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1日で5000万本を植樹、インドで世界記録

日経ナショナル ジオグラフィック社

2016/7/30

ナショナルジオグラフィック日本版

7月11日、インド、イラーハーバードで植樹をするボランティア。1日に5000万本の木を植えるプロジェクトの一環だ。(PHOTOGRAPH BY RAJESH KUMAR SINGH, ASSOCIATED PRESS)

インドで2016年7月11日、ボランティアの手により4930万本もの苗木が植えられたと、同国政府が発表した。ギネス世界記録による認定はまだだが、この数は「1日に植樹された本数」の世界記録をはるかに上回る。これまでの世界記録は84万7275本で、2013年にパキスタンで樹立されたものだった。

植樹がなされたのはインド北部のウッタル・プラデーシュ州。公称80万人のボランティアが24時間作業を続け、道路脇、線路沿い、公有地などに、地元で育てられた80種の苗木を植えた。

今回の植樹は、2015年12月に国連の気候変動に関する会議(COP21)で採択された協定(パリ協定)を受けて行われたものだ。2016年のアースデイに署名が行われた合意の中で、インドは60億ドルを費やして国土の12パーセントを再森林化するとしている。

森林は二酸化炭素を吸収し、大気中の温室効果ガス削減に貢献する。インドは開発などのために木々の伐採を続けたことにより、過去数世紀の間に広大な森林を失った。

植樹に取り組んでいる国はインドだけではない。2015年12月、アフリカ諸国は森林1億ヘクタールの再生に取り組むことを発表した。また同じ月、法的拘束力のない政治宣言である「森林に関するニューヨーク宣言」に、複数の国や企業などの幅広い関係者が署名を行った。同宣言は2020年までに天然林の伐採を半減、2030年までにはゼロにするとの目標を掲げており、また少なくとも3億5000万ヘクタールの劣化した土地を、健康な森林として復活させることを目指すとしている。

とはいえ、若い苗木にはこの先、さまざまな困難が待ち受けている。苗木は水やりや世話が不可欠であり、病気にも弱い。過去の例では、こうした大規模な植樹において苗木が枯れてしまう割合は40パーセントにものぼる。

インド当局はそうした懸念を考慮して、苗木を航空調査によって監視し、どの場所に特に注意を払うべきかを見極める予定だという。

「炭素の排出を削減し、地球温暖化の進行を緩和させようとするなら、懸命の努力が必要であることに、世界が気づいたのです」。ウッタル・プラデーシュ州首相のアクヒレシュ・ヤダヴ氏は、植樹プロジェクトの広報イベントでそう述べた。ウッタル・プラデーシュはインドで最も人口が多い州だ。

インド当局はまた、今回植樹された木々が、世界最悪とも言われる国内の大気環境改善に役立つだろうとの期待を寄せている。木には空気中の汚染物質を取り除く働きがある。現在のところ、世界で最も大気汚染がひどい10都市のうち、6都市までをインドの街が占めている。

「今回の植樹プロジェクトは、責務を果たしているという対外向けのアピールになるのはもちろんですが、何より最大の功績は、インドが抱える重要な課題、つまり公害、森林伐採、土地利用など、多くの問題に貢献することです」と米シンクタンク「世界開発センター」の政策フェロー、アニット・ムカジー氏は語った。

(文 Brian Clark Howard、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年7月21日付]

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