マネー研究所

不動産リポート

中古住宅、「リフォーム済み」物件に潜む落とし穴 不動産コンサルタント 長嶋修

2016/7/27

PIXTA

 中古住宅といえば、かつては新築に比べて相対的な位置付けが低く、「新築が買えないから中古を」というようなイメージがあった。また住宅ローンの使い勝手も悪く、中古住宅を買うために住宅ローンを組もうとすると支払期間が新築よりも短かったり、リフォーム費用は別途現金で用意する必要があったりした。

 現在はこうした不具合はほぼ解消されているし、この数年、国が中古住宅市場・リフォーム市場に力を入れ始めたこともあり、徐々にではあるが中古住宅市場は拡大してきた。不動産業界では中古住宅にリフォームやリノベーションを組み合わせて事業を手掛けるプレーヤーが増大している。

 業者がよく手掛けるパターンが「リフォーム済み中古住宅販売」だ。中古住宅をいったん買い取り、リフォームなどを施してきれいにしたうえで利益をのせて再販売するというもの。新築に比べて相対的な割安感があり、売れ行きは比較的好調といえよう。

写真1 柱や梁にも雨漏りの被害が及んでいた

 しかしこうした「リフォーム済み中古」には課題も多い。

 神奈川県某市に建つ築9年の木造住宅は、宅建業者による買い取り再販物件。Mさんが入居して数カ月すると雨漏りが発覚した。これはもちろん業者の負担で補修をしてもらえるが、まずは雨漏りの箇所を特定し、被害の程度に応じて補修方法を決定するためホームインスペクター(住宅診断士)が立ち会った。

 雨漏り箇所はサッシまわりに多く見られ、柱や梁(はり)といった構造材に被害が及んでいる(写真1)。雨水の浸入は長期にわたっていたようで、腐食が進行して十分な耐力が期待できない状態だ。サッシまわりの防水が不十分だったことが原因のようだ。

 雨漏りが明確に発生した部分への対策工事は「梁や柱を交換する」「開口部周りを防水する」といったところだが、雨漏りが確認されていない箇所に多くのクラック(ひび割れ)が発生しており、他の面のサッシ周りも今後、同じ症状が出る可能性がある(写真2)。

写真2 雨漏りがないところにもひび割れがあった

 補修を進める過程で被害や補修を必要とする範囲がもっと広いことがわかったため、補修箇所以外も十分な調査をして進めることが必要だ。状況から判断すると業者が買い取った時点ですでに雨漏りしていたはずで、業者は事前調査を入念にしておくべきだった。

 昨今は中古住宅の扱いについて経験や実績に乏しい業者も中古市場に多く参入している。たとえ保証や保険は付いていても、ひとたびこうしたトラブルが発生すれば、工事部分には立ち入ることができないし、工事中は立ち会う必要に迫られるなど、生活に不便が生じる。

 業者選びの際には、その実績をよく確認したい。また、住宅診断を行った結果がどうであったのか、そのうえでどう判断したのかといったいきさつをヒアリングしよう。必要に応じて第三者である建物の専門家に相談されることをお勧めする。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。さくら事務所では、7/30(土)不動産業者&物件選びの極意をホームインスペクターが教える『戸建て購入セミナー』を開催。詳しくはこちらhttp://www.sakurajimusyo.com/160730

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL