もいれたほうがいいと思います」と初めて自分から監督に伝えた作品でもあるんです。例えば、私が演じたはとりに対する、相手の男の子・利太の思いがもう少し見えたほうがいいと思い、原作に付箋を付けて、「ここがキュンとします」などと伝えました(笑)。

 女優としてのキャリアを重ねる一方で、桐谷はモデルや『NEWS ZERO』(日テレ系)でのキャスターの顔も持つ。昨今、バラエティ番組などで活躍する女優も増えているが、ドラマの主役を務めるクラスではあまり例がない。

キャスターはもう5年目。ここまでやらせていただけるとは思ってなかったです。普通ならお話を聞けない人に会え、体験できないことをさせていただいていることは絶対にプラスになっていると思います。モデルも、昨年『non‐no』のレギュラーモデルは卒業しましたが、ずっと続けていきたい大切な軸の1つです。

女優、キャスター、モデルとそれぞれに全然違う顔をしているのかなと思います。キャスターとして見ていただいている方はモデルの顔をあまり知らないかもしれない。でも、それはそれでいいのかなと思っていて。私自身、違うものとして取り組んでいて、それぞれで自分らしさを出していきたいなと思っているので。デビューして10年が経ちましたけど、1つのことだけだとこんなに続いていなかったかもと思うんです。いろいろ挑戦できたから、新鮮な気持ちで取り組めたのかなと思います。

 桐谷は、2015年12月で26歳になった。『好きな人がいること』の主要キャスト4人では28歳の三浦翔平に続き、上から2番目となる。

日経エンタ!さんの「アンダー30の女優」という記事に名前があるのを見て、そういう年になったんだなと実感しました(笑)。今回、三浦さんとも話をしたんですけど、ちょっと前までは一番下だったのに、気が付いたら上のほうにいて不思議な感じです(笑)。演じられる役の幅は、今くらいの年齢が一番広いのかなとは思いますね。若いお母さん役もできるでしょうし、キャリア女性もできなくはない。(『ヒロイン失格』の)英勉監督からは「ぎりぎりアウトだったかも」って言われましたけど(笑)、無理したら女子高生役もできたし。

『好きな人がいること』で演じる美咲ちゃんは27歳の設定。私も今年27歳になるので、等身大で演じられる役です。今の私ができることを全部このドラマにあてて、楽しみながら取り組みたいです。

(日経エンタテインメント! 羽田健治)

[日経エンタテインメント! 2016年8月号の記事を再構成]

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