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ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今週は定点観測している書店を離れて別の街に足を運んでみた。これまで見てきた山手線東側とは一味違う西側の一大繁華街、渋谷だ。井の頭線渋谷駅を抱える渋谷マークシティの1階と地下1階に立地する啓文堂書店渋谷店では、書店独自の販促企画から他とは違う自己啓発本のロングセラーが生まれていた。

書店独自にビジネス書大賞

その本は藤由達蔵『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』(青春出版社)。著者の藤由氏は夢実現応援家を名乗り、コーチングのプロとしてセミナーや企業研修講師として数多くの人々に行動力を高める指導をしているという。本書はそのノウハウを公開する内容で、10秒で行動に移す方法と不安を消す方法などを様々に紹介している。

刊行は2015年7月と1年前の本なのに、このところ毎週ビジネス書ナンバーワンの売れ行きを続けているという。なぜか。「啓文堂の独自企画で実施している啓文堂ビジネス書大賞の受賞作だから」とビジネス書を担当する同店副主任の嶋崎光雄さんが教えてくれた。よく見れば帯にもそのことがうたわれている。チェーン全体の一押しビジネス書ということで、入り口とビジネス書売り場の平台に展開して大規模な販促をかけているのだ。

啓文堂ビジネス書大賞は、数々のビジネス書の中から書店員や版元の営業担当者の推薦で12~13点の候補作を選び、その中から1カ月間の売り上げが1位だった本を選出する。今年はこの4月に実施して『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』が受賞、啓文堂書店全店で6~7月に販促を実施している。同書店は、京王線、井の頭線沿線を中心に東京、神奈川で30店ほどの店舗網を持つ。中堅の書店チェーンらしいユニークな販促企画で、その効果が渋谷店ではきっちり売り上げに結びついた格好だ。

30~40代の男性が中心顧客層

啓文堂書店渋谷店は若い層が集まる巨大繁華街の駅ビルにありながら、コンコース側には入り口がない。1階の売り場は小さくメーンフロアは地下にあるなど、目立ちにくい立地だ。それでも渋谷センター街や公園通りなど商業地区方面ではなく、オフィス地区の方への動線の途中にあることなどから、「ビジネスパーソンが中心の客層。男性客が4分の3で、30~40歳代が多い」(店長の吉田隆明さん)という。定点観測している大手町、八重洲などの古くからのオフィス街より客層が若いことが自己啓発書が売れる背景にあるようだ。

それでは先週のベスト5を見ていこう。

(1)結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる藤由達蔵著(青春出版社)
(2)会社員がゼロから稼げる! 融資フル活用不動産投資術田中美香著(星雲社)
(3)自分を操る超集中力DaiGo著(かんき出版)
(4)ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座小宮一慶著(ディスカヴァー携書)
(5)なぜ、あなたの仕事は終わらないのか中島聡著(文響社)

(啓文堂書店渋谷店、2016年7月10日~7月16日)

冒頭に紹介した本が1位。今月は毎週1位になっている。3位は6月の八重洲ブックセンター本店のときに紹介した自己啓発系の本で、5位のスピード仕事術の本も含めると、3冊が自己啓発系のビジネス書だ。2位は著者関係のまとめ買いによるランクイン。4位はビジネス書担当の嶋崎さん一押しの一冊で、「数字をキーワードにしたものは動きがいい」とのこと。1階から降りてきたところに特設の陳列台を出して販促に力を入れている。

(水柿武志)

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