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選択肢増える格安SIM 「高いけど高速」が新潮流 格安SIM最前線

2016/8/17

昼休みに速度が遅くなる格安SIMも多いが(PIXTA)

 大手の通信会社より安い月額料金でスマートフォン(スマホ)を使える「格安SIM」「格安スマホ」。サービスを提供する通信会社は生き残りをかけて知恵を絞り、新サービスの開始や料金プランの値下げなど、毎月のように新しい動きが見られる。そこで、格安SIMを巡る動きの中から、特徴的なトピックスをピックアップしてみよう。今回取り上げるのは、「状況によっては通信速度が遅くなる」という格安SIMや格安スマホの弱点を補おうとする新プランだ。

■品質をアピールする2つの「プレミアム」が登場

 ケイ・オプティコムの格安SIM「mineo(マイネオ)」から、「プレミアムコース」の導入が2016年5月31日に発表された。6月と7月に合計400名のモニターを募り、フィードバックを得た上で、9月に抽選式のオプションサービスとして正式にスタートする予定となっている。

 格安SIMを提供する通信会社では、NTTドコモやKDDI(au)といった大手の通信会社から、情報の通り道である「帯域」を一定の幅だけ借り受けて、サービスを提供している。通行する車が増えると道路が混雑するように、格安SIMのユーザーが増えると帯域が混雑し、通信速度が遅くなる一因となる。

 mineoのプレミアムコースでは、加入者に専用の帯域が割り当てられる。道路に例えれば、バスや緊急車両の専用レーンのようなものだ。一般ユーザーの帯域とは分離されるので、平日の昼休みのように利用が集中する時間帯でも、快適な通信環境を提供できるとする。

 「U-mobile」のブランド名で格安SIMを提供するU-NEXTは、7月1日から新ブランドの「U-mobile PREMIUM」を開始した。

 U-mobile PREMIUMでは、下り最大通信速度375Mbps(従来のU-mobileは下り最大225Mbps)で、毎月のデータ容量に制限がない使い放題のプランのみを用意した(これに伴い、従来U-mobileで提供されてきた使い放題プランは新規の受け付けを終了している)。U-NEXTは、「業界でも評価が高いIIJの通信技術を導入し、従来のU-mobileとは通信速度の品質で差別化を図ることで、データ通信量の多いユーザーでも満足できる、品質にこだわった使い放題サービスの提供を目指す」としている。

■料金は一般的なプランよりもやや高め

 mineoのプレミアムコースとU-mobile PREMIUMは、どちらも通信品質に付加価値を持たせたサービス。そのため一般的な料金プランよりも料金設定が高くなっている。

 U-mobile PREMIUMの月額料金は、音声通話SIMが3218円(税込み、以下同)、データ通信SIMが2678円。従来のU-mobileで毎月5ギガバイトが使える料金プランの場合、音声通話SIMの月額料金は2138円、データ通信SIMでは1598円だ。U-mobile PREMIUMは、それぞれ1080円ずつ高いことになる。

 一方、9月の正式サービス開始を目指すmineoプレミアムコースでは、通常の料金プランにオプション料金が加算される予定。なお、具体的な価格については「現時点で検討中」(mineo担当者)とのことだ。

■格安SIMの弱点を補えるか?

 格安SIMには、時間帯によって通信速度が大きく変動するという弱点がある。

 特に遅くなるのが会社や学校などの昼休みにあたる平日の12時台で、通信会社によってはウェブサイトの読み込みが体感できるほど遅くなったり、オンライン動画の再生が途中で何度も途切れたりしてしまう。

 格安SIMを提供する通信会社は、できるだけ快適な通信環境を提供すべく、通信設備の増強を実施している。ただ、格安SIMや格安スマホが注目を集め、ユーザーが増えるにつれて、各社の予想を超えるペースで帯域が混雑する場合もある。

 mineoのプレミアムコースは専用帯域の確保、U-mobile PREMIUMは格安SIMのライバルでもあるIIJとの提携によって、この弱点の解消を狙ったサービスだ。品質面で一歩抜きんでた格安SIMであることをアピールし、他社との差別化を図る狙いもあるだろう。

 通信料金の安さと引き換えに現状を受け入れるか、より快適な通信環境をある程度のコストと引き換えに手に入れるか。

 これまでは通信料金の安さに注目が集まってきた格安SIMだが、「料金は高いけれど通信品質を保証する」という新しい選択肢が、新たなユーザーを格安SIMサービスに取り込むきっかけになるかもしれない。mineoとU-mobileが成功すれば、高品質のサービスを提供する動きが他社に広がる可能性もあるだろう。今後の格安SIMの動向を占う上でも、両社の取り組みに注目していきたい。

(ライター 松村武宏)

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